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地方移住のメリット・デメリット(1)

前回の初投稿から半年以上も経ってしまいました。その間、仕事が忙しくなったことに加え、移住先で建てていた家がようやく完成したことに伴い、仮住まいからの引越し等で年末年始は忙殺されることに(言い訳)。引っ越してから2ヶ月近く過ぎ、ようやく落ち着いてきたので、移住のメリット・デメリットについて書いてみたいと思います。なお、以下はあくまでもT市に住んだ私個人の感想で、移住者すべてに当てはまるわけではございませんので、その点は何卒ご了承ください。

移住のメリット

・広い土地・家に住める

 これはもう、最大のメリットと言っても過言ではないでしょう。特に家族持ちの人にとって、子供が安全に遊べる庭や、開放的で広く伸び伸びとした空間は、何者にも変え難いものです。私自身、幼い頃から官舎住まいでしたので、狭い家で家族と窮屈に暮らすことには慣れていましたが、いちど広い家(建物面積で150平米ほどですが)に住んでしまうと、もう元の暮らしには戻れないなという気がします。
 我が家は子供が三人いるので、東京にいる限りそれぞれが個室を持つことは不可能でした(官舎では、息子二人が相部屋で、娘はリビング横の和室を部屋にしていました)。新しい家で子供たちはそれぞれ部屋を持ったことで、自分の空間を持つことができ、静かに勉強したり、リラックスすることができます。また私は大きな窓のある広い書斎で森を眺めながら、毎日気持ちよく仕事をしています。
 実は多少予算を奮発し、メーカーさんが当初提示してくれたプランよりも一回り大きい設計にしたのですが、後から考えると正解でした。リビングは広々として、特に何を置くわけではありませんが、広い空間に大きなスピーカーでお気に入りの音楽を聴くと、心の底からリラックスできます。週末は大きなテレビにアンプを繋ぎ、大音量で映画や音楽番組を楽しむことも。田舎は家と家の距離があるので、ご近所迷惑を気にする必要もありません。
 また土間と薪ストーブも設置したので、キャンプチェアでお酒を飲みながら、ゆっくりと読書を楽しむこともできます。2階に繋がる階段横には大きな書棚を設置してもらい、たくさんあって置き場所に困っていた子供達の本を収納することができました。時々娘が階段に座って本を読んでいるのを見ると、心から移住して良かったなと思います。当然書斎にも大きな書棚を置いたので、仕事関連の書物や書類も全て収まります。
 もちろん、妻は庭仕事で大忙し。土地は200坪以上あるので、家を建てて駐車場を作っても有り余るスペースがあります。そこに畑を作り、子供達の遊びスペースを設け、ゆくゆくは小屋を建てたり木を植えたり、、、と、将来の夢が広がります。もちろんBBQもし放題。ご近所さんからは距離もあるので、煙や匂いでご迷惑をおかけする心配もありません。我が家はある程度子供も大きくなってしまったのでそこまで庭で遊ぶ機会もありませんが、お子さんの小さい家庭であれば、尚更庭付きの家のメリットを感じられると思います。

・人が少ない

 第二のメリットは、ズバリ「人が少ない」こと(笑)。私も妻も地方都市育ちなので、東京で人の多い場所に行くといつもゲンナリとしていました(といっても、大学時代を含めるとお互い東京に20年以上住んでいたわけですが・・・)。T市は人口12万程度ですが都市機能が揃っており、また1時間に一本程度東京までの特急も走っています。自宅から駅までは3kmほどの距離で、東京に行く時は自転車や妻の運転する車で駅まで行きますが、渋滞とはほぼ無縁ですし、駅前の停車場に停まれないこともありません。
 また駅前には最近できた綺麗な図書館もあります。東京にいた頃は、休日に図書館で席をとることもままならなかったのですが、T市の図書館はいつ行っても広い空間でゆったりと本を読むことができます(飲食可能なスペースや野外テーブルもあります)。研究個室も空いているので、たまに自宅で仕事をすることに飽きた時は、気分転換を兼ねて図書館で作業することも。さらに隣接する駐車場はいつ行っても空きがあり、おまけに図書館で無料券も発効してくれます。
 さらにテニス好きの私や子供達にとって、コートが取り放題というのは本当にありがたい。東京にいた頃は、1ヶ月、2ヶ月前からネットで必死に予約をして、抽選で当たればラッキー、という具合でしたが、ここでは週末以外はほぼ空いているので、気分次第でいつでもテニスをすることができます。テニスコートの相場は大体東京の2分の1から3分の1くらいなので、懐事情にも優しい。一つのコートで十人くらいがプレーするという東京で見慣れた光景も、ここでは部活以外に見たことがありません。
 ということで、2番目のメリットとしては「人が少ない」こと。正直シャッターがいつも閉まって閑古鳥の鳴いている駅前通りに当初は若干引き気味でしたが、最近ではむしろ街が発展して人が増えてしまうことを懸念しています(笑)。因みにお隣のTKB市は全国でも有数の人口増を毎年記録していますが、やはり渋滞や混雑の問題が年々増えているそう。せっかく東京から移住したのに、同じような問題に悩まされてしまうのも勿体無いですよね。
 今はネットでなんでも買える時代ですし、衣類や電化製品等の現物が見たければ車で10分弱の市内のイ○ンモールに行けば大体揃っているので、そういう面でも不便を感じたことはありません。もちろん賑やかな場所が好きな方もいると思いますが、そうでなければ、地方移住のメリットをより多く感じることができると思います。

・通勤が楽になった

 これは、意外に思われる方がいるかもしれません。けれど、中途半端な都会に住むくらいであれば、思い切って遠く(ただし、交通の便が良いところ)に移住してしまった方が、通勤が楽になるかもしれません。私はかつて5年間ほど、東京郊外の市から都内の職場までdoor to doorで片道1時間半くらいかけて通っていました。始発の止まる駅だったので座れるのは良いですが、ラッシュ時には座っている席にも人が寄りかかってくるくらいの混雑ぶりで、職場に着いた頃にはぐったり、という毎日でした。
 その後運よく都内の官舎に移ったので、通勤はグッと楽になったのですが、それでもラッシュを避けることはできず、体を痛めたり、気分が悪くなることも。ついにはそれが嫌で、自転車通勤を始めました。職場までは片道8kmでそれなりに距離はあるのですが、都内のオシャレなビルや街並みを眺めつつ、毎朝自転車で職場まで行く生活は、健康的でそれなりに気に入っていました。
 ただ、都内のアップダウンの激しい道路で、往復16kmの自転車通勤は流石に毎日となると、体にくるもの。当時は30代後半から40代前半だったのでまだなんとか頑張れましたが、この通勤スタイルをずっと続けることは難しいな、と思っていました(もちろん、ご高齢でも頑張っていらっしゃる方はたくさんおりますが!)。
 そこで移住の第一条件として考えたのが、始発で座れること、かつ、特急やグリーン車が使えることです。贅沢に思われるかもしれませんが、田舎暮らしで浮いた家賃を交通費に使えると思えば、決して難しい話ではありません。また転職により職場にも毎日行かなくて良かったので、週に2、3回東京に通勤で行く時は大体特急かグリーン車を利用しています。
 特急は時間にもよりますが、ほぼ席を取ることができ、それでいて隣に人が乗っていることも少ない。そうすると東京駅に着くまでの1時間弱の間、荷物を広げ、タンブラーでコーヒーを飲みながら、ゆっくりと仕事をしたり本を読むことができます。これはある意味で、最高に贅沢な時間かもしれません。同じことは、新幹線通勤の方にも当てはまると思います。
 もちろん、特に毎日通勤される方には、費用面で難しい部分もあるかもしれません。けれど、私からすれば無理に都内に拘って満員電車で通勤し、体を壊したり神経をすり減らすよりも、多少時間はかかっても地方に移住し、そこから特急や新幹線で通う方が、はるかに体には良い気がします。特に歳をとるにつれ無理が効かなくなるので、高額な人間ドックに行ったりサプリを買うくらいであれば、多少足が出ても、通勤スタイルを見直すのが良いのかもしれません。

・移住支援金が出る

 お金の話が出たついでに支援金の話も。T市では都内に一定期間住んでいた移住者を対象に、一家庭あたり100万円の移住支援金を提供してくれます(H5年4月時点での情報)。オマケにその後政府の政策が変わり、子供一人当たり30万円の支援金も出ることになりました。我が家は子供が3人いるので、最終的にはなんと190万円も支援金をいただくことができました。私の場合これは、特急で往復通勤した場合のおよそ10年間分の交通費に相当します(週に2〜3度通勤の場合、普通車の通勤定期分を除く)。
 もちろん、移住対象者には様々な条件がつきますし、申請の時期や人数によってはもらえないというケースもあるようです。T市も当初は、移住支援金の財源を他に回すという案もあったようで(そんなことして良いのか???)、窓口で散々すったもんだした挙句に頂くことができました。移住を考えていらっしゃる方は、移住先の役所に極力足を伸ばして、事前に条件等をきっちりと確認されることをオススメします。

・自然が豊か

 これはもう、言わずもがなで多くを語りませんが、T市は山もあり川もあり、おまけに大きな湖もあるので、週末に登山やサイクリングに出かけたり、湖で釣りをしたりすることもできます。私はそこまでアウトドア派ではないのですが、こちらに来てからたまに息子と釣りに行ったり、登山(といっても、40分程度で登れる山ですが)をしています。また妻は地元のNPOに参加し、里山の自然保護活動に参加したり、田植えを行っています。
 因みに車で1時間ほど飛ばせば、オーストラリアのゴールドコースト並のロングビーチが広がる海岸まで行くことができます。正直、こんなに雄大な自然があり、食べ物も美味しく、それでいて東京まで通える距離なのに、毎年の「住みたい県ランキング」でいつも最下位近くに位置する理由がよくわかりません。地元の人曰く、自分たちの生活に満足しているので、あえて人を呼ぼうという気にもならないそう。最初は負け惜しみかと思っていましたが、住んでみると、その意味がわかるようになってきました。
 ただ、自然があるのが当たり前過ぎて、東京にいる時よりもその有り難みを感じなっくなったことも確か。また子供たちは東京から来たというと皆んなに「羨ましい」と言われるそう。こんなに自然があるのだから皆んなもっと外で遊べば良いのにと思いますが、最近の子達は皆んな自宅でゲームに興じているとか・・・。やはり、「隣の芝生はなんちゃら」ということなのだと思います。

ここまで、移住のメリットを書いてみました。これだけ書くと、移住しない理由は無いようにも思いますが、人生はそれほど甘く無いもの。。。次回は、移住してから初めてわかったデメリットの部分に着いても書いてみたいと思います。移住を考えていらっしゃる方は、是非次回の投稿を読まれた上で、総合的に判断されることをオススメします。ではでは、今日はこの辺で!
 

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