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「私のトリセツ」を作ってみました。


何年か前、妻と奈良方面へ久々に車で出かけた時でした。
 
 峠へ向かう山道の途中に、 少年野球クラブの旗が      はためいています。
 そんな辺鄙なところに練習グラウンドがあるらしく、
「こんな所まで、親御さんも送り迎え大変やろなあ…」
と、感心していました。
 
 すると、横で妻が冷めた目で
「あんた、前にも全く同んなじこと、言うとったで」 と。
 
 およそ7~8年前にこの道を通った時に、ボクは同じように  感心して、全く同じセリフを言っていたそうで…
 
 そう言われても、覚えていないのだからしょうがない。
 
「毎日が新鮮でええねん…」 
と、ボクがボソッと呟いたのを、妻は聞き逃しませんでした。
 
「あんたは、ノンキに、それでええかも知れんけど、そんなんに、毎回付き合わされるこっちの身にもなって欲しいわ!」
 
 そんなん言われても、覚えてへんにゃから、しゃーない…
  以来、「認知症=かわいそう」は早計と思うようになりました。
 認知症の本人にとって、毎日新しい出会いや発見がいっぱい!
 それこそ、日々を新鮮に感じているかも知れません。
 
 きっとボクは、そんな風になりそう、いや、なりたいです。
 
 ただ、妻が言うように、ボクと関わる人にとって大変なのは間違いないでしょう。
 
 ボクの事だから、認知症になったらなったで、きっと毎日を新鮮に感じていると仮定して、まずは、ボク自身よりむしろ 介護・支援してくれる方たちに、ボクがまだマトモなうちに『ボクのトリセツ』を作成した方が良いとの結論に至ったのです。
 
 終活より先に、認知活(ニンカツやと妊活と間違うのでニンチカツ)や!
 
 で、当時、西野カナさんのサイトに、自分の『トリセツ』を作るコーナーがあったのを発見、試してみました。
 
 
この度はこんな かとも を選んでくれてどうもありがとう。
使用の前にこの取扱説明書をよく読んで  ずっと正しく優しく扱ってね。
一点物につき返品交換は受け付けません。 ご了承ください。
 
 
急にメールを送りすぎることがあります。  理由を聞いても
答えないくせに放っとくと怒ります。   いつもごめんね。
でもそんな時は懲りずに     とことん付き合ってあげましょう。
 
定期的に褒めると長持ちします。   気合いの入れたメイクとか
小さな変化にも気づいてあげましょう。  ちゃんと見ていて。
でも太ったとか    余計なことは気付かなくていいからね。
 
もしも少し古くなってきて   目移りする時は
ふたりが初めて出逢った   あの日を思い出してね。
 
これからもどうぞよろしくね。  こんな かとも だけど笑って許してね。
ずっと大切にしてね。   永久保証の かとも だから。
 
定番なものにもキュンとします。  何でも無い日の
ちょっとしたプレゼントが効果的です。  センスは大事。
でも短くても下手でも  手紙が一番嬉しいものよ。 
 
 もしも涙に濡れてしまったら 
 優しく拭き取って
ギュッと強く抱きしめて   あなたにしか直せないから。
これからもどうぞよろしくね。  こんな かとも だけど笑って頷いて。
ずっと大切にしてね。   永久保証の かとも だから。
 
 
今度は映画館にも連れてって   2月にはオシャレなディナーを
柄じゃないと言わず   カッコよくエスコートして
広い心と深い愛で   全部受け止めて
 
これからもどうぞよろしくね。  こんな かとも だけど笑って許してね。
ずっと大切にしてね。  永久保証の かとも だから 
 
 あー気持ち悪い。
 
 そらね、泣いてる時に、
涙を優しく拭き取ってギュッと強く抱きしめてくれたら…
アラカンのおっさんでも、ウレシイかもしれないけれど。
 
 恋愛用なので、出来上がりは残念ながら、かなり気持ち悪い、認知症用の思惑とは全然違ってしまいました。
 
 
 

 団塊のアラセブの方用に、

『質問事項をいくつか入力したら、自分の『トリセツ』が、SNOOPYとかリラックマとかの装丁で製本して送られてくる!』

なんていう認知活アプリがあったら、大ヒットすると思ったのだけれど、残念ながらボクは、そんなプログラムを作れるスキルは持ち合わせておらず、今に至っています。

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