一五 ポールの感想 ~僕の勇気~

「ええなぁ、あんた」

 ポールはまずこう言った。

「あんたがうらやましいわ」

「うらやましい?」

「だってそうやんか。あんたはそこから飛び出す勇気があるし、飛び出しさえすれば安らぎに包まれるんやろ」

「うん」

「わしには、その勇気がないんや。…いや、わかっとる。飛び出しさえすれば、そこに満足があるのはわかっとるんや。けどな、もうここまで来ると、飛び出すことができないんや。…だから」

 ポールは深いため息をついた。

「あんたが、うらやましいわ」


> 一六 エピローグ

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