「ねえ、私に必要だったものはあなたじゃなくて仕事だったの」 君はそう言って僕の家から出て行った /かとうなみさ
金色の長い髪が揺れている 下りホームで電車を待つ君は振り返らない /かとうなみさ
あのお弁当はあなたと一緒に食べるから美味しかったのね 味のしないシュウマイを口に運びながら ひっそり泣いた /かとうなみさ
君はそんな優しい声で歌ったりしない 変わってないだなんて言うけど 何もかも変わってしまったんだ 君はそんな優しい声で歌ったりしない 一人でいることが増えたのは 君の見ている世界が変わってしまったから? 僕は考えるのをやめた君に残った薄い影をずっと追いかけている /かとうなみさ
春の雨が 悲しくて 辛くて ずっとずっと 泣いている 涙はあたたかくて なんて残酷なんだろう /かとうなみさ
夢の中であなたに好きだよって言われるだけで ずっとずっと幸せでいられる気がするんだ /かとうなみさ
春が香る夜 瞬く星の下で 細くのぼっていく煙を見ている 地面からたちのぼる春の香りは 人に会いたくなる気持ちを駆り立てる 明日 あの人に電話しようかな /かとうなみさ
コンビニの涙みたいなしょっぱさのおむすび食べる午前1時 /かとうなみさ
最後のときまで ずっと そばにいてね /かとうなみさ
あなたを抱きしめるだけで救われる今日を生きている /かとうなみさ
雨音に消えていく泣き声を あなたは知っていますか /かとうなみさ
あなたは わたしの幸せだけを願って 消えていくのね 明日は どこにいるの わたしには 知る資格などなくなって 二度と交差しない道を歩く こんなにも悲しいことは この世にない 枯れない涙でできた海を漂って どこまでも どこまでも /かとうなみさ
君の泣き顔を思い出して どこまでも どこまでも 悲しくなって 有刺鉄線が身体に絡まり続ける 泣いたって もう 赦されることはなくて いつまでも いつまでも ぐしゃぐしゃになって 僕は 元に戻らない丸めたコピー用紙
こんなにも日差しが暖かいのにさ流れる涙は冷たくって /かとうなみさ
すべてがおわって またあたらしく あしたがはじまる いまはまだ あしたときょうのあいだにいさせて /かとうなみさ
目の前の景色がガラガラと音を立てて崩れ落ちていくのを ただ見ていることしかできない 崩れ落ちた先にある新しい景色はどんな色? /かとうなみさ