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なぜ男性はギャンブルやスポーツに夢中になるのか

 サッカー、良かったですね。世界的に人気のあるスポーツって、大抵は球技です。サッカー、クリケット、バスケットボール、アメフト、ラグビー、ゴルフ。なぜ球技が人気かというと、球を使うことで偶然性が上がるからです。偶然性が無いスポーツは、見ていて面白く無い(やるのは良いんですけど)。陸上の100メートルとか、大抵、速い人が速いわけでして、ま、見ていてもそう盛り上がらない。ジョギングが趣味の人は多いけど、ジョギングは見ていても楽しくありません。

 偶然性があるものに、人は惹かれます。ギャンブルもそうです。ルーレットもパチンコも、球を使いますね。トランプだったらカードで偶然性を与えている。で、考えたいのは、なぜ人間は偶然性に惹かれるのか、ということです。また、一般的に、男性の方が偶然性に惹かれます。スポーツ観戦もギャンブルも、どちらかというと、男性の趣味でしょう。釣りも、そうですね。偶然性の趣味。一方、女性の方が好きであろう手芸とかは偶然性がありません。コツコツ積み重ねるタイプのものです。

 根本的には、どのような行動に対して、DNAが報酬(幸福ホルモン)を与えるか、ということです。DNAが「こうしたら良いよ」という行動を取れば、人間は気持ち良くなる。男性においては、偶然性の高い中で成果を得るような行為で報酬を得られます。成功するのか失敗するのかというストレス状態、その先にある快楽、そういう行動をとるようにとDNAが働きかけている。一方、女性に対しては、コツコツと積み重ねる行動をとると報酬が与えられるようになっている。

 これらの行動も、人間を群れとして考えたときに、全体として最適化されているということです。人間が「個人」であれば、偶然性に頼る行動なんか取らない方が良い。コツコツ一択の方が良いです。そもそも、大成功を収めたとしても、まぁ大成功というのは具体的には大量の食料などを得た時に、一人で使いようも無いんです。群れを想定しないことには、大きな成功なんて意味は無いのです。

 生物として考えたときに、男性は死んでも構いません。女性10男性1でも子供は10生まれるけど、女性1男性10で子供は1ですから、男性は少なくても構わないわけです。ハイリスク・ハイリターンでOKなんです。なので偶然性の高い、大成功につながるような行動を、男性は取るように設計されている。当然、そのチャレンジのほとんどは失敗するんですけど。てか、失敗しなければ偶然性ではなくて確実性ですから。群れとしては、たまに当たれば良いわけです。トータルでの考えなので。

 女性が死んだら群れとして困りますから、そんなに偶然性が高い行動を取らないようにしたい。なので、ギャンブルやスポーツ観戦も、男性に好まれる趣味になるわけです。さて、このような設定だからこそ、世界中の、主に男性が、ボールを蹴っ飛ばす行為を見て夢中になっているわけです。さて、翻って日常生活を考えたときに、最近の若者は夢がないとか、中国の寝そべり族なんてのもありますが、あれらも、個人化が進んだ社会として当然の結果です。

 大きな成功を収めるのは「群れのため」なんです。ということは、群れが少なければ、最小単位の個人であれば、成功なんて別にいらないんです。たまにバイトして、ネットで趣味をして暮らしていければ良いじゃないですか。一昔前の人が大きな夢を抱いていたのは、群れとしての地域共同体とか、国という幻想がしっかりしていたからです。自分の成功が、故郷に錦を飾ることになる、日本を繁栄させる。そういう動機があればこそ、です。で、故郷も無い、国も信用できない、だったら成功を目指す必要なんか無くなるでしょう。群れが無いんだから。

 今の時代、国のためを思って国家公務員になろうという人は非常に少ないと思いますが、一方で、数少ない「国」の幻想が残っているのがサッカーW杯であり、だからこそ夢中になるのでしょう。出ている選手たちも、国のためと思ってやれることでしょう。ただ、この楽しい狂騒も4年に1度、そのほかのほとんどの時間を支える、なんらかの群れの幻想が必要であり、そのためには、どうにかして共同体を手作りしていくのが王道かなと思っています。またあした。

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