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【過度な一般化に注意】「マスコミ代表」は存在しない

こんにちは!加藤聡です。

約15年間を日テレで過ごしたキャリアを踏まえて、テレビ報道に関する様々な考察をシェアしていくシリーズの第1弾です。

「マスコミは〜〜」という表現を、多くの方が耳にしたことがあるのではないでしょうか。多くの場合、ネガティブな文脈で語られているのではないかと思います。

私自身も、
「マスコミは、社会の情報インフラとしての役割をもっと果たせるのではないか」という問題意識を抱き続けてきました。

今も、その思いの根底は変わりません。

ただ、テレビ報道で働く中で確信を強めていったのは、「マスコミ」の内実は多様であり、一言で議論するのは極めて難しい現実です。


週刊誌報道は「マスコミ」か?

ご承知のとおり、「マスコミ」は「マス・コミュニケーション」の略で、不特定多数に対して情報を発信するメディアのことを指します。

代表的なマスコミとされてきたのは「テレビ・新聞・ラジオ」ですが、時代の変化も背景に、人によって、文脈によって、「マスコミ」が意味する対象・範囲には幅があるでしょう。

例えば、週刊誌報道は「マスコミ」に含まれるでしょうか?

含む人・含まない人。含む文脈・含まない文脈。
ケースバイケースだと思います。

そして、大手新聞やテレビなどよりも、週刊誌報道はプライベートな情報も深く報じる特性があるのは、ご承知の通り。行動原理が大きく異なります。

メディアによって作法は異なる

旧来型マスコミの代表である「テレビ・新聞・ラジオ」の間でも、情報収集や編集、アウトプットのあり方は、それぞれ異なります。

テレビ:映像
新聞:画像と活字
ラジオ:音声

伝達手段が異なるため、コンテンツ制作の作法や特性が異なるのは必然です。

同じ媒体・会社の中でも多様

さらに、ある一つのジャンル内部にも、多様性は存在します。

例えば、テレビの中でも、NHKと民放とでは、仕組みが違います。
民放の中でも、東京にあるキー局と関西にある準キー局、地方にあるローカル局とでは、事情が異なります。

もっといえば、ある特定のテレビ局の中でも、例えば報道番組と情報番組では、取り巻く環境や制作スタイルは異なっているのです。

実りある議論には対象を明確に

したがって、「マスコミは〜〜」という言説には注意が必要です。

例えば・・・

「マスコミは報じない」

社会的意義がある事象なのに、どこも報じていないでしょうか?

ひとまずテレビだけに注目しても、NHKも民放も、朝・昼・夕方・夜・深夜、どこでも報じていませんか?
新聞もラジオも、伝えていませんか?

もちろん、まだマスコミが確知できていなかったり、事実関係を確認できていないから・・という場合もあるでしょうけれども

 

実際には、ごく短いニュースで報じていたり、深夜のドキュメンタリーで丁寧にOAしたりしています。

多くの視聴者が見ている時間に報じていないとしたら、社会の関心がおいついていない、などの事情がある場合が多いです。
(それはそれで課題なので、改めて考察したいと思います)

「マスコミは報じない」を少し丁寧に表現すれば、
例えば
「民放キー局の夕方や夜のニュースでは、時間をさいて丁寧に取り上げていない」
などといったところでしょうか。

 

事情が様々なマスコミについて、実りある議論をするためには、指し示すメディアや事象などを明確にする必要があると思います。

そして・・・同じことは、様々な業界にあてはまるんだろうと思います。

一言でいえば、過度に一般化して論じないこと。

自戒をこめて、シェアしたいと思います。

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