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運動会と文化祭

 サッカーW杯、やっていますが。見ていて思うのは、国という物語がこうやって作られていくんだな、ということ。イングランドとかウェールズは国ではありませんが、参加国は国という枠組みで、まとまるでしょう。今のところ、人類最大の枠組みというのは「国」です。なぜそれ以上のまとまりが無いかというと、それ以上の大きな範囲になったときに「それ以外」のものが無いから。

「国」を作るためには「他国」が必要です。それ以外のものがないと、そのものは出来ない。「日本」という国も、聖徳太子の時代には、中華に対しての「日本」として生まれたわけで、世界が日本列島しか無ければ、未だに日本は無かったと思います。それこそ、今もって地球政府が無いのと同じ意味で。となると、地球がまとまるためには、異星人の出現を待つしかないのかとも思います。敵がいると、味方同士は仲良くなるという習性が、人間にはあります。

 ただ、これも良し悪しで、味方同士は仲良くなるんだけど、敵とは仲が悪くなります。人間同士で争うと、危険です。ということは、敵を外部に求める方が良い。で、宇宙人の出現を待つわけにもいかないので、そうなると、共通の課題がある方が良い。環境問題でも、食糧問題でも、エネルギー問題でも、巨大隕石の衝突の回避でもいいんですが、そういう大きな外部の課題を解決するということで、手を取り合うのが良いのではないかと思います。

 運動会的にまとまるか、文化祭的にまとまるか、ということです。戦争か、お祭りか。両方とも非日常的なイベントですが、対人間か否か、ということです。「共通の課題」は、文化祭的なまとまりです。で、運動会は文化祭よりも一般的に盛り上がるように、人間は戦争の方がまとまりやすいし、技術も発展するんですが、いかんせん、核兵器とかやばいし、そのルートがどん詰まりになりそうなので、文化祭的な、課題解決のまとまりを頑張った方が良いと思います。

 運動会は、サッカーW杯とかオリンピックとかメジャーな大会がありますが、文化祭って、これといったものが無いですよね。万博ぐらいでしょう。しかも万博って、開催国は盛り上がりますが、世界的に盛り上がるようなものでも無い。他国の万博を、テレビでもいいから見たことある人って、あまりいないでしょ。参加する国も限られているし。

 でも、ここにオリンピック並みの気合を入れていけば、いい感じにまとまれるんじゃないかと思うんですけどね。音楽界とか、演劇とか、ま、運動部ではない文化部系の活動ですよね。それらの方向に未来があるかなと思う。
万博も、真面目ぽくってつまらないですよね。今の感じじゃなくて、大学の学祭みたいな雰囲気で、世界的な芸能人とかバンドとかが集まれば、もっと盛り上がると思うんですけどね。サッカーを見ていて思うのは、喜びもでかいんですけど、ガッカリも大きいでしょう。今日みたいに、みなさんガッカリするでしょう。でも、コスタリカは大喜びじゃないですか。振れすぎなんですよ。ま、それはそれで存在していていいと思うけど、一方で、存在が大きすぎるよな、とも思う。あまりにデカい喜びも悲しみも、大抵、多くの人間を不幸にします。

 選手にしたら「一生に一度の大会」で活躍できるかどうかで、人生が変わる。そりゃ、夢はデカくていいんですけど、その分、叶わない人が山ほどいる。ほとんどの人は叶いません。で、文化祭的なイベントは、ほとんどの人の夢が叶うけど、ものすごく大きな喜びでは無い。サッカーW杯で優勝するほどの喜びなんてものは、文化祭的には無いでしょう。でも、そういう方が健全だと思う。そして運動会的なものも、もっと小さな場所での運動会的な取り組みを盛り上げた方が良い。その方が、喜ぶ人の絶対数が多くなるから。

 例えば、県内サッカー大会で優勝する。それだって凄いことなんです。で、そういうローカルな取り組みに予算つけて、もっと盛り上げたら、喜ぶ人が増える。でも資本主義って勝者総取りのシステムだから、世界一にならないと意味が無い、そこにお金や人材が集まる。でも、そこに至れなかった優秀な人材もいるわけです。その優秀な人材は、本来ならローカルのトップとして活躍すればいいんだけど、世界を目指すと、そうはならない。

 情報化社会になって、最適な効率を目指すと、勝者総取りの世界で、世界一のものばかりになります。でも問題は、人間自体が効率的じゃ無いんですよ。世界一のグローバルなサービスで満足できるほど、人間は効率的に出来ていない。効率というのは、お金の物差しであり、人間が満足するかという、幸福の物差しでは無い。だから、不幸になるわけです。という意味で、人間が普通に満足できる程度の、ローカルに資本を移していく方が幸せになると思う、ってことです。人間と文化は多様性があるのだから、それに合わせた方が良いのです。

 前にちょっと書いたけれども、昔、日本代表をやっていた岡田監督が、今、今治のJ3のチームを運営しているんですよ。こんなのはすごく良い取り組みで、こういうふうに人材が活用されるべきだなぁと思います。僕はサッカー詳しくないので、野球例えにするけど、元プロだって高校野球の監督をしようと思ったら、教員免許を取らなきゃいけなくなったりするでしょう。もう、意味不明な制度でしょう。あと、プロ野球選手がアマチュアに教えちゃいけないとか、あるでしょう。シンプルに良くないよね、としか言いようが無い。

 ローカルなものは、質が良いんです。グローバルなものは、多くの人に当てはまるものだからこそ、質が悪いんです。端的に言えば、サッカーW杯で日本代表が勝つのと、自分の子供が県大会の決勝で勝つのと、どっちが嬉しいのでしょうか。後者じゃないかなと思うわけです。またあした。

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