見出し画像

土佐市のNPO炎上問題について

お久しぶりです。何日も前なのですが、土佐市のNPO問題について書いて欲しいというリクエストをいただいていて。このニュース、炎上もほとぼりがある程度は冷めたかと思いますが。ま、具体的な話というよりは、田舎の一般論として語ってみたいと思います。

まず、土佐市のNPO問題についてはググってみたら、いくらでもニュースが出てきますので、ご存じ無い方は、そちらを読んでいただくとして。

サクッと説明しておくと、NPOが管理している物件に、飲食店経営希望の移住者が入りまして。で、カフェをうまいこと運営していたら、いきなり出ていけと言われて、理不尽やんと。そこで、自治体(土佐市)にどうにかしてくれと言ったら、土佐市もNPOの肩を持って、まじ田舎社会ってヤベェよね、っていうことで炎上したという話です。


さて、この話のポイントですが、3つあると思っています。


一つ目は、そもそも、こんな話はどこにでもあるだろう、ってことです。

僕も同じ高知県に移住していますし、この土佐市のカフェも知っていますし、田舎の自治体とか利権も、まぁ、詳しくは無いけど、ある程度は理解しているつもりです。で、土佐市の話についても、実際、あるだろうなぁと思います。そういう意味で「田舎はヤベェ」は正しいと思います。が、でもこんなのは田舎だけじゃ無いよね、都会もそういう話はあるよね、だけど目につきにくいから気づかないだけだよね、と思うんです。

例えば、オリンピックの利権にしたって、似たような話じゃないですか。桁違いに規模がでかいけど。政府と既得権益の業者が組んでいるとか、その業者がNPOの皮を被っているとか、日本あるあるでしょう。ま、日本に限らず世界中で、だとも思いますし、世界的に見れば日本でもマシな方だとも思いますが。でも、都会のそういう話は、ちゃんと洗練されて、表に出にくくなっている。今回の土佐市のような、わかりやすいパワハラ圧力とかが無い。もっと、表面上は綺麗になっているんだと思います。

っていうことで、まず、今回の土佐市の話のようなことは、田舎にはある、でも、田舎に限らずどこにでもある、ただ、田舎では目につきやすい。関係者も少ない分、人間関係も把握しやすいし、理解もしやすい。理解しやすいからバズりやすい。そういう前提条件がある、ということです。


二つ目。とはいえ、田舎社会の全てがヤベェわけではなく、ほとんどの田舎はまともであり、きちんと支援している自治体とかNPOも存在する、というのも確実です。

世の中には、良い人もいれば、悪い人もいます。でも、集団となると、個性が薄まります。人間というのは、個人個人では性格にばらつきがありますが、それでも集団を作れば、それなりに平均化します。大企業の社員は平均的だけど、ベンチャーの社員は個性的、みたいなイメージです。

都会というのは人間が多いですから、平均的になっていく、というのが、僕の印象です。田舎のほうが個性的です。人間が少ないからです。田舎なら、今回のNPOのように、一人の権力者が、その強烈な個性によって幅を利かせる、ということも可能になる。人数が少ないからです。でも、関係者が多かったら無理でしょう。人が多ければ、そのヤバさを押しとどめる人も出てくる。賢いやつがいれば、そのヤベェ話をうまく隠せるでしょう。そしたら、表に出ない。人が少ないと、その確率が低くなります。

一方で、人が少ないからこそ、良い人もまた、幅を利かせることができます。つまり、田舎社会は良くも悪くも、振れ幅が大きいと思ってください。ヤベェ人もいれば、すごく良い人もいる。だって人間だもの、みつを、ですよ。だから、今回の土佐市のニュースのように、田舎社会はやばいよねというのも正しいし、逆に、田舎は人情に溢れていて暖かくてというのも正しい。それは、人間って怖いよね、でも優しいよね、どっちも正しいよね、というようなものです。


三つ目。田舎における自治体の存在は、かなり大きい、ということです。今回の話には、自治体である土佐市が絡んできていますが、田舎における自治体の存在の大きさというのは、都会の人にはなかなか想像がつかないと思います。

東京の新宿区に住んでいる人が、普段、暮らしている中で、新宿区という自治体を意識することは、ほとんど無いと思います。住民票とか印鑑証明を取る場所、ぐらいな感じでしょう。自治体から仕事をもらうとか、区役所の人との人間関係を構築しよう、とかは無いでしょう。

でも、田舎だと、一番大きな会社は「役場(自治体)」です。その役場が発注する仕事で生計を立てている会社も多い。ってか、小さな市町村だと、ほとんどと言っても過言じゃ無いと思います。田舎社会とは、自治体を中心としたグループのようなもので、そこに血縁もあれば地縁もある、純粋な民間企業というのはほとんど存在しない、と思ってください。で、その役場という会社の予算は、地方交付税から成り立っているわけです。

今回の土佐市の話で、役場とNPOがどんな関係だったかとかは具体的には知りませんが、普通に考えたら、親戚や同じ地域の人は役場にいるだろうし、そこは、デジタルな関係ではなく、いろいろなものが積み重なった、良くも悪くも人間的な関係性が存在すると思います。そこのイメージを理解していると、今回の話も、まぁ、そりゃあるだろうね、と思うわけです。自治体が止められないのも分かる。ヤベェ人に当たっちゃったね、という感じです。(もっとも、僕はカフェ側の意見しか知りませんから、一方的な見解ですが)


ということで、何が言いたいかというと、田舎は千差万別だ、ということです。都会と違って、振れ幅が大きい。良くも悪くも、一人の人間存在が大きい。だから、良い場合はすごく良くなるし、悪い場合はヤベェことになる。
なので、一概に、田舎はヤベェというのは間違いです。そして、田舎は人情があって暖かいよね、というのも間違いです。あくまで、個別の話です。そして、土佐市の場合も、このケースにおいて、そういう話だということであって、土佐市全体がヤベェという話でもありません。

というか、僕にしたら土佐市って田舎じゃなくて、都会なんですよ。高知市のベッドタウンみたいな感じです。だから、土佐市を「田舎」ということ自体が、ちょっと違和感があるんですが。なので、土佐市のイメージが今回、めっちゃ悪くなったと思いますが、うーん、土佐市は田舎じゃ無いから、そもそも、これは土佐市全体ではなく、土佐市のごくごく一部の話だよね、というのは、ご理解いただきたいところです。新宿で殺人事件が起こっても、新宿区全体が危険とは思わないでしょう。そんな感じ。

最後に蛇足話をしますが。僕が住んでいるところの隣町は「土佐町」でして、こちらにも、抗議電話がかかってきているという、まぁ、世の中ヤベェよなという噂も聞いているのですが。こちらは全く違う自治体ですので、ご注意ください。ちなみに、高知には四万十市と四万十町ってのもあって、これも、全く違う自治体です。距離も遠い。ま、紛らわしい名前をつけるなよ、って感じですね。また今度。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?