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特別参加者が来てくれた☆とある8月の古典尺八楽愛好会と一節切の話

先月、尺八歴ウン十年の古典本曲愛好家がお二人、小金井市でやっている古典尺八楽愛好会に遊びにいらしてくれました。


お一人は汲芳会の高橋慈遊氏。西向寺奉賛会の献奏会がきっかけでお知り合いになり、今年一度遊びに来て下さいました。

こちらにも少し書いてあります↓


もうお一人は高澤清峰氏。

一節切研究者の相良保之師の元で、一節切を学んでいるという方です。

一節切を携えて遊びにいらしてくれました。



一節切とは、中世の頃に吹かれていた尺八の事。

根っこが逆側(歌口側)になっている。



今年の6月の法身寺にての虚無僧研究会総会で上杉謙信愛用の一節切の展覧会がありました。

上杉謙信遺愛の一節切


おお!上杉謙信って、あの上杉謙信ですか?

すごい。


この一節切の持ち主の上杉家ご子孫の上杉孝久氏による講演もあり、この一節切は蔵でたまたま見つかったというようなお話でした。

上杉家ご子孫の上杉孝久氏



この一節切を入れている「布地」のほうが価値があるなんて言われたりもするそうです。なにせ中世1500年代のものですからとても古い。

生地は当時の舞人などの衣装とのこと。



そこで、一節切研究者、相良保之師によるお話と、演奏もありました。


そして尺八演奏家の大山貴善氏も一緒に演奏されたのは、アメージンググレイス。

おお、一節切でアメージンググレイスが聞けるとは!

驚きました。


休憩時間に、高澤氏が私を相良先生に紹介してくださった時、私に先生は「学芸員さんですか?」と聞かれました。

相良氏の元には、大学院生の女性が一節切の論文を書く為に通われていたとのことで、私も女性だからという事でその類の人かと思われたようです。

現在、若い方幾人か相良先生の元に勉強しに来ているそうで、今、ジワジワと一節切の人気があるそうですよ。




さて、話は小金井の愛好会に戻り、


前半では、高橋氏、高澤氏にも、本曲の練習とミニ講座に参加して頂きました。


ご自身の尺八の説明をしてくださる高橋氏。


その、練習で「虚鈴」を吹いたところ、谷北無竹系と、小林紫山系と、すこーし楽譜が違うんですね、なんて話になり、高橋氏に「小林紫山系」の「虚鈴」を演奏してもらう事になりました。

両方とも樋口對山派なのですが、なんてお話をしてくださっていると、「對山派って何ですか?」という参加者さんからの質問。


次回、愛好会のミニ講座でみっちりやります♪



そして、次は高澤氏が一節切を演奏してくださいました。


基本の音が16しか無いとのこと。

とてもシンプルなのですが、その音色はなんとも郷愁を誘うというか、ロマンチックなんですよね。


中世の頃は、この一節切が尺八として主流だったのですが、その頃流行りだした浄瑠璃や、地唄に合わなくなり、だんだん廃れ、200年前頃から吹かれなくなったとのこと。


古典尺八界では、やたら長いのが流行っておりますが、私はこの短い一節切の音色もまたかなり素敵だと思います。

ながーい尺八を怖い顔して吹くより、涼しい顔して一節切を吹いたほうがカッコいいんじゃないかなんて密かに思っている。無理じゃなかったらいいんですけど。


余談ですが、以前、尺八研究家の神田可遊氏に、真面目な顔で、「なぜ、音が出ないのにも関わらず長い尺八で演奏する人がいるのでしょう?とりあえず音が出る長さの尺八で吹いたらいいのに。」とついついどこかの演奏会で見たままの感想と質問をしてしまいましたら(私の師匠は八寸管でろくに吹けもしないのに長いので吹くなという人でした)、神田氏は「それは男のコンプレックスというものです。」と真面目に答えて下さいました。




そう言う私も、谷派には10年くらい前から遊びに行っております。

怖くない顔をして吹く努力をしております汗




さて、

一節切と言えば、

尺八演奏家の小濱明人氏の連載中の邦楽ジャーナル、9月号は一節切がテーマだそうです♪


これは読まねばですね。



そして、一節切と言えばもうお一方、國見昌史氏のブログ、

醉竹放語 ~尺八なんじゃもんじゃの記~


只今、一節切が続いています。

もう専門的過ぎて、私はこのブログの存在を「知っている」というだけで、とりあえず満足しています。



さらに、

その國見氏が、仙台にて行われる「能-BOXゼミナール 2023  今をつらぬく古典の光」にゲストスピーカーとして講演されるそうです。

『昔の尺八〜古楽器や先人達が伝える多彩な世界』

お話 國見昌史氏


面白そうだな〜。
仙台かー、遠いなー(泣)



さて、


一節切の話が続きましたが、


やっぱり魅惑的です、一節切。


尺八のことでいっぱいでなかなか手が出せないのが現実ですが、いつか吹いてみたいです。老後、山に籠もってからにしようかな。

カッコいいよな〜、一節切。



こちらは故藤川流光師に託された『一節切の研究』という本。

藤川師本人は、竹内史光師に託されたとのこと。


「あんたに託すわ」と渡されました。


いつか、できるのかしら。


とりあえず、今現在、目の前のことをがんばります。



高橋氏、高澤氏、ありがとうございました🙏


このお二人、虚無僧研究会の初期メンバーでもあり、ずっと仲良しだそうで、何だか羨ましいです。

女子の尺八友達、欲しいな〜。


古典本曲普及の為に、日々尺八史探究と地道な虚無僧活動をしております。サポートしていただけたら嬉しいです🙇