お寺は銀行もやっている
お寺はお葬式の時にお経を挙げたり、座禅などを組んで修業の場であるだけではありません。
信徒や他のお寺からお金を預かって、それを何かの時に貸し付けたりもしています。すなわち銀行業務をやっているお寺があるのです。例えば浄土真宗本願寺派(お西)には開教推進金庫という銀行があって、融資もしています。
融資を行うのは他のお寺や信徒の団体に対してです。例えば布教のための活動資金が必要だけど、その元手がない時、あるいは新しいお寺を作りたいけど、費用がない時などです。
その訳は銀行というものが無かった時代にさかのぼります。
金融業者がない時代とか、そういったものがない地方で、お金がないけど、まとまったお金が必要な時にどうしていたかというと、無尽というものをやっていました。無尽というのは、普段皆でお金を少しずつ積み立てておいて、何かの時にそこからお金を出すというものです。出してもらった方は、その後、少しづつ返済します。クレジットカードや月賦払い等の制度もサービスもなかった頃は、こうやって家を建てたり、氷式の冷蔵庫や手回し洗濯機などを買っていたのです。
こういう時代は(今もそうですが)寺は地域コミュニティのよろず相談所でもあった訳ですから、とうぜん無尽の相談も受けたし、特定の個人宅ではなく、会計がオープンでネコババしそうにない所として、お寺が無尽の取りまとめをやっていた地域もあるのです。そして信徒のお金をしまっておく施設を無尽倉と呼びました。
こういった歴史的経緯から、お寺でも銀行業務を行うところが今でもあるのです。
無尽のことを「○○講」と呼ぶこともありますが、これはお寺においてお経の講義を受けているメンバー同士で無尽を行っていたことの名残だといわれています。
https://www.hongwanji.or.jp/jiin/doc/jiinshinko_01.pdf