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社会をエンジニアリングに例えてみる

 昨日の方丈記の話を書いた後、昨日にこれを書いていますが。社会分析とエンジニアリングは似ているな、って話をします。

 僕がこのメルマガ(とnote)で書いているのは、大抵は、社会がどうなっているのか、という話です。社会というか、人間の行動分析とも言えますが。で、今のところの結論は、その根本にあるのは「本能」という欲求であり、その本能は、狩猟採取時代の100人集団を想定して、それに適した行動をとるような欲求を人間に与えている、という話です。

 これをエンジニアリングで言えば、人間の本能欲求というのがエンジンです。そのエンジンを、どうやってアウトプットに繋げるかというのが、エンジニアリングです。車で言えば、エンジンの出力を、どれだけ効率よくタイヤに繋げるか。そこが効率よければ燃費が良くなる。少ない労力で、より多くのアウトプット(走行距離)が稼げる。
 で、エンジンとタイヤを繋ぐために、ギアとかシャフトがありますが、そういう仕組みを考え直し、トライアンドエラーを繰り返せば、燃費効率は良くなるわけです。会社で言えば、コストが下がるということ。

 社会は、人間の行動というエンジンをもって、どれだけ効率良いアウトプットをするかという問題です。
 で、車にも目的があります。目的によって車は違う。買い物に行くためにスーパーまで5キロを走るのか、それとも田舎の実家に行くための300キロ走るのか、ルマン24時間レースで5000キロ走るのか、目的によって違うわけです。その目的に対して、必要なエンジンも、ギアも、車の構造も、すべてが違ってくる。

 資本主義というのは、基本的に「市場競争」に任せておけばうまく行く、という考えがあります。目的が競争ですから、生産性を可能な限り高めるというのが目的になります。車で言えば、どれだけ最高速度・走行距離を出せるか。それを「生産性」と言っています。
 そのためはガソリンも使うし、エンジンも酷使する。ガソリンは(文字通り)地球資源です。ま、太陽光とかもありますけど。自然エネルギーや化石エネルギーや金属資源という「ガソリン」を燃料に、人間というエンジンを酷使し、最大の走行距離を目指します。

 問題は「どこを目指しているのか」を、誰も分かっていないことです。ただ、競争している。目的無く。何のために競争するのか、何のために生産するのか、どこに向かおうとしているのか、それに対する明確な答えを持ち合わせていない。気付いたらルマン24時間的な競争をしている世界だったから、その競争を続けている。

 というのが、レース(社会)を俯瞰した例えだとすれば、自動車それ自身というのは、エンジンの出力(人間の労働)を、どれだけ走行距離(利益)に繋げられるかという競争です。そのためのエンジニアリングというのは、マネジメントとか、マーケティングとか言われるものです。

 さて。僕は、農機具も自分でバラして修理したりするんですが。その作業は好きなんです。いろいろと調べて、ああ、この部品の不具合なんだと分かって、それが直ると嬉しいんですが。よく分からない「機械」というシステムを分解して仕組みを理解する、というのが好きなんです。
 社会に対しても同じことをしているなと思って。社会という、よく分からない大きなものも分解していくと、ああ、これがこうなっているんだ、ということをやっている、と、僕は主観的には思っています。ま、趣味です。

 いつも言っている「人間の本能」と「現在の環境」のズレというのは、社会がどこに向かって走っているのか分からない、ということでもあります。そもそも、この社会の目的は何なのか。我々、人類の目的は何なのか。そんなことに合意も無く、誰も何も知らないまま、ただただ資源を消費している。競争それ自体が目的となってしまっている。
 本当に、どうしたものかねと思いますが。一番可能性があるのは、その社会に背を向けた人たちで新しい社会を作っていくことだと思っています。

 皆がルマン24時間に必死になっている横で、軽トラを組み上げて、オフロードで暮らしのために使うようなものです。皆が24時間レースをやっている横を軽トラで、しかもレース場でもないところを走れば、何だあれば馬鹿じゃなかろうかと思われるでしょうが、そのうち軽トラが増えたら、24時間レースをやっている方が馬鹿に見えますから。
 人間の社会性ってのは、その程度のもので、何が真実というよりも、大多数の人がやっていることを真実と思います。だから、背を向けた人を集めて新しい社会を作ることだな、と。

 というと、課題というのはある程度、明確になります。まずは「軽トラ」の目的を決めること。社会の目的、行動の目的ですね。何を目指しているのか、ってことです。
 そして、目的が決まったら、材料(エンジン(人)とガソリン(資源))を使って、どれだけ効率よく、軽トラの走行に繋げるかという、社会システムづくりの問題です。その、軽トラが走行する道路というのは、実際の社会の法律や経済というものです。その路面に合わせて、どのようなシステムが最も良いかを考える。

 そして、その目的が達成される限り、最小の資源使用と、最小のエンジンの稼働であれば良い。そうすれば、資源を使わず、人も疲れず。ま、やろうとしているのが、そういうことだなと思った次第です。

 ただ、愚痴を言えば、僕は分析は好きなんだけど、実際に組み上げるとかいうエンジニアリングは、そんなに興味が無いんですよね。農機具も、バラして仕組みを理解するときが一番楽しい。分かってしまえば、どうでも良かったりする。だから、そこを、また材料を集めて組み立て運用して、という人を集めないといけない。個人的には、そういうことが課題だなぁ。またあした。

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