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中国人は会社に対するロイヤリティが低い、は本当か?

中国で駐在員をしている、日本人の口から出てくるローカルスタッフ(NS)についての話は、大抵いい話ではない。

「定着率が悪い」

「すぐに待遇のよいところに転職してしまう」

「大した能力もないのに主張ばっかりしてきて、給料上げろと言う」

まあ、普通によく聞く話である。

一方で正しいだろうし、一方で正しくはない。


正直、中国人と日本人の会社に対する考え方が全く違う。日本人の場合、橘玲氏の「(日本人)」でも述べられているように、日本人は会社を「家」と考える。翻って、中国人は会社を「金を稼ぐ場所」と考える

この点を理解して、社員をうまく扱わないと双方の意思疎通を図ることは永遠に不可能である。

このあたり、「スッキリ中国論 スジの日本、量の中国」の中でも鋭く分析され、紹介されている。この本については、また別の機会に紹介させて頂くこととする。

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人材育成コンサルタントの孔氏のNOTEでも鋭い分析がなされていた。流石である。

“よく海外に駐在している日本人から「現地人社員は愛社精神が乏しい」というお悩みを聞きますが、このとき日本人の目からは「会社」とは「自分が所属しているコミュニティであり、運命共同体」に見えますが、現地人社員の目からは「会社」は単にお金を稼ぐ場所にしか見えません。 これは「会社」という存在に対する価値観以前の問題であり、相手にとってそもそも会社は「大事なもの」に見えないので、いくら「会社は大事なもの」と訴えても相手には全く響きません。 相手にはそう見える以上、相手から見えたものを前提に話をしたほうが物事は前に進みます。例えば先ほどの事例で言えば、「会社」は単なるお金を稼ぐところに見える人には、お金を稼ぐだけのところとしての魅力を訴求したほうがまだ会社に対するロイヤリティを持ってくれます。”

氏のこのNOTEに関しては、同じ人間でも同じ見方をしているとは限らないという指摘をされており、その為にはその違いがあるということを理解し、その上でコミュニケーションをとることを勧めている。

“人はつい「相手も同じものを見ているはずだ」と思い込みがちなので、「もしかしたら相手には違うものが見えているかもしれない」ということを頭の片隅に入れておくと、わかり合えない相手とも建設的な話ができるようになるかもしれません。”

そもそも、中国人の頭の中には会社に対する「ロイヤリティ」という概念がないように思う。それはそうだろう、彼らにとって会社は「お金を稼ぐところ」であり、帰属感を示すものではないからだ。

私の妻は、昔日系企業で働いており、日本語も喋れるのだが、ふと聞いてみたことがある。

「どうして日本語を学ぼうと思ったの?」

妻から返ってきた回答はドストレートだった。

「どうして?そりゃお金を稼ぐためよ」

彼女からすれば、日本語を習得する=お金を稼ぐ為のいちツール、という概念であったのである。お金を稼ぐ為に最も効率のよいことが「日本語を学ぶ」というだったということだ。

これは、多くの中国人に共通するものだと思う。もちろん、アニオタ系の方々は少し違うのかもしれないが。知らんけど。

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もちろん、全ての中国人が「金」を中心に据えて会社を選んでいるとは口が裂けても言えない。人それぞれ価値観が違うし、経済的状況も著しく違うのが中国である。

うちの社員を見ていると、上海人は往々にして裕福である。結構な数の人間が、「お前仕事しなくても生きていけるだろう」的な経済レベルにある。要は、お金に困っていない人達である。彼らの場合、会社と言うのは「暇つぶしの場」なのかもしれない。

日本的なロイヤリティをローカルスタッフに求めても、理解されないのはもう自明の理であろう。

彼らの「見ているところ」がどこにあるのかをよく観察し、それをうまく利用することで企業活動に活用していくべきであると最近本当にそう思う。


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