見出し画像

ヤギ・石炭・お漬物

 ヤギって草しか食べていないのに、結構、筋肉質でマッチョなんですけど。三大栄養素の糖質・脂質・タンパク質をバランスよく取りましょうという栄養指導から言えば、ヤギなんてのは、バランスが崩れまくっています。草だけですからね。肉はタンパク質ですから、タンパク質を吸収しないといけない。草はセルロースなどの食物繊維です。これを、どうやってタンパク質に変えているのかというと、腸内細菌が変えています。

 セルロースを分解する菌がいるんですね。ちなみに、古代、植物は全て「草」でした。巨大なシダなどが何億年も昔に、地球上に生えていたのですが、ある時、「木」が発明されたんです。セルロースなどの硬い物質を作り出すことができた。それで、丈夫で倒れない「木」がこの世に誕生したんです。だけど問題は、セルロースという硬い物質を分解する奴がいなかったことです。

 分解する奴がいないと、どうなるか。木も、いくら丈夫でも倒れたり、寿命を迎えて死んだりします。で、そのまま積み重なるんですね。現代だと、セルロースを分解する奴らがいますから、木は分解します、というか、腐ります。そして、土になります。分解するやつがいなければ、腐らないんですよ。現代でプラスチックが腐らないで、海に溢れているのと同じ問題が、数億年前に起きているわけです。当時は、分解できないセルロースが地球上に溢れていた。

 そのセルロースを含む「木」は分解されないまま、積み重なっていき、圧力でギューっとなります。固まって、石のようになります。これが石炭です。で、そのうち、セルロースを分解できる、セルロース分解菌が現れたんですね。キノコも、その一種です。そうなると、木は腐りますから石炭になりません。石炭はキノコが終わらせた、ってことです。

 さて、そのセルロース分解菌は「菌」ですから、体はタンパク質で出来ています。その菌を吸収すれば、タンパク質を吸収していることになります。ヤギなどの草食動物がやっているのは、そういうことでして、セルロースなどの分解しにくい物質を体内で、腸内細菌に与えて、増やす。その腸内細菌を食べている。ヤギは草を食べているのではなく、草を分解して増えた微生物のタンパク質を吸収している、ということです。体内で生物を養殖し、それを吸収しているってことです。

 ハキリアリは、葉っぱを持ってきてキノコを育てて、それを食べていますが、ヤギと似たような過程を巣の中でやっている、ということです。ま、人間がやっている畜産も似たようなもので、草をやってヤギを増やして食べているわけです。正確には、草によって増えた微生物を吸収して増えたヤギを食べている、という二段階養殖です。さて、言いたいのは、ヤギもこのように、腸内細菌の増加によってタンパク質を摂取しているわけですが、人間はどうなのか、という話です。

 腸内細菌の活動を踏まえた上での栄養バランスというのは、いかなるものになるのかな、ということです。おそらく、これは民族によって大きく違う。トンガ人とかタロイモを主食にして、えらいマッチョになっていますが、あれはヤギのように、タロイモによって劇的に増殖するトンガ菌が腸内にいるんだと思います。それを吸収するから、タンパク質(を分解したアミノ酸)を吸収していることになる。で、この腸内細菌叢が民族によって違うのであれば、違う国のご飯を食べても、腸内細菌は増えにくい、栄養バランスが偏ってしまうのではないかと思う。

 日本人は伝統的に、米、味噌、漬物、少量の魚、といった食事であり、糖質に偏っていて、タンパク質や脂質が不足していると言われていますが、それでも、江戸時代の人の写真なんか見ると、なかなか健康的な細マッチョが多いですよ。おそらく、それらの食事の成分をそのまま吸収していたのではなく、トンガタロイモ菌のように、日本人の食生活で増える腸内細菌がいて、その細菌を吸収していたんじゃなかろうかと思う。うんこの3分の1は細菌の死骸だとも言うじゃ無いですか。それなら、3分の1は細菌を食べていると言ってもいいわけですよ。

 僕は藤川理論を実践して(詳しくはググってください)、それなりの効果も感じているけど、一方で、腸内細菌叢が整って、その細菌が活発になるような食事をした方が良いのではないか、とも思う。で、おそらく僕の腸内細菌も日本仕様になっているなら、伝統的な食事、米・味噌・漬物などを摂ることによって、かなりのタンパク質が摂取できるのではないか、と思うわけです。

 これがもっとぶっ飛んだ話になると、スピ系の人たちで、光を食べていますみたいな奴らがいるでしょう。あれも一理、あるのではないかと思ってしまう。だって植物は光と水で光合成を行い、糖質などを形成するわけでしょう。そのような細菌を飼っている人がいても、おかしくない。知らないけど、皮膚常在菌でそのように増殖する奴らがいたら、それを吸収することも出来るかもしれない。となると、光と水で生きる奴がいたって不思議じゃ無い。単に、光と水で増殖した細菌を吸収している、ということですから。そりゃ、出来なくはないと思う。

 ってことでね、漬物に注目しています。糠漬けを作っているんですよ。美味しいんですよ。特に、炒った玄米を炊いた粥(マクロビの人から教えてもらった)と食べると、まぁ合う。竹野内豊のスーツ姿ぐらい合う。で、合うってことは、体に良いんじゃないか、欲しているからこそ、合う、美味い、と思うのではないか。でも栄養素的には絶対に足りない。ならば、腸内細菌が増殖していると考えるしか無い。で、漬物に含まれる乳酸菌だとか色々なものは、日本人のタンパク質摂取に一役どころか、大いに役立っているのではないか、と思う。

 時代は漬物だな、と。でも市販の漬物って、あまり良いものが無くて。なので漬けようと思っています。いや、漬物のイノベーションとか出来たら、面白くないですか。結構、ブルーオーシャンだと思うんですよ。誰もやっていないから。で、菌も注目されているでしょう。ヤクルト1000とか、R1ヨーグルトとか。あれ、漬物でやった方が、日本人の体に合っていると思うんですよ。どっか食品産業がガチで漬物、やりませんかね。面白いと思います。またあした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?