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床下のドクターX

テキサス州を襲った超寒波のため、うちの水道管も凍結破裂し、断水に。前回は、トイレ水に困った私が、雪集めにシャカリキになったご報告をしました。心配して下さったみなさん、どうもありがとう。で、後日談です。

マイナス16度という最低気温をたたき出した5日後、ダラス市の予想気温は22度。寒いままも困るんだけど、雪が溶けたら、一体、どこから水を調達すればいいのー?という、ジレンマに。

もちろん、破裂した水道管を直してもらうべく、修理屋さんに即刻電話はしたのだけど、同じ目にあっている人が山といるようで、留守電が満杯でメッセージさえ残させなかったり、テレビで宣伝しているような大手は、愛想のよいカスタマーサービスが、「ウェイティング・リストに入れますか?今のところ635人があなたの前にいます」と教えてくれたり。

やっと以前に修理をお願いした会社にSOSのメッセージを残し、少し、ほっとしたのもつかの間、テレビのニュースで、配管修理屋さん一人当たりに800件とか、それ以上の修理依頼の連絡が入っているから、待たされるのを覚悟したほうがいいと言っていた。

2日後、SOSメッセージを入れた修理屋さんから「予約がすでに埋まっていて、お宅に伺えるのは早くても10日後か、2週間後になるかも」との連絡が。ひょえー。その時はまだ路面が凍結していて、みんな極力、運転を避けている状況だったから、修理屋さんだって作業開始できないのかも、、、と理解はしたが、途方にくれた。

そんな時、うちの配偶者がNextdoorというご近所同士が情報交換できるサイトを見ていた。いつもは「首輪のない犬が歩いている。コヨーテかも」とか、「ガレージセールやります」みたいな投稿がある。その時はラッキーにも、近所で修理作業をやっているフリーランスの配管修理人からの、もう1件なら修理を受けてもいいという投稿が!速攻で連絡をとると、「じゃ、20分後にいくから」との返事。すでに午後5時。太陽は沈み、気温は再び下がりはじめていた。

そうして救世主のような修理人は、凍り付く道の上をバリバリ音をさせながらトラックでやってきた。「俺の名はコナー、こいつの名もコナー」。コナー&コナーは、マスクをつけた20代とおぼしき若者コンビだった。この人達、料金はお高いけど、責任をもってテキパキ仕事をしてくれるという前情報だった。

「凍結だと思うけど、一昨日、床下のこの辺から破裂音がして、昨日の朝、水漏れの音もしたからそのあと元栓とめて、、、」と、もたもた説明する私に、「36時間か。で、(床したに潜る入口の)穴はどこだ?」と尋ね、コナーNo.1はあっという間に氷点下の床下へ。我が家は築115年の古い木造なので、配管は軒下にある。上の写真がそれ。

床下からコナーNo. 1が、No. 2に電話で「元栓開けてみてくれ」とか指示している。そのうち「なんだこの地域は。どこの家も、みんな(凍結で)やられちまってるじゃねえか。きりがない」なんて、話す声が聞こえてくる。

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そして、これが我が家の凍結のため破裂していた我が家の水道管。氷の体積って、金属に亀裂をつくるほど増えるのね。これで終わりかと思ったら、床下のコナーNo.1から電話があり、「まだ、あちこち漏れてる。バスルームまでの管は全とっかえだ。パーツは持ってきたの使えるから、今晩中に直せるぞ」とのこと。

コナー&コナーは2時間30分くらい、床下で奮闘してくれて、うちは無事に水道が使えるようになりました。コナー君たちは、うちの前は天井から盛大に水漏れしたアパートの修理をしていたそう。「もう3日続けて、修理しっぱなし。さすがの俺らもあと何日、体がもつか。もう少ししたらバケーションに行かなきゃな」と言って、バケーション代なのか?10万円の料金でございました。

高い!なんだけど、10年前にやっぱり凍結破裂を1カ所、別の業者に直してもらった時も6万円以上したから、こんなものなのかも…とため息。だいたい、修理人を見つけられたのがラッキーで、テキサス州では修理人も部品もたらなくて、他の州から修理屋さんがきてくれるのを今も待っている人たちが沢山いる。普段はあまり考えないけど、快適な日常生活を維持するために、いろいろな仕事の人に支えられているのよね。

ちょっと古いけどドクターXを思い出した。群れを嫌うフリーランス(ってか、単なる自営業だけど)で、自分の技術だげが頼りの配管修理人。お高い料金と引き換えに過酷な環境でも、自らの体力が続く限り配管修理で困っている家をレスキューし、バケーション代を荒稼ぎするコナー&コナーなーんてね。カッコいいかも!

少なくとも、停電で寒さに震える有権者を打ち捨てて、自分と自分の家族だけさっさと暖かいメキシコのリゾートに旅立ったテッド・クルーズ上院議員とは雲泥の差。

私には、誰かのお役に立つ技術、あるかなあ。


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