マガジンのカバー画像

教師じゃない僕が教育現場で思うこと

25
運営しているクリエイター

#探究

小学生と大学生は相性がいい

気仙沼の唐桑半島で小学生の平日放課後クラブをはじめて数ヶ月、参加者はどんどん増えてます。 「たんけんから探究へ」 中高生の探究の基になるのは、小学生時代の遊び!かもね、と思いまして。 そして昨日は。 放課後下校してヒマしてる小学生と 春休み帰省してヒマしてる大学生を かけ合わせると。 「唐桑小学校を8年前に卒業しました大学生でーす」 相性いいです。 どちらも力がありあまってます。

高校生マイプロ2023が感動的だったワケ

2023年12月3日、気仙沼でプロジェクトを起こし探究してきた高校生のプレゼン大会「気仙沼の高校生MY PROJECT AWARD 2023」が開催された。2017年より毎年企画してきたが、AWARDとして市長賞を一人選ぶことの意味が初めて分からなくなった。というくらい感動的だった。7年経って見えた到達点が、企画としての自己否定だった。 考えられる理由は2つ。今年エントリーして登壇した12名の高校生が、全員「自分ゴト」として語っていたこと。「気仙沼学びの産官学コンソーシアム

探究学習塾ナミカゼが開塾するまで

2017年と18年に「教育魅力化」の先進地である島根県の離島・海士町を視察しました。公営塾と呼ばれるおしゃれな建物で、高校生が活き活きとマイプロジェクトを進めている様子を目の当たりにします。私たちのような視察組の大人にも慣れっこで、話しかけても気さくに応えてくれます。魅力化コーディネーターと呼ばれる職のスタッフがいて、町長をはじめとする自治体ぐるみの体制もできていました。羨ましい。でも、これは数千人の島だからできることであって、6万人の気仙沼ではできない。悔しいかな、これが私

ウクライナ危機にこそ子どもと平和を探究したい

ある日、うちの風呂に世界地図が貼られてました。なんかの付録だったみたいです。5歳の息子が初めてじっくり見る世界地図に興味津々でして。湯船に浸かりながら、いろいろ聞いてきます。 「ロシアって大きいよね」 「そうそう。んでね、このウクライナっていう国が今大変なのよ」 「ウクライナ?どこ?あぁ、この国か」 1月のことだったと思います。ウクライナ情勢はすでにじわじわ悪化していました。 「なんで大変なの?」 「昔はロシアの仲間だったんだけどね。アメリカの仲間になるって言うから、ロシ

中学生の職場体験をアップデートする

知らぬが仏中学校の総合学習の目玉コンテンツのひとつ、職場体験。地域の企業に2〜3日間入り込んで現場でお仕事を体験、はたらくとは?自分は将来何をしたい?と問うキャリア教育の最も代表的なプログラムです。 気仙沼では多くの中学校が2学年で職場体験を実施するのですが、僭越ながら私コロナ禍をきっかけに「職場体験に何とかメスを入れたい」と考えるようになりました。なんででしょう。 何年も中学校の総合学習を地域とつなぐ役割を担ってきましたが、職場体験はノータッチのカリキュラムでした。既存

探究学習をはじめた気仙沼の中学生が夏休みに自主的に地域に飛び出した話

中学生が動く動く8月19日、夏休みも残すところわずか。久々の晴れ。1学期の総合学習で計画した探究プロジェクトを実行に移す中学生たち。 午前。唐桑中学校の3年生。 遊歩道オルレコースの撮影と浜清掃がしたい!と女子生徒5人が集まりました。海を崖の下に見ながらリアス式海岸の森の中をきゃっきゃと言いながら歩いていきます。 (私は後ろからついていくだけ。) (人より遥かに大きい津波石。) 続いて浜に到着。 たった10分くらいで彼女たちが持参したスーパーの袋はすぐいっぱいに。流

学びを通してチャレンジが連鎖するまちになってきたかもと思った瞬間

気仙沼で一緒に活動するなるさんからお誘いを受けました。「今度、高校生と外国人実習生とバスケするけど、来る?」 その男子高校生は高校の「課題研究」という授業で、外国人実習生たちとのコミュニケーションを深めようと探究しています。そこでスポーツに目をつけ、自らスポーツ交流会を企画した、というのです。 当日、PIER7という内湾エリアにある施設。バスケコート半面分、ガラス張りの屋内運動場にベトナムからの実習生6名がやってきました。高校生は3名。お互いどこかぎこちない感じで自己紹介

子どもの消費大好きマインドを創造大好きマインドに切り替えるには

先日とある中学校の探究学習のお手伝いに行きました。総合的な学習の時間を使って、1,2,3学年全校生徒が一斉にこれから取り組むテーマ設定を行っています。基本一人一つのテーマで「未来の気仙沼を支える」探究だったら何でもOK。 その学校にとって、今年度からの新たなチャレンジです。とてもわくわくする学習です。昨年度から先生たちが時間のない中準備をしてきました。 一人一つとなると実に多彩なテーマが出てきます。防災、環境、人口減少。みんな机の上にそれぞれiPadを出し慣れた手つきであ

学校現場に2週間通ったら見つかったこと

ヒントは必ず現場にある気仙沼のある中学校に2週間通いました。朝から夕方まで。職員室に置いてもらって職場見学です。 毎朝、開通したばかりの気仙沼湾横断橋を渡ります。橋も含めて「復興道路」と呼ばれる三陸道です。この2週間、ルーティンのBGMが誕生しまして。 浦島のトンネルを抜けて、橋に差し掛かる瞬間。大島の緑と海の青緑、空の水色、白い尾を引く漁船と雲、深緑の山を背に所狭しと並ぶ気仙沼の市街地が右から左から目に飛び込んできます。その瞬間がサビに入るタイミングと被ったらもう鳥肌が

【中学生が突撃】気仙沼のUIターン移住者に聞きます!あなたがはたらくのは何のため?

自分たちで企画してみよう!〜中学生の職場体験〜気仙沼の中学生4名が2日間まるオフィスに職場体験にやってきました。まるオフィスには教育と移住支援の事業がありますが、どれもルーティンの業務があるワケでもなく、なんなら事務所もデスクもありません。いずれにせよ、ただ受動的にインプットするだけじゃつまらない。何かミッション(任務)があるといいな。 彼ら自身に何か「企画」してもらうことで「はたらくって楽しい!」ということを実感してもらおう。これがまず私の目的で、それを4人に共有します。

コロナ禍で動きはじめた高校生〜2020を総まとめ〜

「球技大会も無くなりました。このままだとコロナに青春が奪われてしまう」オンラインでスマホ越しに高校生がつぶやきました。1ヶ月前まで高校生活を謳歌していた新2年生の女子生徒でした。2020年3月2日から終わりの見えない休校期間に突入していた時期のことです。 私は宮城県気仙沼市に住んでいて、NPOで教育事業に取り組んでいます。気仙沼の中高生が取り組むまちづくり活動などプロジェクト企画を通じた探究的な学びのお手伝いを、学校と連携して進めています。プロジェクト型学習(PBL)という

【東日本大震災から10年】移住者の私が気仙沼の高校生に気づかされた 3.11による奇跡と違和感

新卒無職ボランティアがどうせ納税するならと「移住」10年前の春、ちょうど大学卒業のタイミングだった私は気仙沼の唐桑半島に飛び込みました。兵庫県出身で、東北には縁もゆかりもありません。早稲田大学在学中に中国でハンセン病回復者が今なお隔離されている村を回っていた私は、その原体験から「今私が現場に行かねば」という「勘違い使命感」を発症、内定先の会社へ勤めることを辞退します。学生時代の仲間の支えが、この新卒無職ボランティアという無謀な被災地入りを可能にしました。 (唐桑半島の舞根1

高校生に気仙沼の10年をまとめてもらいました「8歳の震災、18歳の未来」

震災10年企画はじまります「8歳の震災、18歳の未来」 東日本大震災から10年が経ちます 筆者が気仙沼に移り住んで10年になる春でもあります その節目に、気仙沼の10年を伝えたい。でもどうやって伝えよう? できれば気仙沼のすっぴんを見せたい。化粧をしたって仕方ない そうか、18歳の高校生の声を聞いてみよう 彼らの10年前は8歳。ぎりぎり震災の記憶が鮮明な最後の世代 「10年前の震災?はっきり覚えてますよ」みな口を揃えます 彼らの10年前は8歳。もう震災前の記憶がない最

子どもに「将来何になりたい?」と聞くのはもう時代錯誤、と思った話

中学校でのお話です。 「将来何になるの?」 「マンガ家。でも親はなれないからやめろって言う。私、マンガ家になれますか?」 はて。 絶対なれるよ!だからがんばれ!と励ますのは簡単だけど、なんか薄い。「とりあえず…大前提として」時間稼ぎ気味に答え始めます。 「親は反対しがちだよね。やっぱり我が子が心配だから。自分も10年前、就職けって東北に行くって言ったときはえらい怒られた。なんでこんな怒るんだろうっていうくらい、親父に怒られた。だから、親の反対はあんまり気にしなくてい