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『正義は勝たない』

※写真は高裁判決で逆転敗訴になった時、東京高裁から横浜の記者会見場に向かう電車の中で、弁護士の先生方が判決文や今までの資料や判例集などを見返しているところを撮ったものです。

正義は勝つのだろうか。
正義とはなんだろうか。

町長選で負けた。高裁判決でも負けた。
今まで自分の信じてきたものが叶わなかった事をここ数ヶ月で2度も経験した。

悔しいとか悲しいとか、そうゆう感情は強く出てこなかった。それよりも世の中の真理とか、漠然とした摂理とか、なんかそうゆう感じのものを身体でジワっと受け止めた感覚だった。

落ち込んでいるのではないかと心配してくれる声もあったが、それもあまりない。

ヌルッとした空気が身体にまとわりついていて、天は私に何を学べと言っているのだろうか、と考えている。

逆転敗訴判決の言い渡しの瞬間、え?という驚きと共に私の目に飛び込んできたのは弁護団のひとりである先生が机に崩れ落ちた映像だった。まるで映画の様な情景は今でも鮮明に脳裏にこびりついている。

崩れ落ちた、というと大袈裟だが、どうにも納得のいかない判決に対して感情が自然と身体を傾かせた、という様な仕草だった。
普段あまり感情を出さない弁護士さんが、その様な素振りを見せた事のほうが私にはショッキングだった。

と同時に、私自身が受けた判決に対して、代理人である弁護士がここまで入り込んできてくれている事に改めてありがたいと思ったし、代理人である弁護士さんに感情が乗り移ってしまう様な不思議な感覚に陥った。こんなに頑張って代理人をしてくれている弁護士を負けさせてしまった。

心が痛かった。

裁判の判決は勝敗の言い渡しである3行ほどが読まれるだけで、判決文はその後にもらえる。まずは裁判所から渡された1部の判決文が主任弁護士である大川先生の手元に渡る。
大川先生はその判決文をものの数秒流し見て、大枠を理解すると早く判決文を知りたい他の弁護団と私、傍聴に来た方々に読み上げてくれた。そして簡単に解説を加えてくれた。

私は法律の専門家ではない。大川先生の解説でなんとなくは理解できたものの、なぜ?という気持ちは払拭できず、モヤモヤと横浜の記者会見場に向かった。

移動中は皆沈黙していた。そして、弁護団の先生方は各々に判決文を読んだり、判例集を調べたりと、重々しい空気の中でも理解を深めていた。

勝訴判決しかあり得ないと思っていたのだが、そうはいかせないと天は判断をしたのか。

記者会見では弁護団からの解説と意見の後、私にもコメントを求められたが、この理不尽にどうにも言葉は詰まってしまった。

しかし、これだけは強く感じた
「天は私に『まだ闘え』と言っている」

物語の正義のヒーローは、悪を倒してハッピーエンドだ。しかし現実はそう甘くない。

何が正義なのかも人によって違う。
私の正義は誰かの悪かもしれない。

慰労会の後、大川先生が私に語りかけた。
「原告は堂々としてれば良い。ちょっと負けたからといって大将はクヨクヨしないの。」
そしていたずらっぽくこう続けた
「それとも、あれかい?もう私は負けを認めますとここで裁判を辞めますか?」

驚いて「まさか!」と答えると、大川先生は笑ってその場を去っていった。

私の物語はまだ続く。負けて終わりではないのだ。

後日、別の弁護士の先生にこう聞いてみた
「先生、正義は勝ちますか?」

するとその先生はハッキリこう答えた
「正義は勝たないです」

そしてこう続けた
「だけど…」
「負けて少しずつ正義に近づくんです」

何度も何度も負けて、それでも信じた正義のために闘うのが土屋由希子弁護団の弁護士たちなのです。

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11月3日(金・祝)13時半〜
防災コミュニティセンターにて
土屋由希子と弁護団による裁判結果報告会を行います。
闘う弁護団に会いにきて下さい。

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