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刀展示ケースの特許取得の話①

自分で苦労して考えて製作したものはアイデア部分に価値がある事が多いのでアイデアは守らなければなりません。
人知れず何年もかけてゼロから作りだした物があったとします。
それはいわばアイデアの卵です。
それを世間に公開する事はSNSを用いれば今の時代誰でも出来ます。

その結果称賛される事があれば嬉しいですし今までの苦労が報われる気持ちにもなります。
しかしそれで満足していると足元をすくわれる可能性があります。
あくまで卵なので奪われます。
世の中には卵を平気で奪う人がいます。

つまり投稿を見て真似て殆ど同じものを作り上げて「自分が考えたものだ!」と主張する人がいます。
2年かけて苦労の末生み出した人からしたらその真似た人は何を言っているんだ?と腹立たしい気持ちになりますが、周囲から見たら事実確認が難しかったりします。
「俺の方が先にそのアイデアを考えていた!」などという主張も出来ますからね。

こんな事態を防ぐ、誰が先にアイデアを考えたかを法的に証明出来る物が特許になります。
故にその真似た側の人が特許を先に取ると、2年かけて生み出した人が真似をした、と見なされます。
苦しいですがそれが現実です。

真似をしたと見なされるとどうなるか。
例えば1台売る事にロイヤリティ(手数料みたいなもの)の支払いを求められたり、最悪販売中止に追い込まれる可能性があります。
10万円の物を売って5万円よこせ、さもなくばその製品売るな、と真似した人から言われたら腹立たしいですよね?
しかし相手が特許を持っている以上はそれに従わなければなりません。

故に真似したと見なされる事は辛い事なのです。
自分で考えたアイデアであり物なのに訳が分かりません。
こんな事態にならないように出来る限りの事はしておかなければなりません。


という事で前置きが長くなりましたが、私も製作している刀展示ケースについて個性のあるアイデア部分においては4年程前から特許を申請していました。
特許性があるか認められるかも大事なのですが、まず先に申請しておくことが大事なのです。
先に申請しておけばSNSなどで情報を公開してあとから真似をした人が特許を取得しようとしても、順番を追い越して先に特許を取る事が出来なくなります。

申請さえしてしまえば取りあえず2年間は保護(自分が一番に特許を取れるチャンスが与えられる)されます。
その後に特許性が認められれば特許証がもらえますし、駄目であれば再度検討するという流れになります。

少し前に登録証が届きましたが以下のようなものです。
こうして見るとアイデアが認められたようで初めて嬉しくなります。

あ、因みに何か新しい物を作って販売しようと考えた際に、作る前に作ろうとしている物が他の特許に抵触する可能性が無いかを調べておく事も大事になります。
真似するつもりが無くても真似ていたと見なされれば、先と同じ事態になってしまう為です。

次回は実際に取得した刀展示ケースの特許内容について書いていこうと思います。
え、こんな内容取れるの?という事もあるかもしれません。
私が初めて特許を取ったのはセガに入社して3年目位の時でした。
その位でも取れる位、特許というのは実はあまり難しいものではありません。やり方さえ分かれば中学生でも高校生でも取れるでしょう。
ただ取るまでに何十万円というお金が必要になるので大人の協力を得ないと学生で取るのは現実的には難しいかもしれません。
因みに会社員時代に発明したその特許は勿論当時勤めていた会社の物となりますが、特許の大事さを学ばせてくれたのは感謝です。
大手という事で真似してくる人も多かった一方で守ってくれる味方、しかもその道のプロフェショナルな方も多かったのですが、今自分の事を守れるのは自分以外にいません。
特許は申請するにも何十万、10年維持するのも何十万と費用が膨大にかかります。
正直そこまでお金かけて対応したくない気持ちがありますが、今の仕事は楽しいですし、長く続けていきたいので将来足をすくわれるリスクは減らしておかねばなりません。

という事で実は「刀箱師」というワードや「刀とくらす」という製品コンセプトのワードも商標を取っていたりもします
当初取るつもりは無かったのですが、「刀箱師」というワードの比重が以前より増してきている為です。
「名前何だっけ?あの刀箱師の…」みたいな感じで、中村圭佑という名前よりも刀箱師という名が広まっている感じでしょうか。

そのようなタイミングで刀箱師という商標を誰かに取られてしまうと刀箱師を名乗る事もHPで使用する事も出来なくなります。
自分が考えたのに実に理不尽です。
世の中面倒くさいですね。


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それでは皆様良き刀ライフを!

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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。

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