MasakiKato

こどものWell-being, 教育思想, 学習科学, 組織開発, 大人の学び, 認知…

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こどものWell-being, 教育思想, 学習科学, 組織開発, 大人の学び, 認知心理学などについて調べたこと、参考になった記事などを共有します。

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  • 学びを楽しくするために何が必要か?

最近の記事

学びを楽しくするために何が必要か?(7)- 自分で選択するということ(2)

前回は、学びを楽しくするために必要なものの3つめとして「自己決定」(自分の意思による選択)を取り上げた上で、なぜ、自己決定が学びを楽しくすることにつながっていくのかを説明してみました。 今回は、この「自己決定」の機会が学校などの学びの場でどのように取り入れられているかを挙げてみたいと思います。 ここでは、主に以下の書籍を参考にしています。 従来の学校の授業では、「何をどの順番でやるか、それぞれどれぐらいの時間をかけてやるか」は、全て教師が指示をし、子どもはそれに従う形で

    • 学びを楽しくするために何が必要か?(6)- 自分で選択するということ(1)

      学びを楽しくするために必要なものの3つめとなる要素が、「自己決定」(自分の意思による選択)です。 社会心理学者のデチャームは、人間には、「自分は、自分の行動の源泉でありたい、自分の行動の主人公でありたい」という根源的な欲求があると言っています。子どもの学びにおいてもこのことがあてはまります。 簡単に言うと、誰かにやらされているという感覚をもちながら学ぶよりも、自分で選んだという感覚をもちながら学ぶ方が楽しく学べるということです。 例えば、自己決定理論を提唱した心理学者エ

      • 学びを楽しくするために何が必要か?(5)- 子どもの効力感を育む。というよりも、奪わない(その3)

        前々回、学びを楽しくするために必要なものの2つめとして、子どもがもつ効力感をあげました。そして、前回、学びについての効力感は生まれた時からみんな持っているはずであること。学習性無力感がそれを蝕んでしまったのではないかということを考えました。 今回は、どうすれば、それが回避できるのか?について考えてみたいと思います。 効力感とは、「自分が行動すれば、自分のおかれた環境をもっと良い環境にすることができる」と信じることができる状態でした。学びについてそのように信じることができる

        • 学びを楽しくするために何が必要か?(4)- 子どもの効力感を育む。というよりも、奪わない(その2)

          前回の記事で、学びを楽しくするために必要なものの2つめとして、子どもがもつ効力感をあげました。そして、学びを楽しくするためになぜ効力感が必要なのかについて考えました。 今回は、「効力感」は育むことができるのか。できるとすれば、どのような方法があるのか?について考えてみたいと思います。 効力感のある状態とは、「自分が行動すれば、自分のおかれた環境をもっと良い環境にすることができる」と信じることができる状態です。 構成主義など、教育に大きな影響を及ぼした心理学者ピアジェは、

        学びを楽しくするために何が必要か?(7)- 自分で選択するということ(2)

        • 学びを楽しくするために何が必要か?(6)- 自分で選択するということ(1)

        • 学びを楽しくするために何が必要か?(5)- 子どもの効力感を育む。というよりも、奪わない(その3)

        • 学びを楽しくするために何が必要か?(4)- 子どもの効力感を育む。というよりも、奪わない(その2)

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        • 学びを楽しくするために何が必要か?
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          学びを楽しくするために何が必要か?(3)- 子どもの効力感を育む。というよりも、奪わない(その1)

          学びを楽しくするために必要なものの2つめ。それは子どもがもつ効力感です。 効力感がある状態とは、「自分が行動すれば、自分のおかれた環境をもっと良い環境にすることができる」と信じることができる状態です。 例えば、テスト前の状況で、「テスト範囲を復習するという行動を自分がすれば、復習するという行動をしない場合に自分に訪れる環境よりも、もっと良い環境にすることができる。」と信じることができれば、復習をするでしょうし、「復習するという行動をしてもしなくても、自分に訪れる環境は変わ

          学びを楽しくするために何が必要か?(3)- 子どもの効力感を育む。というよりも、奪わない(その1)

          学びを楽しくするために何が必要か?(2)- 子どもの知的好奇心を増幅させる

          学びを楽しくするために必要なものの1つめ。それは子どもがもつ知的好奇心です。 「もっと知りたい!」という強い欲求(ここでいう知的好奇心)を呼び起こし、学びを通してその欲求が満たされる。このサイクルを上手にまわすことができれば学びは楽しくなるはずです。 ところで、知的好奇心には、「知らないことならなんでも知りたい」というような、広く浅い知識を獲得しようとする知的好奇心(拡散的好奇心とよばれるそうです)と、「(ある特定のテーマについて)もっと良く知りたい」というような、狭く深

          学びを楽しくするために何が必要か?(2)- 子どもの知的好奇心を増幅させる

          学びを楽しくするために何が必要か?(1)- 学びを楽しくする必要がなぜあるのか?

          特に高校までの教育で、「学びが楽しい!」と信じることができるように、教育の場をデザインしておくことは、とても重要だと思っています。それは、大学以降、とりわけ社会人になってから以降は、学びに対する主体性が要求されるからです。 もっと簡単に言うと、大学以降、特に社会人になると「学びなさい!」と言ってくれる人が、急にいなくなります。。。(高校までは、あれだけ、周囲には「学びなさい!」という言う人"しか"いなかったのに!) 「生涯学び続ける」ということの重要性が社会的に高まってき

          学びを楽しくするために何が必要か?(1)- 学びを楽しくする必要がなぜあるのか?