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羊時計
2016年8月3日 21:58
ある朝、魔女が目を覚ますと宝石職人は一人もおらず、宝箱は空だった。寝ぼけてまどろんだ眼は、虹彩も瞼も痛いほどに見開いた。目覚まし時計が止まっていたのに気が付いた時のような表情をして倉庫や工房を確認し、しばし唖然としたかと思うとはっと気が付いたように男のもとへ走った。最悪の事態を想定しながら走ると、男は砕け散って宝石になっていた。女は足が傷つくのも気にせずに細かな宝石の破片の上に崩れ落ち