目的が見えない人ほど怖い

今回は刀とはあまり関係のない（いやあるかもしれない）話なんですが、目的が見えない人ほど怖いという話についてです。

今から10年以上も前、入社したての頃に凄く面倒を見てくれる先輩がいた。
何でもやるぜー！と無知で向上心だけはバリバリにあった新入社員時代。
仕事終わった後にはいわゆる自己啓発本なんかを読んでいる時代でした。
その先輩にこの本面白かったです、みたいな話をしていたある日。
「向上心の高い中村君に会わせたい人がいるんだけどどう？」と言ってくれ、そんな展開人生で無かったので面白そう！と思い胸をワクワクさせていました。

当日はカフェでその先輩と元ソ〇トバンクで働いていて今は起業しているというAさんの3人で話をする事に。
Aさんはたぶん30代後半か40代前半位でジャケットをビシッと決めているように見えて、やる気を引き出すような熱を上げるような、そんな話し方をする人でした。私はというともともと開発畑にいたのでそういうビシッと決めているような人は当時周りに殆どいませんでした。
案の定話しているとやる気が出てきた当時の私は、その次も会う事に。

次に会った時、確か20代後半位の少し若めの男性Bさんが一緒に来ました。
愛車はBMW。
先輩が「Bさんは20代で成功してBMWに乗ってるんだよ。凄いよね！」と興奮気味に話していたのを思い出す。
当時はそういう分かりやすい物を持っている人＝成功している人、と単純判断する年齢でして。
「いや～、20代でBMWってかっこいいですね～」なんて感心していた記憶もある。とはいえ車の知識は全くと言っていい程無かったので、「BMW高級」位のイメージしかなかった。
でそこから先輩が「何でこの人は若くして成功したかというと…」というような話を始めた。

もう大体の人が想像してる通り、これは良くあるネットワークビジネスと呼ばれる「マルチ商法」でした。
これは自分自身が代理店となって化粧品などの商品を第3者に売ると報酬がもらえるというもので、同時にその上の紹介した人にも報酬が入るというもの。
上の人は末端にいる人達の紹介料が入ってくるので、Aさん、Bさん、先輩のようにチームを組んで下働きしてくれる人を増やしていくわけです。

「今度説明会やるのでどう？」と誘われたので一応説明は聞きにいった。
確か30人位ある席は大体埋まっていた記憶。
システムを聞くと上手く出来てるなと。そして説明も上手い。
上手にリスクを隠して儲かるような説明をしている。スキルも身に付くし人との繋がりが増えるという良い部分だけが頭に入ってくるような説明。
でも実情は殆どが末端のうちは全く利益にならない、むしろマイナスになるリスクが高い。
でもそんな人達のことは知った事ではない、なぜなら紹介さえすれば自分は助かるから。そして数多の犠牲者を自分の下に置くことが出来れば自分に紹介料がチャリンチャリンと入ってくる、周りからは崇められる、そういうシステムになっていた。
結局やらない事にして、それからはその先輩との関りも段々減っていった。

そんな経験をしてからは新しい刺激を求めていたのか異業種交流会や知らない人とのBBQとかに行ってしまうような痛い時間を過ごしました。
こうゆう所にはまともな人はあまりいない。
何かしら皆目的があって参加しています。
そんな私は色々な人との会話の中である事に気が付きます。

「気さくに話しかけてくる女子、大体マルチ」
「夢語る男子、大体マルチ」
「紹介するよ男女、ほぼ100%マルチ」

稼げる、スキルが学べる、日常が充実…これらのワードが出たら大体マルチ。
いや～面白いぐらいに当たりました。
話の持っていき方が皆同じ。
悲しいかなこういうイベントで私が楽しく話せていたと思っていた人の8割位は大体これで、最後の方は「お前もか。笑」状態になっていました。
これから社会人になる皆さん、初対面で上記に該当するような人にはお気を付け下さい。
なんで私に親しく話しかけてくるんだろ？と直感で思ったら警戒していい。

甘い提案をしてくる人には大体裏に何かある事が多い。
若いうちは大抵はお金か出会いが目的な気がしますが。
それらが目的なら分かりやすいからむしろ安心できる。
先の話で言えば紹介した先輩はお金を稼ぐ事が出来るのと、稼いでくれる人員を獲得できるという分かりやすい目的があるわけです。
目的は行動に繋がるので、目的が分かれば警戒ポイントを絞れる。
だからそこまで怖いわけではない。
でも目的が分からない時は怖い。稀にそんな人がいる。
笑顔でいきなり近づいてくる人が一番怖い。行動が予測出来ないから。
その裏の目的が見えてこない内は深入りしない方が良いと個人的には思う。

他にも何かを得る為にお膳立てするだけしておいて、得たらグッバイ、そんな人も実に多い。いわば奪うだけ奪う人。
そうゆう人は裏が見え隠れするので話していても大抵つまらない。
人を利用してはいけない。
逆に何かを渡した時に返してくれる人は貴重な存在。
同じく誠意で与えてくれる人には何かしらの形で返したいと思う。
目的とか無しに楽しく話し合える人も貴重な存在。
学生時代の友人が生涯の友人になり得るのはそういった裏の目的とか関係なしに出会う所にあると思う。
何年も学校生活一緒に過ごせば大体その人のことも分かる。
ただ稀にマルチなんかに闇落ちする人もいるが、そういう時は「お前闇に落ちたな。笑」と笑えるのでそれはそれで面白い。

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