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縦スクロール作品の1年を振り返る②やってよかったこと学んだこと色々

さて、前回は大変だったことをお話しましたが、今回は良かったことを色々お話します。

縦スクロールのメリット

なんと言っても分業による初速の速さでしょう。
作画に回ってくるまでに既に原作、ネームまで編集部でOKが出ています。
仕事に入ってすぐに作画工程ができ、週間納品ペースでお仕事ができるのは大きなメリットです。
横コミカライズも原作はありますが、そこから自力でエピソードや構成を漫画向けに組み直し、漫画に収まるセリフ文字数に要約し、必要情報を拾いながら漫画として盛り上がるようにネームまで持っていき、そこからネームをリテイクで叩いて叩いて、やっとそこからの作画になります。
(現在は分業をしている横コミカライズもありますので、ネームまである場合は作画から入れます!)
もちろんオリジナルの漫画連載の場合は企画ログラインからのプロット、各話プロット、詳細プロットの工程がありますから、もうオリジナルの漫画って本当に大変ですし作画に入るネームまでを商業ベースで通すのは本当にすごいことなのです。

これは横読みコミカライズのネーム。下の付箋は原作小説を読みながらチェックポイントにつけた付箋です。(ネームの下に原作本があります)

コミカライズ、縦スクロールに関してはそこは既にあるので、オリジナルの漫画よりは「原稿料発生まで」が格段に早いのがありがたいことです。
完成原稿を納品しないと原稿料はいただけないのはどこでも変わりませんからね。

それから、週間納品は大変ですが、縦スクロールは話数が一定以上あることもありがたいです。
準備期間が長いということは、その期間の安定した収入があるということです。
また、連載を経験しておくと次のお仕事に繋げやすく、漫画家ニーズの高いコミカライズなどにもリーチしやすくなるのも良い点だと思います。

私の場合は背景工程も経験したことで、新しくソフトをひとつ漫画背景用に使えるようになりました。
お仕事としてお金を貰いながら新しいスキルを手に入れられたのはありがたいことですよね。

また、異世界系を描かせていただいたことで、ドレスの描き方や装飾の付け方などのスキルが上がったことや、作画速度をあげるために、3D素材やいろいろなリファレンスにきちっと当たって利用し、クオリティと速さを上げていく方法も以前より身についたと思います。
この辺りは今連載準備中である横読みコミカライズにもとても役立っており、縦スクロールで学んだこの1年は、私を作画家として大きく伸ばしてくれたなと思います。

原作に学ぶ

私は溺愛系が好きで、そういう話を作っていきたいなと思っているのですが、コミカライズのいい所は、商業的に認められた原作と深くかかわれることです。
今回描かせていただいた亡国王女(原題・唇は恋に染まる/花散ここ先生)ですが、出てくるキャラ全てが好きで、本当に最後まで楽しく描けましたし、連載もお話の最後まできちんと描くことが出来たことは何より嬉しいことでした。

メインじゃないキャラもみんな大好きになっちゃいます!


私も一応漫画家ですので、まだまだ話作りは未熟ではありますがストーリー、キャラの立て方やエピソード、好感度調整や情報の整理などは描きながら意識するところではあります。
ひとつのエピソードで各キャラの好感度を同時に調整しキャラらしさを立てる、物語の次を読ませる推進力を作る巧みさは、コミカライズをやる度に原作さんは本当にすごいなあと勉強になります。
また今回の縦スクロールはネームさんの手腕も素晴らしくて、毎回決まったコマ数の中で原作の情報を整理し、時にはオリジナルエピソードを練り、キャラらしい表情や仕草を効果的な構図に落としこんで、読みやすくわかりやすいネームにしてくれました。
着彩さんはスタジオだったのですが仕上げ工程まで入ると本当に素晴らしく綺麗で、ドレスなども美しく仕上がっていて、毎回着彩が上がってくるのが何よりの楽しみでした。

編集さんが舵取りをし、みんなで作っていく分業制縦スクロール、新人作画家の私としては本当に1年間良い経験を積ませていただきました。
今後の連載にも学びを役立て、素敵な作品を作って行けるように精進することがお返しになると思っています。

次の連載の作品は…早くご報告できるように頑張ります!

今年は良いご報告がまた出来ると思いますので引き続き見守っていただけますようお願いします。
なかなか手が回らずにnote更新もたまにしかできていませんが、また読みに来てくださいね!




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