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愛を広げて。憎しみではなく。

警察官に首を膝でおさえられて死亡したジョージ・フロイドさんの事件をきっかけに、米国全土で黒人に対する警察暴力や人種差別への抗議デモが続いています。上のポートレイトは、私が住むテキサス州ダラス市の繁華街で、地元アーチストが描いたもの。一番左がフロイドさんで、右の3人は過去3年間で、ダラス市で罪なくして警官によって射殺された人たち。

日本にいるとなかなか実感できないけれど、同じ地域に住む人が、肌の色が違うだけで、違う扱われ方をしている。「気のせいじゃない?」、「そんな扱いをうける理由があるんだよ」、「自分はそういう経験がないから関係ない」と思う人は、よほど守られた環境の中にいて、自分のごく身近なことにしか関心がない人達。

人種に関係なく、「そんなの、絶対おかしい!」と思う人は沢山いる。メディアだと、どうしても抗議デモの一部が激化して近隣の窓ガラスを割ったり、警察がデモ隊に発煙弾を投げたりしている画像を映すから、日本では「デモってコワイ」と思う人が多いかも。

だけど抗議のデモ行動って、アメリカだと日常的に行われること。だって不満があるなら、声に出して言わなきゃ、わかってもらえないでしょ?そして、「こんなのありえないでしょ!」と政府に対して言えることが、民主主義の基本原則。

まあ、過激な人もいたり、夜になると機に乗じて略奪行為をするけしからん輩もいるんだけど、大多数は同じ思いを持つ人があちらこちらから集まって、一緒に声だしして、歩いて、「あー、地域の人の中に、同じ思いを持っている人、こんなにいるんだ」と、コミュニティ感じるポジティブな経験。人種も年代も、本当にいろんな人が、炎天下でも自発的に集まってくるのよ。

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上の写真は、先週、ダラス市で行われた抗議デモ。みんなで歩いて、市の中心地で、交差点を埋め尽くす人たちと一緒に9分間の黙とう。ビューティフルとしか言いようがなかったよ。その中でまっすぐ前を見つめ、凛として拳を上げている若い女性がいて、思わず写真をとっちゃった。

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色々な人種が住んでいて、黒人人口も多いダラス市は、市長も市警本部長(女性よ!)も黒人。トランプ大統領は、軍を使ってデモ隊から街を取り戻せとかいうけど、住民は兵隊をけしかける敵じゃないし、街は為政者のものじゃなくて、住民のもの。だからまともな市長たちは、住民の抗議の声に耳を傾ける。

今回の抗議活動では、ダラス市警の本部長や、フロイドさんの出身地のヒューストン市警の本部長を含め、多くの警察本部長や警官も、人種差別や暴力を無くすことに賛同している。警察と抗議デモをする住民が、敵対しているわけじゃないというビデオを、ダラス市警のルネー・ホール本部長がアップしました。抗議に賛同する証として、片膝をついて「口を開くまえに、まず耳を傾けよう」と呼びかけています。

先週の市議会では、ホール本部長に対する住民からの不満も沢山でて、ボコボコにされていたけど、それでも住民と向き合おうとする姿勢は、兵隊で守られたホワイトハウスの奥で、もっと軍隊を使って街を取り戻せ(誰から?)とわめくトランプ大統領より、よっぽど真摯だと思うのよね。

まっすぐ前を見て、声を上げつづける住民と、自分に対する批判であっても耳をかたむけ、なんとか地域を束ねていこうとする地域のリーダー達の姿を見ると、米国もまだ捨てたもんじゃないという気がする。

上のポートレイトを目にすることなく、この世を去ってしまったダラス市民のことを含め、こんな記事書きました。よかったら、読んでみて下さい。




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