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詩: 春が来る

冷たい風が暖かな光を纏う
甘く沈丁花が香る頃
渡りは近いとツグミが告げる

肩を並べて歩く二人の
軽やかな足取りを横目で見ながら
気持ちも軽く遠回りする

幸運が目の前にあるぞと
日向で猫が目を細め
耳の先でこちらをうかがう

河津桜が咲き始める軒先に
ある日の恋心を思い出して
そっと冬のコートに仕舞う

春が来る

/かとうなみさ

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