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守るべきは天使でも悪魔でも人でもない

〈扉の鍵を破壊する。標的は4匹。〉

この世には残してはいけないものが3つある。

1つはPCデータ──こいつを残せば遺品整理から葬式まで笑い者にされ続ける。あの世に行ってまでバカにされるのはごめんだ。

〈BLAM BLAM BLAM BLAM!!!〉

もう1つは寿司──以前依頼先で食ったが、何故好き好んで頼むのか俺には理解できなかった。生の魚?酸っぱい米?最初に考えたやつをぶん殴ってやりたい。

〈泣声を確認。ホーリー・シグを再装填してベッドに近づく。〉

最後はモチロン悪魔──人を誑かして破滅に追い込むのが趣味の紛うことなき人類の敵。奴らの言い分には一言も耳を貸すな、ただ引鉄を引け。これが仕事の鉄則だ。

〈タオルケットを剥ぎ、シグを構える〉

俺は悪魔払いとして同業が死ぬ中、そうして生き残ってきた。だがその日俺は初めて悪魔を見逃した。正確に言えば悪魔と人間のハーフの赤子を見逃した。

そしてもっと正確に言えば、俺はその赤子を家に連れて帰ってきてしまった。

(続く)

#逆噴射プラクティス #逆噴射小説大賞

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