福岡ファイト!「第二部のプロローグ」
「……俺はこの物語の道化だ」
そう言って、その不吉な男は、彼らの前に現れた。
あまりにも大きな壁として。
そして、乗り越えられることを予定されたような壁として。
そういう意味では、その男・ホクトは間違いなくこの物語の道化だった。
けれど、道化というなら、『彼ら』も同じ。
アタシだってそう。マユやケイもそう。みんなそう。
この夏、福岡市で、ゲームのコマとして戦った、すべての人間が道化だった。
いっしょうけんめいに生き、笑い、泣いて、誰かを好きになり、「誰かのために」と本気であがく人間を、道化と笑うならば。
物語の黒幕は、みんなを軽んじた。
ライバルとして定めた最強の悪意をも軽視した。
黒幕が見ていたものは、ただひとつ。
『彼』の中で発芽を待つ、まがまがしい存在……【狂気】
アリバも、悪意さえも。
黒幕にとっては、たいした意味を持たなかったのだ。
◆
物語は、いったん『ハヤト』を離れ、仲間たちの視点へと移る。
さあ、語ろう。
やがて訪れる、地球の命運を賭けた決戦を前に、
『エサ』くらいにしか思われていなかった11人の男たちが、
自分と向き合い、
弱さや悲しみを、ボケと笑いでごまかし、
くやし涙を流し、どん底から立ち上がり、
アリバの意味を知り、
やがて……『本当の優しさ』に目覚めていく、そのストーリーを。
第六話 「共に歩く道」
第七話 「悪意の恋人」
第八話 「サマーバケーション」
第九話 「アリバの消えた日」
第十話 「明日へと進む道」
第十一話 「クリハラ十番勝負」
第十二話 「決戦福岡市」
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