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極座標と鈴蘭の王

平面上の$${x}$$軸と$${y}$$軸による座標(直交座標)は誰でも知っているだろう。しかし、極座標はどうか。極座標$${(r,\theta)}$$と直交座標$${(x,y)}$$の関係は$${x=r\cos\theta,y=r\sin\theta}$$で与えられる。

直交座標系において、原点$${(0,0)}$$は一見特別な点だが、実はそうではない。平行移動でどの点に移っても、状況は同じだ。平面上のどこでも同じような座標が敷設されている。しかし、極座標において原点は特別な点だ。原点には、すべての偏角$${\theta}$$の値が凝縮されている。まるで、原点にだけエネルギーが凝縮されているかのようだ。そして、原点の外に座標は同心円状に広がっている。そういう、パワフルな世界を想像させるのが極座標だ。

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このマガジンのタイトルにある「数学する精神」は2007年に私が書いた中公新書のタイトルです。その由来は、マガジン内の記事「このマガジンの名…

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