はったい粉は祖母との思い出のおやつだが、では祖父との味の記憶は何だろうと考えたところ、思い浮かんだのはカンロ飴だった。 祖父は、いつどこでも飴を所持していた。関西のおばちゃんは飴を常備携行しており事ある毎に人に差し出すとよく言われるが、関西のおじちゃんたる祖父も例に漏れずそうである。中学生の頃、週に何日かは学校帰りに祖父の仕事場に寄っていた。仕事場には明治のチェルシーの黒い袋が置いてあった。袋の中から好きな味（さっぱりした酸味のヨーグルトが気に入っていた）を選び、入口にある
はったい粉を知っている同年代の人はどれくらいいるのだろうか。はったい粉とは大麦の粉を煎って粉にしたもので、砂糖を混ぜてからお湯で固めの葛状に練り上げてから食する甘味である。地方によって呼び名が異なり、関西では「はったい粉」、関東では「麦こがし」と呼ばれることが多いらしい。主に戦前戦後の食料が不足していた時代から昭和四十年代にかけて子どものおやつとして重宝されていたようだが、現在ではその名を聞いたり実際に口にしたりすることはほぼ無いだろう。 このはったい粉と私が親しくしたのは
いつも通り５時半に目が覚めたけれど、なんとなくスマホを眺めてから二度寝をする。最近、やっと休みの日にゆっくり布団に入っていることに罪悪感や焦燥感を覚えなくなってきた。10時を指す時計を見ても、そろそろ何かお腹に入れておこうかな、と考えるくらいで、少し心が健やかになった気がする。 起きたら（この時期だから当然だけど）寒かったので、あごだしでうどんを作って食べる。平日はMCTオイル入りのプロテインと炊き込みご飯をぱぱっと胃に入れて終わりなので、料理とも言えないような料理だけ
随分と勉強していた頃に、よく思い浮かべていた図がある。自分を中心に置いてぐるりと円を書く。円の内側が自分が既に理解している事柄であり、円の外側がまだ理解していない事柄である。学べば学ぶほど、円の面積は広がっていく。すなわち、身の内の知識は増える。良きことである。 面積が増えると、当然のことながら円周も増えている。これが肝要である。この図において円周が何を表すかというと「自分がまだ知らないと自覚していて、かつアプローチが可能な事柄に接している量」と言える。学べば学ぶ程、わから
髪を切りに行く。もう１０年近くお世話になっている、丁度１０才年上の女性の美容師さんがいるところである。最初は地元の駅の美容室にその方は居たのだが、ご実家の事情で少し離れた、でも同じ沿線の駅にある別のサロンに移られた。私はホイホイとついて行った。ホイホイとラインを交換し、ホイホイと新しいサロンに予約を入れた。好きな人に付いていくのは楽しい。 その前は別の美容室に行っていたが、大学受験の最中で一分一秒が惜しい時に予約したにもかかわらず、カット開始が１時間遅れたのに業を煮やして見
