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中国語習得に情熱を燃やす男

私が最盛期の性都東莞にいた時の話である。

当時勤めていた会社のサプライヤーで成形屋さんがいたのだが、一人日本人のマネージャーさんがいらっしゃった。

人柄も良く、優しいお方でよく食事したり、マッサージに連れて行ってもらった。

生活のベースが香港にあった彼は、広東語は普通に使いこなせており、若干の外人訛りはあるものの、私からしたら広東語の老師だった。

そんな彼も、深センの片田舎である鎮での仕事がスタートしてからは、広東語のみでは生きていけなくなった。仕方なく、中国語の勉強をするということで、週末に帰る香港の「大陸式KTV」でおねーちゃんから指導を受けることになったそうだ。(笑)

その情熱のかけかたは半端なかった。お金が飛ぶように消えていき、自分の生活すらもままならなかった時期もあったという。

「一番酷い時で、香港の銀行口座で20HK$(約300円)しかなかったんですよ…あれはさすがに参りました。飯食えねーじゃんって…みじめでしたよ、ほんとに…」

そのような生活を半年程続けて、彼はなんとか「大陸人」とコミュニケーションがとれるほど中国語を操ることができるようになった。

ところが、従事した相手がKTV小姐であるがゆえに、喋り方が「女言葉」なのである。中国語で言うと「娘炮」(おねぇっぽい)なのである。

その喋り方を日本語で再現すると下記のような感じである。

「え〜いやだぁ〜超きもいんだけどぉ〜」
「奢ってくれるの?まじ超嬉しいんだけどぉ〜」
「やだぁ〜やめてよ〜」

とある日、彼の喋る普通話を目の当たりにした香港人ラオバン(社長)が真顔で私に聞いてきた、「KEN、あいつもしかしてゲイなのか??喋り方がえらいキモいわ、もしそうやとしたら、俺今後あいつにあんまり近寄らんようにしとくわ」と(笑)

これは、彼に限らず、中国駐在している日本人で、KTVに入り浸りになっている人に多いケースである。ちょっと聞いただけでこの人はどこで中国語を覚えたのか、誰から学んだのだなというのが分かってしまう。

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彼が全情熱を注ぎこんだ中国語。


彼が得たものは「娘炮」な中国語で、失ったものはベンツが1.5台買えるほどの香港ドルであった(笑)


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