終わらないもの

終わらなくても良い夜は終わり
始まらずとも良い朝は始まる

私はここに立ち止まり進まずとも
瞬く間に変わっていく景色

ふと見上げた先にあったのは
穏やかに形を変えていく雲と
その間を猛スピードで過ぎていく飛行機

飛行機から連なる飛行機雲は
あっという間に空の青に滲んでいく

なんて不自由で、なんて自由な世界

私は今日も生きる
なんの理由もなく
生きなければならないから
それが義務だから

義務に理由はない
だから義務なのだ

あそこで泣いている男の子
あの子は女の子かもしれない
握りしめた小さな拳に見覚えがある
まだ柔らかな手のひらに食い込む
まだ柔らかな爪の先

全てが固く鋭くなっていく
身体も皮膚も考えも心も
年を取るとはそういうものだと
理解も納得もしている 

難しいね

何も難しくはない
全てはシンプルの積み重ね

ただ重ね方が悪かっただけ
それを重ねたのは誰なのか

鳥が鳴く
それは必然
人は泣く
それも必然

必然と偶然の差は目には見えない
それを決めるのは誰なのか

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