とにかく明るい安村さんの話は、ちょっと冷静になった方が良い

とにかく明るい安村さんが、イギリスのゴットタレントでバカ受けしてすごいね、って話が巷の一部でワイワイとなっているようですけど。で、この話で思うのは、パワーバランスなんですよ。安村さんへの日本の評価と、イギリスの評価、どちらが強いか。当然、イギリス様の方が強いから、こうなるわけです。

例えばね、とにかく明るい安村さんがナイジェリアで大受けしたと。その場合、今回のような評価になるのか。ならないわけですよ。マジ、アフリカの笑いはレベルが低いよね、ってなるでしょう。はっきり言いますけど、そうなりますよ。っていうか、前提として、安村さんは「面白い」の位置に、そんないなかったでしょう、少なくとも「安心してください」は、それが日本で受けていた当時からも、すごいというより、まぁ、一発芸の括りの中でしか、なかったでしょう。

で、ナイジェリアでもどこでもいいんですけど、一般的に、日本人が、もう言葉を選ばずに言いますけど、下に見ている国があるわけです。もちろん、文化に上下や優劣なんて無いんだけど、あるのが一般的な感覚だし、事実として、存在しますよ。アジア・アフリカは下に見ますよ。中東はよくわからん、と見ますよ。で、欧米は上ですよ。そう見ますよ。それが、ごく普通の日本人的感覚でしょう。

で、その中間に「日本における安村さんの評価」があるわけです。例えばね、今回のゴッドタレントがなかったとして、どこぞのアイドルのお姉さんが、好きなお笑いタレントとして安村さんを挙げて、あの裸芸が大好きで大好きで、と言ったとしましょう。ま、キャラ付けだなと思いますよね、そして本当に好きだったとしたら、ちょっとセンスが無いんじゃないかと、思われるじゃないですか。さらばのコントが好きだ、とかいうのとは、違うじゃないですか。

保険をかけておきますけど、ギャクの優劣なんていうものも、無いです。ここで言いたいことは、欧米の評価というのが、我々にとって、どれだけ強いのか、という話です。安村さんがつまらない、っていう話をしているんじゃないんですよ。あの裸芸は、面白いという位置には無かった。で、日本が一般的に下と見ている文化圏だと、安村さんの評価は揺るがないから、「こんなにつまらない芸で笑う彼らはセンスが無い」になるわけです。

対して、今回のゴッドタレントで、僕は結構、本当にびっくりしたんですが、欧米の評価は揺るがないんですよ。ゴッドタレントで受けた、すごい、なんですよ。サイモン（ゴッドタレントの審査員）の評価はおかしい、とは、ならないんです。オスカーでもノーベル賞でも、そうなんですよ。とったら、すごいんです。欧米様の賞だからです。ただ、それだけなんですよ。そこが揺るがない。その揺るがなさが、本当にすげぇなと思ったわけです。

僕は、文化の優劣はあって良いと思っているし、というか、世界中の誰もが「自分の文化が一番正しい」と思うのが、一番、平和だと思うんです。その上で、多様性もあるよね、いろいろな人が世の中にいるよね、と、あるべきだと思うんです。それが自尊心と幸福にも繋がりますから。ですから、今回の件の正しい、というか、僕があるべきだと思っている反応は、「イギリス人はなんて笑いのセンスが無いんだ」ですよ。あれほど、あの裸芸が受けるのは、おかしいでしょう、お前らもうちょっとお笑いを勉強せえ、ということですよ。

というかね、もう２０年ぐらい前ですかね、ミスタービーンの時から、あれ、おかしいなと思っていたんですよ。ただの顔芸でしょう。あれが受けるとか、世界の笑いというか、すげぇみたいに流行った時期があったじゃないですか。つまらないでしょう、というか、つまらないというより、レベルが低いでしょう。子供が笑うやつでしょう。そりゃ、それがすごい、というのも、ありますよ。子供を笑わせるのも、すごいですけど、一方で当時からダウンタウンの影響もあり、日本の笑いは深化（進化）していったわけですよ。

だけど、欧米様がとても面白い顔芸のミスタービーンを出してくださったことで、これは面白いんだと、そうなるわけです。いや、この国に自尊心は無いのだろうかと思いましたよ、子供心に、というほど子供ではありませんでしたが、若者心に思っていましたよ。そして今回の安村さんの件で、僕的には確信しましたけど。イギリス人の笑いのレベルは低いです。というか、僕は、笑いのセンスというような、ある意味、どうでも良い話は、自分が一番正しいと思えば良いと思うので、そう思いますよ。顔芸とか裸芸で笑うのは、ちょっとアホですよ。

ということはね、皆さん、薄々と感じていると思いますので。ま、安村さんは良かったんじゃないですか、レベルの低い国で受けて。日本のボロボロの中古車がアフリカで活躍するようなものですから。マジでね、日本の、お笑いに限らず、漫画とか、小説とか、ゲームとか、文化のレベルは高いと思いますから、積極的に、恥ずかしがらずに輸出したら良いと思いますよ。はい。またあした。