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幕間6 これからの道



キャラ (6)

 いつのまにか大学の屋上に西日がさしていた。

 オレは、落日に溶けるようにホクトが消えた空を、じっと見ていた。

「…………実際、たいしたヤツだよ、おまえは」

 声がして振り返る。

 イテテと言いながらハヤトが身を起こそうとするところだった。


pハヤト

「…………あんなバケモノと互角にやりあうんだからな」


pカスガ

「オレも自分で驚いてるよー」


 ハヤトのために。ナミを護るために。……そう思ったら、オレの中から、信じられないようなチカラが湧き出してきたのだ。

 ハヤトが体勢を崩し、尻餅をついた。ダメージは大きいのだろう。オレは慌ててポケットからレッツプルを取り出しハヤトに渡した。

 ハヤトは、しばらく受け取ったビンを黙って見つめていたけど、おもむろにぐいっと飲み干し、言った。


キャラ (1)

「…………カッコわりーとこ、見られちまったな…………」


 ホクトに一方的にやられたことを、誰よりも恥じているのはハヤトだろう。だからオレもへんな慰めはやめにした。


キャラ (6)

「……次、倍返ししてやればいいよー」


 ハヤトはシニカルに笑って、「次、か」と言った。

 同じようにホクトにやられたナミを見ると、ハヤトほどじゃないにしても、ナミもボロボロだった。


キャラ (6)

「ナミもーおつかれー」


 ドリンクを渡す。


メインキャラ (12)

「………………………………」


 ぶすっとした顔で受け取るナミ。

 オレは「気をつけ」の姿勢でガバッと頭を下げた。


pカスガ

「ハヤトー。ナミー。ごめんなさいっ!!」


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 驚いた顔の二人にまくし立てる。

「……オレ、自分の闇をコントロールできず、ハヤトやナミにヒドイこと言ってしまったんだー。しかも、そのあと、パペットマスターって悪意に、精神の迷宮に囚われてからは、人形のように操られていたんだー」


キャラ (1)

「ったく……手間かけさせんじゃねーよ」


キャラ (2)

「…………そっか」


 ハヤトは快活に笑い、ナミは納得したような顔でうつむいた。


pハヤト

「…………それで、もう、いいのか?」


pカスガ

「んー。なんか、ハヤトとナミのために必死でホクトに立ち向かったとき、オレの中で何かが変わったんだー。たぶん、もう大丈夫だと思うよー」


「…………なんだそりゃ。勝手に解決してやがる」

 ハヤトは笑う。


pナミ

「けど、カスガさんのアリバ、ものすごく大きくて、温かい。いまのメンバーの誰よりも強い、ホンモノのアリバだよ」


 本当のアリバ。今ならオレもその存在を確かに感じて疑うことはない。

「ナミー。ちょっとだけ、ハヤトと話をさせてくれないかー」

 オレがそう言うと、ナミは思いきり「イー」と顔をしかめた。


メインキャラ (12)

「男のコ同士の世界ってヤツ? そういう汗臭いの、ボクだいきらい」


 そう言って少し離れ、下へ降りる階段の小屋の壁に、腕を組んでもたれかかった。

 自然、オレたちは、西日の照りかえる屋上を、空に向かって歩いた。

 ハヤトと二人、屋上の端から、暮れなずむ福岡市の町並みを眺める。


キャラ (6)

「ハヤトー」


キャラ (1)

「んー?」


「聞いたー」

「なにを?」

「ハヤトの……アリバのこと」

 さすがに驚いた顔を浮かべるハヤト。でも察しのいいコイツのこと、すぐに理解したらしかった。


キャラ (1)

「…………へっ。お笑いだろ? お前らを無理やりアリバの戦いに引き込んだ俺自身が、なんとアリバを持っていないときた」


キャラ (6)

「………………………………」


「おまけに、あのホクトってヤツには…………まるで歯が立たなかった」

「………………………………」

「これから、どうすりゃいいんだろうな……」

 それはオレが初めて聞くハヤトの弱音だった。

「いっそ、あとはお前に任せちまうか?」

 冗談めかして笑うハヤト。

「お前の代わりなんて居ないよー。オレたちのリーダーはハヤトだろー」

「けどよ……俺は……」


キャラ (6)

「ハヤトのフォローはオレがやるよー。たとえホクトがまた来ても、オレが絶対になんとかするー。今日のような目にはぜったいに合わせないー。それに、ナミや、ヤノや、コミネだって居るー。シンジローや高校生軍団だってー。みんなで力を合わせれば、なんとかなるんじゃないかなー。そして、そんなオレたちをまとめられるのは、ハヤトだけだー」


「…………いいのか、それで」

「ハヤトは、いつもの通り、『間違ってるかもしれねえが、いいから俺についてこい!』って顔してればいいんだよー」


キャラ (1)

「なんだよ、そりゃ。どんなやつだ、俺は」


 ハヤトが苦笑する。つられてオレも笑った。それは、心の底からの、自然な笑みだった……。


キャラ (6)

「ハヤトー。もうひとつ」


キャラ (1)

「ナミのことだろ?」


「………………うんー」

「……俺も気絶寸前で聞いてたよ。ナミとホクトの話。まあ、状況から察するに、ナミは敵さんと、なんらかの関わりがあるんだろうな……」

「………………………………」

「けどな、そんなナミが、俺のためにあんなバケモノに必死で立ち向かうのも見てる。俺は信じるよ。ナミを」


pカスガ

「ハヤトーーーーーーーそういうところだよー!」


pハヤト

「うわっ。なんだいきなりっ。抱きつくな! キモチわりー!」


pナミ

「え? イヤだ……なに? ふ、ふたりって、実はそんなアブナイ関係でしたの……?」


キャラ (1)

「はあっ? ち、違うって! ナミ! これはいきなりコイツが……っ」


キャラ (6)

「ハヤトー。照れるなってー」


pヤノ

「…………おいおい。おれたちに下を任せておいて、男同士でなにイチャついてんだあ」


 階段のほうからヤノのあきれ声。

 見ると、仲間たちが次々に登ってくるところだった。


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pコミネ

「夕日の中で旧友《とも》同士熱く語りあっていたのだなっ。このコミネ、そういうシチュエーションはキライじゃないぞ……っ」


pハヤト

「…………ばかやろー。それどころじゃねえんだよ。ホクトっていう、悪意のボスがいきなり現れて、大変だったんだぞ」


pシンジロー

「え? 兄貴? じゃあ、カスガくんが見たアリバのひとってのは?」


pハヤト

「……んー? ま、まあ、敵の罠だったってワケさ。カスガもまんまとハメられたらしい」


pカスガ

「………………………………」


pヨシユキ

「それで、そのホクトさんとやらは、どうしたのですな……?」


キャラ (6)

「ハヤトがなんとか撃退したよー。オレも手伝ったー」


 ハヤトが驚いた顔でオレを見る。けれどオレは澄まし顔。


pシモカワ

「さっすがハヤトさん。僕たちのリーダーを張るだけはありますねっ」


pクリハラ

「ムホホ……『無敗の白帯』ここ一番の勝負強さは健在ですねえ」


 クリハラとシモカワが無邪気に感心する。ハヤトは複雑な表情で頭をばりばりかいた。


pカムラ

「(くそっ。その敵のボスってのに、なんとか取り入れないかっつーの……!)」


pヤギハラ

「(にぎゃーーい……今日もいやおうなくボロボロじゃよーーー)」


pカワハラ

「(はよゲーセン行きてー)」


キャラ (3)

「…………あれ? ……なんか、カスガくん、雰囲気変わった……?」


 シンジローがめざとくオレを見て言った。


メインキャラ (12)

「カスガさんは目覚めたんだ。ホンモノのアリバ……真のアリバに!」


 ナミが雄々しく言った。「真のアリバ?」と場がざわめく。


pナミ

「ついに最強の敵が現れたよ。ボクたちは、ひとりひとりが、もっともっと強くなる必要がある。自分の直面する問題と向き合い、逃げずにそれを克服して、目覚めていかないとダメなんだ……本当の強さに……真のアリバに」


 ナミが順番に仲間を見回した。そしてほんのちょっぴり笑った。


キャラ (2)

「…………カスガさんがそうしたみたいに、ねっ」


 ナミの決意が夕日ににじむ。

 オレたちの、これからの道が定まった。

 オレの役目は、ハヤトと共に歩き、アリバのないハヤトとナミを、全力で護ること。仲間たちのために、必死で戦うこと。

 そうすればきっと、オレの中の闇は、もう二度と顔を出さないだろう。


pカスガ



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 第6話 【共に歩く道】終わり



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 第6話終了時のステータス◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


メインキャラ (1)

ハヤト


森家ファイト! ver1.05taki3 2019-08-02 22-34-30.mp4_snapshot_13.53.170 (2)

カスガ



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