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恵比寿いい店モテる店

「東京いい店やれる店」という名の本がある。知ってる人も多いのではないだろうか。

どんな本か。男女がより仲睦まじい関係になるためのおすすめのお店を紹介した、半分グルメ半分恋愛指南のような本である。半グレならぬ半グルだ。

先日、恵比寿でごはんを食べててふとこの本を思い出した。

恵比寿のやきとり屋さん「鶏敏」

その日、前職の友人であるKZ氏とYS氏と「久しぶりに飲もう」となって、恵比寿の店を選んだ。

ダーツの旅みたいに恵比寿の飲食店マップにダーツをぶさり。その結果、「鶏敏」という焼き鳥屋さんに決まったのだ。

一番乗りで店に着くとカウンターを案内された。しかもコーナースペース。30過ぎというお肌の曲がり角を過ぎた僕らにピッタリであり、3人だとコーナーでL字だからこそ話しやすい。席のチョイスもなかなかやりよるわい。

案件のニオイがする美男美女

カウンターはほぼ満席だった。会社の同僚と思しき男女。一人飲みするちょっとゆとりがありそうなマダム。そして、恵比寿っぽい美男美女。無難美女ではない。

その雰囲気から、たぶんまだ付き合っていないと推察される二人。が、この二人、何だか案件のニオイがする。

そんなことを考えながら待つこと数分、KZ氏がやってきた。そして店内をキョロキョロ見回して開口一番。「けっこうキレイな店ですね。それはそうとカマくるさん、あそこのカップル。男の方は〇〇(芸能人)ですよ。」と言う。

彼のレーダーにも先の美男美女は引っかかったらしい。

やきとりの名は

YS氏を待たずして先に始める。レバー、そり、つくね、ぼんじり、せせりなどを食べ始める。どれもうまい。KZ氏が思わず「レバーってこんなにうまいですっけ?」とうなる。

程なくしてYS氏が到着。先に僕らが頼んだものを追っかけ発注したかと思うと、小学校の頃にいた足が速い少年のように、グイグイ僕らに追いついてくる。彼にかかれば焼き鳥は飲み物になる。

あれこれ食べたあとついに希少部位の「秘宝」へ。秘宝館に明るい都築響一さんもビックリのネーミングだ。そしてこれがまたうまかった。大きかった。

3人でメニューを見ながら、追加注文を考える。YS氏が「そりにしましょう、そり!」と言ったかと思えば、「やっぱりつくつくつくねですね!」とKZ氏。そして「もう一回希少部位の秘宝を!」と僕。

つくね、そり、秘宝、希少部位などなど。なんと、やきとりの名は…案件を連想させるじゃないか!

やきとり屋は案件の炭火だ

やきとりの名は案件を連想させるが、やきとり屋は案件をおいしく食べるための炭火になりえる。つまり、案件を結実させたかったらやきとり屋に行け!ということになる。

野球のキャッチャーがボール球をキャッチした後にミットをストライクゾーンに持ってくる技?がある。審判にアピールするあれだ。名前がわからない。

あれくらい強引で恣意的な仮説をまとめてみると以下のように整理できるのではないだろうか。

・やきとりの名は案件を連想させる
・串刺しの肉を食べることで肉食感に火がつく
・一人やきとりだとちょっと照れてしまう
・鶏肉は体脂肪高タンパク
・好き嫌いを掴みやすい

つまり仲良くなりたい世の男女は、意中の相手とやきとり屋に行く。そして、良きネーミングのやきとりを頼み、串を魔法のステッキのように振り回せば、案件確度がグンとあがるというわけだ。

恵比寿いい店モテる店に認定

そういう意味で恵比寿の鶏敏は絶妙だった。秘宝という希少部位を備えていることや安過ぎない金額感、小綺麗な店内など、「恵比寿いい店モテる店」と呼ぶにふさわしい。

やれる店というのは品がなく恵比寿っぽくはない。だから、モテる店としておこう。

冒頭の美男美女が帰った直後にKZ氏が、「あの二人は女の方が男にベタ惚れでしたね。目が終始ハートでしたよ」と、ハツを食べながら余計なことを言っていた。全く僕には関係ないけど、だとしたらそこにある想いのフィックスを祈りたい。

これを下ネタと軍鶏(シャモ)ネタととるかは読んでくださった方の自由です。ありがとうございました。

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