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研究生活に必要なもの(1)

無敵の初期条件

1を聞けば100を理解し、さらに1000に展開できる頭脳、
半年くらいで次々と新しい言語を身につけ論文の読み書きができるようになる語学センス、
家に代々伝わる国宝級の史料、
研究以外のことは何も考えなくて良い経済的基盤・・・・・・
いずれも実際目にしてきたものです。
どれか1つに恵まれているだけでも、学者としてだけでなく、社会を生き抜いていく上で大きなアドバンテージになるでしょう。

残念ながら、ほとんどの人は、いずれも持ち合わせていません。
10を聞いて調子が良ければ7くらいを薄らぼんやりと理解する頭脳、DeepLにお世話になりっぱなしの語学力、数百万円の相続で揉める実家といったところが現実です。

モブ学者の悲哀

しかし、そんなモブでも学者として生きられます。
というより、日本の現状では、人文系の博士課程に進んでしまったら、学者として生きていくしかありません。
理系であれば、一般企業や民間研究所といった就職先もあると仄聞しますが、文系では、そうしたルートはあまり期待できないでしょう。
学者として、精神的にも経済的にも安定を得るためには、大学の専任職を得るのが一番確実に思えます。

そしてだからこそ、専任のポスト争いは熾烈になります。
一つの公募に数百の応募者があることは、決して珍しくありません。
最近は、語学の非常勤ですら、かなり厳しいレースになることもあります。
初期条件に恵まれずにそんな世知辛い社会で幸せになるには、いくつか大切なことがあると感じています。

いつ、どこで、どのように研究するか

その一つが研究生活のスタイルの確立です。
研究ではなく、研究生活のスタイルです。
私たちは、学者だろうがファンドマネージャーだろうが無職だろうが、生活をしなければなりません。
ここでいう生活とは、何ら難しい意味ではなく、文字通り、朝起きて、食事をして、必要な買い物を済ませ、風呂にはいり、十分な睡眠をとることです。
生活を諦めたり放棄したところには、何の幸せも生まれません。

学部を出て一般企業に就職すると、多くの場合、生活スタイルはある程度は自然と確立されます。
出社時間や退勤時間、仕事をする場所、休みの時期などが自動的に決まるからです。いくら仕事のスタイルが流動化しているといっても、職場ごとにそれなりの拘束があるはずです。

拘束は大切

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