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重要刀装具の判断基準が難しい

そろそろ重要審査の申し込みが開始しますね。
刀装具の審査も刀と同様に保存、特別保存、重要、特別重要、と4種ありますが、特徴としては毎年の合格数が刀に比べて極端に少ない事が挙げられます。

重要刀装具指定数
第63回:36
第64回:25
第65回:29
第66回:37
第67回:45
第68回:22
毎年の指定数の平均:32

概算ですが、毎年32点づつ位登録されていると仮定すると第1回から今までで大体2100点くらい重要指定を受けている事になります。
(あくまで概算ですので実際の数と異なります)
対して重要刀剣指定はこちらも概算ですが約12000振程あるので、大体重要刀装具は重要刀剣の6分の1位しかない、という事が分かります。

そんなこともあり、例えば鐔でいえば保存や特別保存は数十万円で買えても、重要指定になると途端に400万円を超えてきたりします。
大摺り上げ無銘の重要刀剣などであれば200位から買えるものもあるので、そうした物を一気に凌駕する値段。
しかしそれも指定数を見れば納得かもしれません。
重要刀剣指定の上位6分の1に入る刀が200万円で買える事はありませんので。

しかし個人的に刀装具の重要指定を受けている物とそうでない特保の物での差が正直いまいち分からない。
勿論重要刀装具の貫禄をビンビンに出している品も多いのですが、一方でこれが重要になるならあれもなりそうだけど…と思ってしまう物も結構あります。古美濃とか。
勿論私自身がその物の魅力や見所に気付けていないだけの可能性も充分に高いです。

刀にも出来などが重要に感じる特保はありつつも、重要指定は健全な物が比較的多くなるなど、ある意味全時代の物で評価箇所が一定している所があるのでまだ私のような人でも刀を持てば何となくの判断が付きやすいのかもしれないですが、刀装具は時代によっても流派によっても素材や製法が千差万別でそれぞれの流派の中での評価基準は有っても、全てを横断出来るような共通の評価箇所というのがなかなか無いのではないかとも感じ、そうした点が先に挙げた重要指定品とそうでない物の違いが分かりづらいと感じる理由なのかもしれない、と思う次第です。

希少度や出来、健全度なども1つの評価基準と言えばそうだと思うのですが、希少で出来が良くて健全な物が刀装具には結構多い、だから分かりづらい、そんな気もします。

一方で明らかに重要になりそうもない品なども沢山あります。
…が…刀剣店の方から聞いた話で、特保の刀装具を買ったお客さんが重要審査に出そうとしていたので、「それは受からないと思うよ」と伝えたところ結果は合格、という話もあり刀剣店の方も審査基準が分からないと頭を抱える方は多いようです。

いずれにしても自分が良いなと思う刀装具は出して見ても面白いかもしれません。合格のハードルは相当高いですが、もし合格となれば値段も跳ね上がります。
勿論値上がり目的で買う事はお勧めしません。
個人的には重要審査の結果が出たあとに、審査落ちした結構出来の良い特保が出てきたりする事が多い気がするので、そうした物を探すのが好きです。
多分大刀剣市の前後でそうした重要落ちした特保品が出て来るかもしれません。

こちらは石黒政美の特別重要刀装具指定品。超名品。


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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