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令和5年の正月に富士見スポットを巡ってみた【横浜三浦編】


3776m
もの標高を持つ富士山は、言わずと知れた日本最高峰の山であり、また、成層火山であるがゆえに非常に均整のとれた八の字型の山容をしており、いにしえより私たちの心を震わせてきました。

そして、ただ美しいだけでなく、この八の字型の山容は「末広がり」と形容することができ、「末」は未来、「広がり」は繁栄をも意味することから、富士山は縁起のいいものとされてきました。ゆえに、新しい1年の始まりである正月に富士山を見て拝むというのは、今年1年の繁栄を願うことを意味しており、初日の出ならぬ初富士という文化が多くの人に親しまれています。

そんな縁起にあやかって、私も近場の富士見スポットへ赴き、初富士を拝ませて頂くことにしました。しかし、どこか1箇所ちょろちょろっと行くだけじゃ物足りません。幸いにして、私の住む神奈川県南部という場所は非常に富士見環境に恵まれており、その日のうちに容易にいくつも富士見スポットを巡ることが出来ます。そこで、時間と天候の許す限りひたすら富士見スポットを巡ってみることにしました。令和5年1月1日(日)、まずはその第一弾として、横浜市および三浦半島の主要富士見スポットを巡りました。以下、時系列でご紹介していきます。地点間の移動は自家用車、撮影はiPhone13proです。

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【6時58分】見晴らしの山
 (横浜市栄区庄戸5丁目)

のっけから「どこだよ」と思われるかもしれませんが、Googleマップにこういう名で記されているので仕方ありません。見晴らしの山と言うくらいだからこの地点は山の上にあるんですが、ひとつの山の山頂というより、だらりと伸びる尾根の一角といった感じ。眼下の斜面が伐採地になっていて遮る物が無く、すこぶる見晴らしの良い場所なんです。

【7時15分】大丸山
 横浜市最高峰(156.8m)
 (横浜市金沢区釜利谷町)

富士山が見えるのも、紅く染まるのも、太陽のおかげです。この富士山を見るという行楽において、太陽はいわば仕掛人であり、影の主役。太陽への畏敬の念を込めて、日の出を拝んでおきましょう。しかもこの日の出は新しい年における最初の日の出。すなわち初日の出です。

【7時35分】瀬上市民の森
 関東の富士見百景のひとつ(No.71)
 (横浜市栄区,港南区,磯子区境界付近)

大丸山の北方に円海山という頂きがあり、その周辺の森が「瀬上市民の森」に指定されていて、横浜市主導の下で緑地保存されています。その一角に見晴らしスポットがあり、こんな感じで富士山を望むことができます。遮るものが皆無に等しく、相模の街並みが遠く西の端まで見渡せて、その向こうに富士山がドドンと構えている感じがとても良いですね。いやー、いい。実にいい。ずっとここにいたい。

【8時12分】松ノ内公園
 関東の富士見百景のひとつ(No.70)
 (横浜市磯子区中原4丁目,栗木1丁目)

横浜市はだいたいどこへ行っても、標高50m程度の小高い山陵が幾重にも横たわっており、しかもその山の上はことごとく住宅開発されて、道路も縦横無尽に張り巡らされています。ハタから見ると、こんな不便なところによく住む気になるなあ、と思ってしまうんですけども、まあ、横浜市内に平らな土地はごく限られていますので、致し方ないのでしょう。しかしそのおかげで、山上に公園が作られ、樹木が刈り払われ、こんな素晴らしい景色を見ることができたりもするんです。

【9時05分】大黒大橋
 関東の富士見百景のひとつ(No.68)
 (横浜市鶴見区大黒町,大黒ふ頭)

ところ変わって、横浜の中心部にやって来ました。いや、厳密には違うな。横浜の中心部を見渡せる場所までやって来た、これが正解。ここは鶴見区臨海部工業と物流の街です。こんな物見遊山客など本来ならば寄せ付けぬ街です。そんな場所へ足を踏み入れてしまった私に、正月献上で働いている工員さんたちが囁きかけてきました。おめえのようなもんが来るところじゃねえ。けえれ。いやいやいや待ってください。富士山が私を呼んでますんで、けえるわけにはいきません。

【9時20分】大黒ふ頭西緑地
 (横浜市鶴見区大黒ふ頭)

せっかく大黒にやってきたので、こういう風景も見ておきましょう。先程の大黒大橋からは果たせなかった夢。それがこの、日本のシンボルと横浜のシンボルの共演です。この二つを同時に写真に収められる場所はそう多くはありませんから、まさに夢のコラボですね。さらに...

こんなこともできるんです。富士山、横浜ランドマークタワー、そして横浜ベイブリッジ。写るんです、トリプルで。あらら、血相変えてiPhoneで写真撮ってたら、釣り客から白い目で見られてしまいました。おめえ、なにしにきただ?けえれ。

【10時20分】横根稲荷神社付近
 関東の富士見百景のひとつ(No.72)
 (横浜市泉区和泉町)

まだまだ帰りませんよ。さて、都会の次は農地です。移動は大変ですが、このギャップが面白い。あれえー、住みたい街ランキング上位の横浜市に、農業さやってるとこなんかあるだ?と思ったそこのあなた。横浜市にはなんでもあるんです

【10時56分】深谷通信所跡地
 (横浜市泉区和泉町)

大事なことなのでもう一度言います。横浜市にはなんでもあるんです。だから、横浜市にはアメリカ合衆国だってあるんです。いや、あったんです。は?なに言ってるだ?

【11時41分】大郷山第二公園
 (横浜市戸塚区平戸1丁目,南区六ツ川3丁目)

神奈川県での富士山ビューイングは、午前中が勝負です。なぜなら神奈川県は富士山の東方にあるため。午後になると逆光になってしまい、冠雪の様子が不明瞭になります。そんな午前中もいよいよ終盤。私の富士山ビューイングもこれで最後ですな。ならば最後は、いかにも横浜市らしい風景をお届けすることに致しましょう。どうですか、この、密に詰まった戸建て住宅群の背後に富士山が構えている感じ。住みたい街ランキングの王者と日本列島の地形の王者のコラボレーションです。

【15時14分】披露山公園
 関東の富士見百景のひとつ(No.81)
 (逗子市新宿5丁目)

さっきのが最後ではなかったんですか。午前中が勝負なんじゃなかったんですか。言ってる事とやってる事が違うじゃないですか。
...いやいやいや、落ち着いて下さい。よく言いますよね、原則には例外が付き物、と。それですよそれ。ま、説明は要らないでしょう。こういうのだったら、午後もイケるんです

【15時28分】大崎公園
 関東の富士見百景のひとつ(同上)
 (逗子市小坪4丁目)

いやあ、良いですねえ。

【16時37分】長者ヶ崎
 (三浦郡葉山町下山口)

というわけで、楽しい時間もそろそろ終了です。日没です日没。シルエットと化した富士山が、最後の存在感を放つ瞬間です

実はこの瞬間だけ、再び冠雪を目にすることができるんです。

【17時08分】湘南国際村
 関東の富士見百景のひとつ(No.84)
 (三浦郡葉山町上山口)

さて、本日の富士山ビューイングのラストを締めくくる場所として私が選んだのは、湘南国際村三浦半島最高峰・大楠山の山裾に造られた複合都市です。空の最後の輝きと、富士山の最後の存在感。そして海。この景色を心ゆくまで味わえる場所として、申し分ありません。
いや、それにしても走った走った。日没から闇へと化すまでの時間なんて、あっという間ですからね。麓の海岸で日没を見送った後、法定速度内で車を飛ばして山を駆け上り、国際村駐車場からここまで全力ダッシュ。国際村にお住みなさるハイソな貴族の皆さまが、おめえ、何しにきただ?と白い目で見てきましたが、そんなことを気にしてはいられません。なんとかこの景色に間に合いました。

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というわけで、合計12地点から富士山を見ることができましたが、どの景色も良かったです。甲乙付け難し。それもそのはずで、どの景色にも際立った特徴があるからであり、さらに言えば、これだけの個性的なスポットをピックアップできるほど、この横浜・三浦の地には富士見スポットが豊富に存在しているのです。また、どのスポットも我々市民にとって身近な場所であり、何時間もかけてようやく辿り着ける場所などひとつも含まれていません。つまりは、生活の中に富士山がある、ということなんですよね。我々の生活を見守ってくれている。そういう存在のようにも思えてきます。その存在に感謝をしつつ、今回のレポートを締めたいと思います。

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