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世界の終末のくうき 2

※コレは小説です
※コレは小説です

せかいには誰もいなかった
みんな死んだ
終わっちまった

少女Aは目を覚ました
彼女は氷漬けにされていた
機械の不調により冷気が失われた
氷が溶けて彼女は生命を取り戻した
少女Aは自分の事を思い出しながら地上へ向かう
地上へ繋がる螺旋階段に微かな光が灯る
地下室は真っ暗だった
少女Aは暗闇に怯えた
螺旋階段を恐る恐る登っていく
扉に突き当たる
彼女は扉を開く
せかいへ飛びでる

そとのせかいは誰かが手入れをしたかのように整った草原で満たされていた
少女Aはその光景に目を丸くした
辺り一面草原しかなかった
少女Aは誰かいないか呼びかけようとするが喉が震えなかった
まだ身体は本調子でないようだ
少女Aは座り込んだ
風景を眺めた
するとお腹の音が鳴る
こんな状況でも身体は正直だ
すると少女は思い出した
この世界に来るまでのシチュエーション
そして合点した
せかいは滅びてしまったのだと
すると少女Aは自分一人しかいないのではないか。その疑問が頭を苛む。
ワタシ一人で生きていくなんて、無理だ。
少女Aは吐き気に襲われた。
美しい草原に内側を吐き出す。
自分という存在が空っぽになる感覚を覚えた。
少女Aは気を失った。

目を覚ます。
目の前にロボットがいる。
ギョロギョロした目つき。
アンドロイド?
「目を覚ましたか。ワタシはJDサリンジャー。アンドロイドと人間の融合体です」
少女Aは聞き返す。一度では呑み込めなかった。
「ワタシはJDサリンジャー。アンドロイドと人間の融合体です」
少女Aは何度か聞き返し漸く合点した。
名前は何処かで聞いた事のある響き。小説家だと思う。
アンドロイド? もしかして少女Aが意識を失ってから新しい技術革新でも起きたのでは。しかも人間と融合するなんて。
「ワタシは目的地へ向かっています。アナタはその場所を知っていますか」
少女Aは自身の状況を説明する。
ワタシはずっと凍っていた。だから今のせかいが何であるのか。此処が何処なのか。わかったモノではない。
サリンジャーはそれを聴くとなるほどと答えた。
サリンジャーによるとこのせかいには少女Aが察知したようにヒトはもういないらしい。
少女Aは最後の人類のようだ。
どうしてそんな事になったのか。
気が重いし、辛い。
生きていく術なんて掴みようもない。
暗い。暗すぎる。
そもそもお腹が減って仕方ない。
このまま餓死するより他にないのか。
するとサリンジャーは急に穴を掘り始めた。
少女Aは離れて様子を見守った。
サリンジャーは穴から虫を取り出した。
それはミミズだった。
少女Aは顔を青ざめさせる。
サリンジャーはミミズを差し出す。一歩も引かない。
「食べないと生きていけないんでしょ」
それはそうだけど。流石にミミズなんて。
「贅沢いわない。生きていくため」
少女Aは目を瞑る。
勇気を振り絞った。空腹には代え難い。
と纏めるのは易し。行うは難し。
口に入れた拒否反応を示して、再び吐く。
「好き嫌いしてはダメ」
再び口へ。吐く。その繰り返し。
その繰り返しの果てに漸く胃の中に納めることに成功。
非常に慣れるのに時間がかかりそうな味。
生きるって大変だ。

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