マガジンのカバー画像

加藤文元の「数学する精神」

このマガジンのタイトルにある「数学する精神」は2007年に私が書いた中公新書のタイトルです。その由来は、マガジン内の記事「このマガジンの名前『数学する精神』について」 https…
数学にまつわるさまざまな話題(数学・数学と社会・数学と人工知能・歴史・数学者・研究・数学と人間・音…
¥500 / 月
運営しているクリエイター

記事一覧

建築学的数学の終焉

この文章は2024年6月29日開催のHamacho Liberal Artsで、私が行った講演「空間に住む数学」を…

加藤文元
13日前
20

なぜリューヴィルはガロアを発掘したのか?

エヴァリスト・ガロア(1811〜1832)が見出した「代数方程式のガロア理論」は、1832年5月31日…

加藤文元
4週間前
9

ギリシャの風景

今年の2月末に刊行した拙著『数学の世界史』(KADOKAWA)は、おかげさまで4刷目まで重版を重ね…

加藤文元
1か月前
4

線形代数と空間概念

次はよく知られた事実である。 たとえば、$${\sqrt{2}}$$は$${2}$$次方程式$${x^2-2=0}$$の解…

加藤文元
1か月前
12

ガロアは生前誰にも理解されなかったのか?

毎年5月31日はガロアの命日である。エヴァリスト・ガロア(Évariste Galois)は1811年10月25…

加藤文元
2か月前
22

数学はどこまで「普遍的」か?

昨年12月17日のZEN大学(仮称)(設置認可申請中)・株式会社ゲンロン共同新公開講座第4弾・加…

加藤文元
3か月前
45

空間とは何か(4-2) 非ユークリッド幾何学発見における空間(後半)

本稿は連載記事「空間とは何か」の第4回目「非ユークリッド幾何学発見における空間」の後半である(前半はすでに公開しています)。

このマガジンの名前『数学する精神』について

(このポストは本マガジンの説明として書いたものです。マガジン内の記事ではありますが、どな…

加藤文元
3か月前
21

大抵の概念は複合概念である

以前書いた「「$${0}$$と$${0}$$の最大公約数」とは?」 では、数学の定義に関する問題点とし…

加藤文元
3か月前
19

空間とは何か(4-1) 非ユークリッド幾何学発見における空間(前半)

非ユークリッド幾何学の発見とは一体何なのか? ユークリッドの平面幾何学はユークリッド平面…

加藤文元
4か月前
17

偽カマンベールチーズと現代数学

「数学でどのような研究をしているのですか?」と質問されることは多い。その度ごとに死ぬる思…

加藤文元
4か月前
20

いわゆる「出題ミス」について

今年も受験シーズンがやってきたが、残念ながら出題ミス(?)の報道などもちらほらと聞かれる…

加藤文元
5か月前
10

なぜ抽象的な一般論を学ぶべきか?

数学の話は抽象的になる傾向があり、多くの場合それが難しさやとっつきにくさの原因となってい…

加藤文元
5か月前
38

数学における発見のプロセス

「空間とは何か」という連載を進める中で、さまざまな時代のさまざまな人たちによる空間概念について考えている。特に興味深いのは、非ユークリッド幾何学を発見したとされている3人、ガウス、ボヤイ、ロバチェフスキーの空間概念である。後者の2人は実際にその発見を公に宣言したわけだが、その当時は非ユークリッド幾何学の空間モデルはなかった(技術的・思想的に構成できなかった)。それなのに、どうして彼らは非ユークリッド幾何学の発見を確信できたのだろうかという点が、興味深いのである。 ユークリッ