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【超感謝祭W権利獲得】ラクドスミッドレンジ&版図ランプ解説

割引あり

0.はじめに

 前回記事からお久しぶりです。Bigsの加藤(Twitter/X)です。
 先日(12/9)、ベルサール高田馬場にて開催された「マジックザギャザリング超感謝祭」内でおこなわれた「チャンピオンズカップ特別予選(スタンダード)」にてトータル7-0-1のスコアでCSファイナル出場権を獲得しました。超感謝です!

 今回の大会では私と一緒にアリーナの王(ArenaCS4優勝)こと齋藤慎也さん(Twitter/X)も予選を突破しており、独創的な構成のラクドスミッドレンジはSNS上でも注目を集めていましたね。

アリーナの王

 私が今回使用した版図ランプのみで記事にするか悩んでいたところ、齋藤慎也さんも記事化を検討しているとのことで共同記事という形で世に出させていただくことになりました。
 つまり、1本分の記事で2デッキ分の知見を得られるということです。これはお得!超感謝!
 年明けより
チャンピオンズカップシーズン2ラウンド3の店舗予選がスタンダード(またはシールド)で開催されます。2月発売の「カルロフ邸殺人事件」までは現環境が続きますのでスタンダードで勝ちたい方には参考になる内容になっているかと思います。

 本稿は下記内容で構成されています。基本無料でお楽しみいただけますが、一部のサイドボードやTipsに関しては有料とさせていただいています。興味を持っていた方は購入をご検討ください。

【無料部分】
①ラクドスミッドレンジ編(著:齋藤慎也)
②版図ランプ編(著:加藤健介)

【有料部分】
③マッチアップ別サイド・ゲームプラン&Tips
④質疑応答コーナー

1.ラクドスミッドレンジ編(著:齋藤慎也)

ご挨拶

 初めまして。齋藤慎也です。
 先日のチャンピオンズカップ特別予選(スタンダード)にて権利獲得に至った、ラクドスミッドレンジの調整録+大会レポートとなります。こうしたものを書くのは初めてで至らない点はあるかと思いますが、私なりの考えをできるかぎりお伝えできればと思いますのでよろしくお願いします。

デッキ選択理由

 普段はリミテッド、スタンダード、パイオニアを主にプレイしていますが、直近は11月末の常滑CSに向けたパイオニアの練習(本戦権利はなかったのでラスチャンに向けて)しかしていませんでした。結局ラスチャンは抜けられなかったものの、スタンオープンに出る予定もなかったので常滑時点でスタンの知識は全くなし。常滑翌週のスタン神には出る予定だったので、常滑後からスタンの調整を始めました。
 スタンオープンの結果を見るとエスパーミッドレンジや青白系、版図ランプあたりが流行の様子。ひとまず友人からデッキごと借りられた青白系を中心に練習し、スタン神では青白フラッシュを使用しました。除去が薄いためアグロデッキや大洞窟のコウモリが入ったデッキはややきついものの、版図ランプには有利という認識でしたが、結果は版図ランプに2回負けて4-2ドロップ。デッキ相性の認識は今でも変わっていませんが、普段黒系のミッドレンジを好む私にとって除去の薄さがどうしても性に合わず、お粗末なプレイを連発。これは勝たんなという感じでした。

 チャンピオンズカップ特別予選(スタンダード)の存在を知ったのは実はスタン神の後。普段モダンをやっていないので、モダンシーズンである今期の予選事情は全く把握していなかったのですが、聞けば特別にスタンでプレミアム予選をやってくれるとのこと。ほな出るか、ととりあえず予約したものの、デッキを貸してくれていた友人も出るとのことだったので青白のパーツは返却、別のデッキを探すことに。
 スタン神は前評判通りエスパーミッドレンジ、版図ランプが最大勢力でしたが、優勝は赤単、また使用者は少ないながらトップ8に2人もボロス人間が入賞し、アグロの台頭を感じました。ボロス人間はもともと興味もあったので、まずはこれを回すことに。攻めっ気のあるデッキで青白よりは手に馴染み、デッキ自体のパワーもかなり感じました。青白同様に除去が少ないこと、またミラーや赤単等アグロ相手の後手には不安がありましたが、もうこれでいいかとカードをそろえようとしていた矢先…常滑に向け一緒にパイオニアのラクドスミッドレンジを調整していた友人から、スタンダード版ラクドスミッドレンジの紹介が。(原案

友人調整版

こちらを少し弄って回してみたところ、あれよあれよと勝ちまくり…。

ミシック帯で勝ちまくり

 豊富な除去、発見による盤面形成(3/2が出ながら除去or追加のクリーチャー)等、アグロにはかなり強く、青白系のデッキにもこちらだけコウモリが使えるのが気に入りました。版図ランプは他のデッキに比べれば当たりたくないものの、ハンデスを絡めた攻めで十分に戦え不利とは感じませんでした。

 やはり自分には黒系ミッドレンジしかない、ラクドスこそ至高、とこのデッキと心中することを決めます。

デッキ解説

 こちらが使用したデッキリストになります。

 初期からの変更点について軽く触れます。

・削剥はスクーナー船を意識してでしたが、逆にスクーナー船専用というくらい範囲が狭く解雇。
・苦々しい勝利もほとんど3点ペイしていたため解雇。
・相手のシェオルを倒せる除去が少なすぎるので喉首狙いを増量。メインサイド合わせて4に。
・ランプ等にも有用なため、結局のところ喉首狙いが一番いいという認識に。スクーナー船を意識しすぎない。
・苔森の戦慄騎士がややきつく、追放除去枠としてサイドに苦痛ある選定を追加。
・ギックスの残虐はデニックに3章が妨害されること、また早いデッキに1章から設置する余裕がないということで数を減らしていましたが、やはりランプに強いカードということで2枚復帰。
・先手で2ターン目コウモリ、3ターン目ギックスの動きがかなり強いためギックス2枚目を追加。
・ミシュラは不穏な火道4枚で十分なうえ、種族が散っていても魂の洞窟はかなりデッキに合っていると感じたため、ミシュラの鋳造所は解雇、魂の洞窟を復帰。
・主要なデッキには概ね有利な認識であるものの、アガサコンボ等の墓地コンボデッキを警戒してサイドに霊柩車を追加。本当は2枠取りたかったものの、当たる可能性は低いだろうということで1で妥協。
・インティは血やカルノサウルス、魂力土地とシナジーはあるものの、全体的に重めな構成のため序盤からディスカードすることはほぼなく、ぼんやりした印象でした。それでも9枚目の2マナ域として採用し続けていましたが、最後の最後に解雇。
実はかなり早い段階でドラコサウルス0で回していたのですが、常滑前にパイオニア用に買ったドラコサウルスをどうしても使いたく、インティを解雇した枠に1枚復帰させ、上記のリストが完成。

個別カード解説
 
主にイクサランで追加された新戦力について書いていきます。地質鑑定士、カルノサウルスの発見2種が注目されがちですが、個人的に推しているのは大洞窟のコウモリ、分派の説教者、不穏な火道、魂の洞窟の4種です。

《大洞窟のコウモリ》

 軽量除去の少ない相手にはめっぽう強いカード。2ターン目コウモリ、3ターン目ギックスの動きで幸せな気持ちになれます。
絆魂ではあるものの、エスパーと違って+1カウンターを乗せたりはできないうえ火遊びで簡単に対処されてしまうので赤単にはサイドアウトします。軽い除去が豊富な相手にはサイドアウト候補になります。

《分派の説教者》

 シェオルドレッドと同じ系譜の高タフネス接死持ちクリーチャー。2/4というサイズは本当に強く、切り崩しや削剥、黒徳目、カルノサウルス等では除去できないうえ、兄弟仲の終焉にも巻き込まれません。当然戦闘でも強く、大抵の相手には一方的に殴っていけ、守ってはスクーナー船もキャッチできます。能力がわかりにくいですが、基本的にライフが勝っているときには1ペイ1ドロー、負けているときは1/1絆魂生成、同じなら両方誘発します。ライフは殴った時点の状態を参照するだけで、解決時のライフは関係ありません。先手の際はほぼ毎ターンドローしてくれるので、実質銀行破りと言っても過言ではありません。PWにアタックした場合、ドローは誘発するものの1/1絆魂生成は誘発しないので注意。

《不穏な火道》

 3マナ起動で2/3威迫、アタック時にルーター能力と非常に強力なミシュラで、4枚必須の認識です。イクサランで登場したミシュラは各色優秀で、特に青白が強いと言われていますが、個人的には青白を凌駕する強さと感じています。勿論一長一短ではありますが、地図の起動マナを必要とせずルーターできる分小回りが利く印象です。序盤のタップインが致命的なパイオニアではさすがにバグベアと目玉の暴君に軍配が上がってしまうかと思いますが、それでも採用できないか考えたくなるレベルです。

《魂の洞窟》

 高マナの骨太なカードがそろっているラクドスミッドレンジですが、えてしてこういうデッキはカウンターに弱いもの。それを解決してくれるのが魂の洞窟です。指定候補は、
・吸血鬼(税血の収穫者4、分派の説教者4)
・恐竜(骨集めのドラコサウルス1、嘶くカルノサウルス4)
・ファイレクシアン(ヨーグモスの法務官、ギックス2、黙示録、シェオルドレッド3)
・人間(地質鑑定士4)
・コウモリ(大洞窟のコウモリ4)
の5種。種族が統一されたデッキで使うものというイメージが強いですが、使い分けても十分に強力です。一番のビッグアクションである恐竜指定が最優先に思えますが、基本はその時々でプレイする種族を宣言します。ただし2ターン目にコウモリで宣言するとその後の色マナがきつくなるためしません(そもそもコウモリで指定することはほぼありません)。後半に複数アクションする際、税血の色マナが一番影響するため実際は吸血鬼指定が一番多いです。カウンターを気にしなくていい相手であれば、まず吸血鬼から宣言しましょう。

大会レポート

参加者106人で4人抜け。予選7回戦+SE1回戦という形でした。

R1 版図ランプ×〇〇
 メインは先手を取れ、ライフ6まで削ったものの太陽降下が間に合ってしまい負け。途中ミシュラで殴ればよかったところ、迷ってぼんやりと地質鑑定士を出してしまったのが敗着。
サイド後はだいぶ楽になるとはいえ、後手で勝つのは大変なため1本目のミスを悔やんでいましたが、ギックスの残虐でアトラクサをもらったりしてマッチ勝利。

R2 エスパーミッドレンジ〇×〇
 エスパーながら、ティシャーナやエラントとジアーダが入っている青白フラッシュのような構成。
1ゲーム目は相手が、2ゲーム目はこちらが、3ゲーム目は相手がマナフラ気味になってしまい終わり。

R3 エスパーミッドレンジ〇〇
 先手で婚礼を3連打されるも、ドラコサウルスが空を駆け抜け勝利。入れててよかったドラコサウルス。

R4 エスパーミッドレンジ〇×〇
 またしても先手で婚礼を3連打され、さらにラフィーン、黒幕、白徳目まで追加。一方こちらもカルノサウルス3体で耐え、ドラコサウルス、シェオルドレッドも駆けつけてすごい場に。
ドラコサウルスを放置したくない相手は、シェオルでの大量ダメージ覚悟のうえでラフィーン、黒幕、トークン3体でアタック。黒幕が7/6まで育ち、ドラコサウルスがチャンプブロックせざるを得ない展開に。カルノサウルス3体も6/6まで育ったトークン3体とすべて相打ち。しかしシェオルは生き残り、返しにミシュラ込みでフルパン。ルーター起動で黒幕に強制ドローさせて追加で2点、そこでも除去を引かれずギリギリ勝利。
 2マッチ連続で婚礼3連打を跳ね除けたデッキのポテンシャルに感動するとともに、いずれもドラコサウルスが活躍しており本当に入れてよかったなと思いました。

R5 青黒ミッドレンジ〇×〇
 スタン神で活躍した精神連繋メカ型ではなく、分派の説教者やシェオルドレッドの入った、ラクドスに近い思想の青黒ミッドレンジ。
 本来青系用のサイドとして取っていた石術の連射が効く気配がなく、やや除去不足な展開に。スクーナー船、分派の説教者、青黒ミシュラというラインナップは環境の除去が当たりづらく良い構成だなと感じました。
 ゲーム自体は1本目運よく先手を取れ、先手が3回勝つ展開で終了。

R6 ID
 トップ8を確定させるべくID。参加賞でもらったクーポン消費のためこの時間でサイドイベントに参加。超感謝。

R7 版図ランプ×〇×(加藤健介さん)
 お互いトップ8は確定しているものの、加藤さんはIDするとSEが後手確定のため、SEの先手をかけてプレイすることに。
1,2本目は順当に先手が勝つ展開となりましたが、3本目はこちらが土地1→土地6+ヴェリアナ→土地5+地質鑑定士+喉首狙いでトリプルマリガン。
最終的に土地2+税血+ヴェリアナでキープし、惜しいところまで行くもさすがにマリガンが響いて負け。

5-1-1の7位通過

SE1 ボロス人間×〇〇
 権利をかけた1戦はボロス人間。相性良しの認識とはいえ後手確定なので油断は禁物。
 1本目はまさに先後が響いて負けてしまいましたが、サイド後に無事2本取り返すことができました。

というわけで6-1-1で権利獲得。それなりに自信はありましたが、想定外のデッキを踏まなかったこと、マリガン地獄に陥ったタイミングが良かったことなど幸運にも恵まれました。改めて感謝。

2.版図ランプ編(著:加藤健介)

デッキ選択理由

 常滑CSファイナルで爆死(初日落ち)した無念よりなんとか気持ちを立て直し今回の大会は約1週間から練習を開始しました。当初は新カード《大洞窟のコウモリ》を獲得したエスパーが最も強いと睨んで最良のエスパーリストを探していました。しかし、先手偏重デッキであり多発することが想定されるミラーで後手番を捲るプランが確立できなかったこと、エスパーといってもデッキの中身はかなりバリエーションに富んでおりリスト自体が煮詰まっていない(最良のリストには到達していない)と感じたことから別のアプローチを模索することに。

強いカードだが難しいカードでもある

 リストが固まっていないのは直近でPT相当のイベントが存在しなかったことに起因しており、単純にアーキタイプとしての強さはあれど明確な仮想敵不在の中で各々が好きなカードを使っているという印象が最後まで拭えませんでした。
 その中で版図ランプは主要環境デッキの中でリストがほぼ固まってきていることから高い完成度に到達していると推測され、更に《魂の洞窟》により苦手としていた打消しを構えるデッキへの耐性も獲得し、明確に強化されたデッキと言えます。(他のデッキは新カードで強化されたように見えるが、本質的には良く分かっていない状況)
 また、基本的にプレイングもさほど難しくなく、マナ加速から重量級のスペルを叩きつけながらアドバンテージを獲得していく骨太かつ非常にシンプルなゲームプランをとれることから練習時間節約の観点からも私のニーズに合っていました。

再録されたのが不思議、なんで?

 実際、《魂の洞窟》から《偉大なる統一者、アトラクサ》を唱える動きは圧倒的に強く並のデッキでは比較にならないパワーを感じたことが決め手になりました。(あとは私個人がアトラクサというカードが好きなので使えるデッキがあれば選びたかった、というのもあります。)

デッキ解説

今回使用したデッキリストはこちら。

 本リストは基本的に現時点のテンプレに近いリストでありオーソドックスなカード選択となっているため、基本部分は割愛してプレイヤーによって個性の出るフリースロット部分とサイドボードの特徴的なカードについて解説します。
 まずは今回メインボードに採用したカード群です。

《集団失踪》

 フリースロット追加のラス枠。《太陽降下》より1マナ軽いことが生死を分ける展開も(特に後手番で)多いです。デッキ非公開性の場合、《太陽降下》はケアされてもこちらはスルーされることもあり、それで拾えるゲームもあります。デッキ構成上、序盤は白マナ2つを優先的に揃える展開になるためトップデッキした際に唱えられない展開が少ないのも強みです。オマケで付いているドロー能力は自身のアトラクサを巻き込んだ時のみになりますので基本的にはデメリットですが、これに限らず多少のカード損はデッキが回れば一切気にならないので延命を何より重視しています。今回の採用カード。

《ゼンディカーへの侵攻》/《覚醒したスカイクレイブ》の4枚目

 3枚目までがテンプレで4枚目がフリースロット枠になります。デッキ内に《装飾庭園を踏み歩くもの》も存在するため実際にこのカードで土地を持ってこれるのは(大体)2~3枚目までであり、4枚目はほぼ機能しません。そのため別のカードにスロットを割かれることもあります。(サイドボードでも良く減らします)
 しかしながら私は版図ランプのベストムーブは3ターン目《装飾庭園を踏み歩くもの》からの4ターン目《ゼンディカーへの侵攻》、土地を置いてバトルにアタック~反転(更には《力戦の束縛》構え)だと考えているため、後半無駄牌になるとしてもメインボードでは4枚採用すべきカードという認識です。よって今回のリストでも4枚目を採用しています。

《向上した精霊信者、ニッサ》

 複数の役割を担う便利枠。フィニッシャーであり厄介な置物をバリバリと割ってくれるため1枚挿しておくと特定のマッチアップで無双してくれます。ミラーでは奥義がゲームを決定させることも多く非常に汎用性の高いカードです。最初はなぜ採用されているのか理解できませんでしたが、今ではメイン1枚は入れ得だと感じています。

 続いて、メイン採用しなかったカード群です。

《完成化した精神、ジェイス》

 版図ランプのミラーでメインボード勝率を劇的に高めてくれる1枚。後述しますが、ミラーは両者が順調にゲームを進めた場合に一方が攻め切るのが難しくLO(ライブラリーアウト)による決着が視野に入ってきます。その際にメインに1枚でもこのカードが入っていればゲーム終盤に‐X能力で15枚一気に山札を削ることでメインボードを勝利することができます。
 版図ランプで大会参加する際にミラーが多いと踏んだ場合は入れることを推奨します。今回は正直そこまでミラーは発生しないだろうと考え、それ以外のデッキに対して無駄牌となって裏目を引くことを嫌って採用しませんでしたが結果としては必要でした。

《執念の徳目》

 序盤の除去+追加の勝ち筋となるカード。版図ランプ自体が「序盤をどう凌ぐか」という命題を抱えているため、2マナでライフゲインの付いた除去はそれだけで貴重です。しかし当然ながら黒マナが必要であり2ターン目の使用は要求値が高いのがネックです(現状のマナベースだと1t目ジャンドトライオームかデッキに1枚の沼を引いている必要あり)。
また、3ターン目は《装飾庭園を踏み歩くもの》を出して土地を伸ばしたいため打つタイミングが難しく手札に浮きがちと感じたため今回は不採用に。(他にも2t目には《豆の木をのぼ》や《力戦の束縛》もアクティブになっていることも多くソーサリーであることも相まって結構使い辛い印象を持ちました。)

 最後に、今回のサイドボードでの特徴的なカードです。

《多元宇宙の突破》

 今回のサイドボードやり込み枠。《完成化した精神、ジェイス》の項で説明したようにミラーではLOが有力な勝ち筋となります。それを最大化するにはどうすれば良いかと考えた結果、このカードに辿り着きました。
ミラーでLOが焦点となることを対戦相手も理解している場合、こちらと同じようにジェイスがサイドイン(または増量)されることが想定されます。《多元宇宙の突破》はゲームのカギとなるジェイスを対戦相手のものも含めて探して使用することができ、2枚合わせて一気に25枚山札削ることができます。
実際にLO戦略に舵を切るのはライブラリーが25枚前後になるタイミングであることが多いのですが、このカードにより相手の意識外から1枚でLO戦略に持ち込み、勝つことが可能になります。

大会レポート

 直近の国内大会(常滑スタンオープン、スタンダード神)の結果から想定したメタゲームはエスパー、青白、青黒といった打ち消しの入ったミッドレンジ系が3割、赤単やボロスなどのアグロ系が2割、版図ランプ2割、その他3割。スタン神の影響で赤単が増え遅いデッキを喰って上がってくることを想定し《痛烈な一撃》を3枚と厚めにとりました。

R1 版図ランプ×〇〇
 さっそくのミラー。のんびりプレイしていると引き分けになりやすいため早いプレイを意識しながらゲームを進めます。メイン戦はゲーム中盤に対戦相手のアトラクサから《多元宇宙の突破》が見え、不利盤面であったこともあり即投了しました。
 そのまま続けて時間を使った状態でG1を落とすとマッチ単位での勝利が困難になるため、サイド後に2本取り返すことを目指す判断をしましたがこれが奏功しマッチ単位では勝利しました。

R2 版図ランプ×〇‐
 ミラー2連戦で心の中で頭を抱えます。メイン戦はゲーム終盤で対戦相手のデッキにジェイスが積まれていることが発覚するも時すでに遅し。G1を落した時点で対戦開始から30分以上経過しておりマッチ単位の勝利が絶望的な状況に。サイド後は対戦相手のジェイスに苦しめられるも終盤に《多元宇宙の突破》から対戦相手のジェイスを釣って山札を一気に削って1本取り返したとことろで時間終了。なんとか引き分けに。

R3 白単ミッドレンジ〇〇
 前ラウンドの引き分けによりミラーをはじめとした遅いデッキとの対面確率が高まったことを懸念していたところ案の定当たって心の中で再び頭を抱えることに。しかしながら対戦相手の事故+ニッサ無双により時間を大きく残して勝利。想定外のデッキに対してニッサが強いことを再確認したマッチでした。

R4 青黒海賊×〇〇
 青黒の海賊ベースに《アクロゾズの放血者》と《精神連繋メカ》を組み合わせた奇襲性の高いクロックパーミッション。メイン戦4キルされて椅子から転げ落ちるもサイド後はジリジリとしたライフレースとなる展開の中、最終的に対戦相手の構えているカウンターが《否認》かそれ以外かの読みを当てたことで運よく勝利。勝ちはしましたが想像以上に強く、デッキとしての伸びしろの大きさ、可能性を感じました。

R5 スゥルタイ大釜〇〇
 《アガサの魂の大釜》、《眠り呪いのフェアリー》と《囁かれる希望の神》を組み合わせた無限マナコンボデッキ。イクサランからは《もがく出現》が採用されており禍々しさが増しており非常に興味深いアップデートが施されていました。対戦相手の土地事故に加えてサイド後の《石術の連射》が効率よくフェアリーを撃ち落としたことにより勝利。

R6 版図ランプ〇〇
 本日3度目のミラー。リアルでのミラーも慣れてきたことで時間配分とプランニングの両面で余裕をもってプレイできるようになっており、メイン戦は培養トークン2個を対戦相手のエンドに孵化させてからのニッサプレイ即奥義で押し切り。サイド後は対戦相手が不要牌を引いているうちに飛行クリーチャーでライフを一気に詰めて勝利。

R7 ラクドスミッドレンジ〇×〇(齋藤慎也さん)
 この時点で両者5‐0‐1の状態であり、IDしてもしなくてもTop8はほぼ確定。ただしIDすると私は確実に5位以下となりSEでの先手が取れないことから(私視点では対戦し得)IDせず対戦することに。
有利な1ゲームを先取して2ゲーム目をハンデスの嵐で取り返され、3ゲーム目に齋藤さんがトリプルマリガンということもあり勝利し6‐0‐1の1位抜けでSE先手を獲得しました。
 実は練習中にアリーナでもラダーで対戦したことがあり、その際はマッチ敗北したので今回リベンジした格好となりました。

SE1 ゴルガリミッドレンジ〇×〇
 特別予選はTop4が決定した時点で終了となるためこのSE1が最終戦となります。ゲーム展開はR7のラクドスミッドレンジと同様に有利なメイン戦を落とさず、サイド後にハンデスをはじめとした妨害の嵐をかいくぐれるかが焦点となり、いちはやく土地を7枚以上並べてハンデスの届かないトップデッキを叩きつける体制を取れるかがカギとなります。序盤に除去よりもランプを優先できるかどうかという点でも先手後手が大きく影響するのですが、運よく〇×〇で勝利することができました。最後にゲームを決めてくれたのはトップデッキしたアトラクサでした、このカード最高すぎるだろ。超感謝。

最高のカード(このイラストが好き)

 というわけで7-0-1と土付かずの状態で権利を獲得することができました。一日を通して幸運に恵まれたのが一番ですが、練習時間が取れない中で自身のスキルセットに合った強いデッキを持ち込むことができたことが奏功した要因であると感じています。

無料分の終わりに

 今回2名の2デッキ分を1つの記事するというイレギュラーな試みでしたがいかがでしたでしょうか。多少見辛く感じた部分がありましたら申し訳ありません。
 これより以下は有料部分となっており、デッキを扱うにあたってより深い知見を得たいという方はぜひ購入をご検討ください。


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