見出し画像

生命のアーキテクチャ:結びつきとつなぎ止め

はじめに

生命の起源を探求する試みをしてきましたが、その分析を通して、生命の本質的な構造を抽出するところまで、到達しました。

  • つなぎ止めが終わると、結びつきが崩れる

  • 結びつきが崩れると、つなぎ止めが終わる

解説

下の記事で、生命を産み出すために必要な構造を整理しました。空間と時間の多様性と循環が相互に強化される、というものでした。

この構造の中で、では一体どのようなものが生み出されていくのかということを考えていたのですが、一つの閃きがありました。

まず、多様性を用いて、さまざまな組み合わせを試している時に、空間と時間の循環構造が生まれたとしたら、通常、以下のパターン1のようなものが見つかるのだろう、と考えました。

  • パターン1

    • 外部からエネルギーを与えると、循環的な反応連鎖が起き続けるような、複数の有機物が生成される

    • 外部からのエネルギーが止まると、循環的な反応連鎖が止まる

    • 再度、外部からエネルギーを与えると、反応連鎖が開始される

上の記事で、空間と時間のシンプルで美しい二項対立を見い出していました。このため、ではパターン1の時間の面と空間の面を入れ替えたようなものもあるかもしれない、と考えたわけです。それが、以下のパターン2です。

  • パターン2

    • 外部からエネルギーを与えると、循環的な反応連鎖が起き続けるような、複数の有機物が生成される

    • 外部からのエネルギーが止まると、反応連鎖が止まり、複数の有機物が離散してしまう

    • 再度外部からエネルギーを与えると、複数の有機物が集合し、反応連鎖が開始される

なんだか不思議な状況です。実際に起こるのかもしれませんが、それよりも、以下のパターン3の方が、あり得そうな気がします。

  • パターン3

    • 外部からエネルギーを与えると、循環的な反応連鎖が起き続けるような、複数の有機物が生成される

    • 外部からのエネルギーが止まると、反応連鎖が止まり、複数の有機物が離散してしまう

    • 再度外部からエネルギーを与えても、何もおきない

こちらの方が、現実的です。たまたま、生成された複数の有機物が、エネルギーを受けて駆動する反応連鎖の循環が、有機物同士の結びつきを維持し、つなぎ止めてるような役割を果たす、そんな関係です。
また、空間と時間の視点を入れ替えてみると、パターン3にはもう一つのシナリオがあります。

  • パターン3 別シナリオ

    • 外部からエネルギーを与えると、循環的な反応連鎖が起き続けるような、複数の有機物が生成される

    • 外部から力が加わると、複数の有機物が離散し、反応連鎖も止まる

    • その後、外部から力を加えて元に戻そうとしても、戻らない

かなり絶妙なバランスで生成されないといけませんが、組み合わせとタイミングを無数のパターンで試せる環境があれば、こんな構造を持つものができても良さそうです。
例えるなら、2枚のトランプを互いに支えあうようにバランスよく立てるようなものでしょうか。 2枚のトランプの例は空間上で支えあいですが、このパターン3の構造は、空間と時間の間の支えあいですね。

この構造。改めて考えてみると似ていますね。生命に。

思いがけず、発見してしまいました。おそらく、この構造が、生命の本質です。

改めて考えてみる

なるほど。複雑で大きくなる前から、生命の本質的な性質を備えた小さな有機物群が生成されていたと考えれば、それがどんどん大きくなって細胞生物にまでなっても、無理がありません。

幸い、空間的にも時間的にも多種多様な組み合わせができる構造があります。この中で最初はごく小さな有機物同士でこの構造ができたのでしょう。生命の粒ですね。

そして、生命の粒が他の有機物と出会って大きくなったり、時には生命の粒同士がであって大きくなることもあるでしょう。

絶妙なバランスの生命の粒に、有機物や他の生命の粒がぶつかって、簡単にうまく融合できるとは思いません。しかし、それも確率の問題だと思います。いろんなパターンで何度もぶつかっていくうちに、融合が進み、大きくなります。そして、より大きな生命の粒は、最初の生命の粒よりも、環境の変化に強い構造を獲得している、とも考えられるかもしれません。

こうして、生命の粒が大きくなりながら、膜や遺伝子を獲得して、細胞が生まれたとしたら、細胞がとても複雑で、そして生命を宿していても、何ら不思議ではありません。

おわりに

生命創出の構造も、シンプルで美しい構造でしたが、生命の本質的な構造もまた、シンプルで美しい。本当に、話がうまくできすぎです。

サポートも大変ありがたいですし、コメントや引用、ツイッターでのリポストをいただくことでも、大変励みになります。よろしくおねがいします!