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相対物理の視点:ニュートン力学と量子力学

■固体の重要性

私は、生命の起源や知能の仕組みについて考えています。静的に構造が維持され、離散的に認識することができ、時間に対して決定論的な振る舞いをする、固体の重要性に気がつきます。

生命が誕生した地球の表面は、宇宙空間の中でも固体が当たり前に存在できる比較的珍しい場所です。水の重要性だけでなく、固体の存在も生命に取って重要です。また、知能も柔軟さや曖昧さが着目されがちです。しかし、数学、論理、言語などの構造と規則を持った、いわば固体のようなものが、知識の中心にはあります。

固体は、単位となるものが結合することによって形成されます。結合は、構造を生みます。そして構造は、時間を超えて存在する保存性を持ちます。情報の観点から言えば、構造は情報の記憶です。

そこで、物理的な固体を中心に、その性質について掘り下げたいと考えています。

■2つの物の結合

固体は、複数の原子が結合しています。流体と固体の違いは原子の違いではなく、結合の有無にあります。

そこで、結合に着目するため、複数の物に対する相対的な物理を考えます。相対的であるための基本は2つの物の関係にあります。

まず、簡単に用語の定義をします。

相対距離:2つの物の距離。
相対軸:2つの物の中心点を通る軸。
相対直交軸:それぞれの物の中心点を通り、相対軸に直行する軸。
相対ねじれ:相対軸を中心にした回転。
相対回転:相対直交軸を中心にした回転。

2つの物が結合されていない時、相対的に自由です。相対距離、相対ねじれ、相対回転の、全てが自由です。

次に、2つの物を結合した時の事を考えてみます。

1つの点だけで結合すると、物体間の距離は拘束され、相対距離の自由はなくなります。一方で、1点での結合の場合、ねじれ方向には拘束されません。つまり、相対軸の自由は維持されています。相対回転については拘束されます。

2つの点で結合した場合には、相対軸のねじれが拘束されます。結合しつつも、2つの物の間に働く斥力がある場合には、相対的な自由度は全てなくなります。

■3つの物の結合

次に、A、B、Cの3つの物を考えます。

AとBが一点で結合し、BとCも一点で結合し、CとAが結合していない場合を考えると、AとCはBに対してねじれ方向の自由を持ちます。

加えて、CとAも一点で結合するとねじれ方向の自由もなくなります。3つの物が、それぞれ一点で結合することで、完全に自由度がなくなることになります。

■ループと固体

このことは、2つのものでも3つのものでも、結合がループ状になると、自由度が全て失われることを示しています。

原子であれば、このループ構造を持つ結合形態が、柔軟性のない固体を形成します。

■量子もつれ

2つの物の例で、1点での結合は、距離と回転は拘束するものの、ねじれの自由度は残ると述べました。

そこから想像を広げ、ねじれと回転は拘束されるが、相対距離には自由度があるという場合を考えてみます。

この不思議な状況は、通常は見られません。距離を拘束せずに、ねじれや回転を拘束する点。その点は通常の空間を超えた結合です。これが起こり得るのは量子の世界です。量子のもつれ、という現象くらいでしょう。

■量子もつれの仮説

量子は粒子と波の性質を持ちます。波は空間上を球状に広がります。

この球状の波を観測するために、別の量子をぶつけると、球状の何処か一点に粒子として位置が確定します。観測されるまでは、球状の位置に状態が確率的に分布しています。状態の重ね合わせです。

2つの球状の波が、状態が確定しないような形で干渉すると、その干渉個所は、円状になります。その円状の干渉個所に、もう一つの球状の波が干渉すると、干渉個所は2点になります。

仮に3個の量子の球状の波によって形成される2つの干渉点が、量子もつれ状態にある2つの量子の正体であるなら、私たちには知覚ができない別の次元を想定する必要がありません。私達の認識している三次元空間を前提にして、量子もつれを説明することができます。

また、この2つの干渉点は、元の3つの量子の球状の波の中心点方向により、向きを拘束される可能性があります。相対軸のねじれや相対直交軸の回転の自由度はありません。一方で、相対距離は波の広がりによって離れていきます。このため、総体距離は、拘束されず自由度を持てることになります。

■相対物理という視点

物体間の結合は、相対的なニュートン力学と言えます。量子波の干渉は、相対的な量子力学です。

仮説レベルには過ぎませんが、相対物理という視点で、ニュートン力学と量子力学を眺めていくとある種の統一的な宇宙観でこれらを捉えることができる可能性があります。

つまり、相対距離、相対ねじれ、相対回転という相対空間です。動きについては、相対速度、相対ねじれ角速度、相対回転角速度があります。そして、2つ以上の物や波を、結合と干渉という方法で拘束します。

上手くいけば、相対空間上の自由度と拘束という観点で、波としての量子、流体、そして固体を説明することができることになります。

また、ここでは掘り下げていませんでしたが、相対物理の観点をマクロに広げて、重力と相対速度の観点を加えれば、まさに相対性理論の解釈にも踏み込める可能性があります。その名の通り、相対的な視点を持っているわけですから。

■さいごに

仮に、複数の量子の波の干渉を結合と類似したものと解釈し、干渉を重ねることで粒子としての位置が確定すると考えると、量子の波が結合して粒子化すると解釈できます。

粒子化したものが結合して原子を形成し、原子が結合して分子や高分子、そして固体を形成します。多層的な結合がキーとなって固体が形成されるのです。そして、結合が構造を生み、構造が保存性を持ち、情報を記憶します。

このように、例え宇宙の根源が波であり、そして宇宙の多くが空疎であり、流動的であったとしても、結合によって固体が存在することができ、そこに構造の保存と情報の記憶が可能になっています。

そして、この構造の保存と情報の記憶を利用して、生命と知性が生まれ、進化と発展をしているのです。結合そのものが生命や知性ではありませんが、重要なカギを握っていることは間違いありません。

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