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「野遊び」展のふりかえり

 今回は、art space ruriroさんよりお声がけいただき、色絵磁器の関根昭太郎さんと「野遊び」展を開催しました。お越しくださった皆様、気に掛けてくださった皆さま、有難うございました!今日は、この展示のふりかえりを書いていきます。

 まずは少しですが展示の様子をご覧ください。

                                      photo:Ujin Matsuo
                                      photo:Ujin Matsuo

 当初ruriroさんより、展示時期は「春」、そして展示タイトルは「野遊び」と聞き、私は草花が咲く場所で無邪気に遊んでいるようなイメージをしました。子供の頃に戻っているような感じかな。なので、今回の展示は、あまり考えずに遊んでもいいかなと思ったのがはじまりです。笑

 今回、あまり考えず描きはじめたものは…
①雑草だけでなく、園芸品種も描いたこと!
②花が咲いているものだけでなく、意識して花が萎んでいる・枯れている植物を描いたこと。

それでは、①の園芸品種の絵はこちら。

「2024.02.08バラ」528mm×412mm 透明水彩絵具 
                                  photo:Ujin Matsuo
「2024.02.25 チューリップ」552mm×438mm 透明水彩絵具 
                                                                                                                             photo:Ujin Matsuo

 バラとチューリップは、雑草ではありません。はじめ、描きたいものを描く!と意気込んでいましたが、いざこれを本当に展示して良いものかと後にとても悩みました。野遊びには「野」がついている。「野」といえば雑草だよな〜と。悶々としている時に、家族から「どの植物も元々は雑草でしょ?!」と言われて、ハッとしました。そうだ、雑草を雑草と定義しているのは人間だ。それにほとんどの植物は元を辿れば野に生えていたはずで、それを人が改良し、園芸品種にしているわけだから、今回の展示で発表してもおかしくない。むしろ奥行きが出るかもしれない。そんな風に考えることが出来て、展示をすることにしました。

 ②枯れている植物は、上記のチューリップも花が萎んでいるところを描いています。もう一つ描いたのは、既に花が枯れて無い下記のタカサゴユリ(推測)。

「2024.02.12 タカサゴユリ(推測)」 467mm×390mm 透明水彩絵具 
                                                                                                                      photo:Ujin Matsuo

 私はボタニカルアートを長らく描いてきたので、咲いている植物をこれまで選ぶことの方が多かったと思います。でも、ある方のSNSで萎んでいる花を投稿していたんですね。それを見たときに、違和感と惹かれるものを感じました。もしかしたら、萎んでいる様子が自分の年齢的に重なるものがあり、引っかかったものもあったのかもしれません。また、萎れていくさまは、花がどんな風に咲いていて、萎んだ後これからどうなっていくのかということを想像させ、時間の流れを感じるかもしれない、面白そうだから描いてみようと思ったんです。

 描いてみて、気づいたこと。
今回、「切花」のチューリップと、「地に生えている」のタカサゴユリを描きました。生え方は特に気にせず、どちらも、私には美しく見えて選んだわけですが、「切花」と「地に生えている」この二つは、同じ花が萎んでいく様子でも全く意味が違うことに気づき、ゾワッとしました。

 「切花」の花が萎れていく様子は、”死”や”無くなる”に近づいていることを感じます。でも、「地に生えている」植物の花が萎れていく様子は、種の準備をしていることになります。人間で言うなら妊婦さんのような、生命力あふれる姿です。

 正直この気づきを、まだどう消化してよいか分からないでいます。でも、どちらにも言えることは、私には「美しく」見えたから描いたということです。だから、これからも描きたいし、描き続けたら何かまた気づきを得られるかもしれない。その時を楽しみに制作していきたいと思います。

 遊んでみよう!で試してみた、①園芸品種と②花が萎れていく枯れていく植物を描いてみて、新しい気づきを得られました。自分のピンとくるものに従って進めることも大事ですね。つい、コンセプトや意義のようなものをまずは考えてから作らなきゃとダメなのかなと思ってしまいますが、自分の直感的な部分に従ってみるのも大切だなと思いました。

 この他にも雑草の絵を、たくさん展示しました。
せっかくなので、数枚ですが載せますね。

「2024.03.11 タンポポ」278mm×200mm 透明水彩絵具 
                                                                                                                                    photo:Ujin Matsuo
「2024.02.10 カラスノエンドウ」276mm×166mm 透明水彩絵具
                                                                                                     photo:Ujin Matsuo

 展示空間を見て、私の描い植物たちは、ギャラリーの優しい空間と関根さんの作られた虫や鳥たちと居心地よさそうにしているように見えて、展示させていただけて良かったなと感じています。

 そして、今回も一人では展示が叶わなかったと感じています。ギャラリーのruriroさんや関根さん、野草ワークショプの講師フクマさん、本当に有難うございました!そして、素敵な写真を撮ってくださった宇人さん、ありがとうございました!家族や親戚の皆さんにもたくさん協力してもらいました。私は人に恵まれていると、心底感じます。有難いです。もちろん、雑草や植物たちにもとっても感謝です。

 では、また次回!お会いしましょう!


「野遊び」展
2024.5.10(金)〜5.19(日)月火休み 11時〜18時
関根昭太郎(色絵磁器)、カトウマキ(雑草画家)
art space ruriro(埼玉県川越市田町2-6)

5.18 野草ワークショップ開催
講師 フクマカズエ(江島食堂)




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