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音香知新 1 調香師は語る①

ふわり

パリにアトリエを構える調香師、新間美也さんの新作香水Fuwari「ふわり、ばらひとひら」は、ローズ・ド・メ(Rose de Mai)からインスピレーションを得て、墨と筆で描いた、あるひとつのばら。
ー香りは傍にいられるもの。香りのようなささやかなものこそ気高い……と新間さんからは詩のような言葉が語られますが、実際の香水も、詩をつくることから始まるのだとか。
Miya Shinma Parisのコレクションはサロン・ド・パルファン(伊勢丹新宿店で秋に開催)で紹介された際に試された方もいるのでは。ふだんは京都の香水専門店「ル シヤージュ」で扱っています。もちろん「ふわりオードパルファン」も。

『香水のすべて イラストで読み解く香りの文化と歴史』

新間さんはご自身の著書もありますが、訳本もあります。今年(2024年)1月には『香水のすべて イラストで読み解く香りの文化と歴史』(ジャンヌ・ドレ 編著 監修 新間美也 訳 翔泳社)が出版されました。香水の歴史や嗅覚、香料、製造法から調香師の仕事まで、ポップなイラストとともにまとめられています。フランス発の本なので、日本の事情にすべて合うわけではありませんが、香水って何? 名香ストーリーからもう一歩、という方におすすめしたい本です。

『マチルド・ローランの調香術ー香水を感じるための13章』

『香水のすべて』には、20人の専門家インタビューも掲載されているのですが、香水の開発の項にカルティエの専属調香師、マチルド・ローランさんが登場しています。インタビューを読んで興味を持った方、そういえば昨年(2023年)暮れに『マチルド・ローランの調香術ー香水を感じるための13章』が白水社から出ています。この本の訳者である関口涼子さんの著書『ベイルート961時間(とそれに伴う321皿の料理』(講談社)を2022年に読んだのですが、あふれんばかりの香りや匂いはもちろん、五感に訴える何かを感じたことを思い出しました。
『香水のすべて』『マチルド・ローランの調香術』それぞれに原書のフォントがあしらわれているところがあり、ん?これは?と思うと、フランスのNez(鼻の意)という出版社に行き着きます。

『香りのチカラ 調香師が知っている、においと人の深いつながり』

もう一冊、『マチルド……』と同じ時期に日本の大手香料会社、高砂香料工業出身で現在は日本香堂で活躍中の調香師、平野奈緒美さんの本『香りのチカラ 調香師が知っている、においと人の深いつながり』が笠間書店から出ています。平野さんが学んだヴェルサイユの香料学校、ISIPCA(イジプカ)での体験をはじめ、調香の話もありますが、嗅覚や四季、森林浴、そして聞香などのトピックが取り上げられています。シャンプーなど日用品に使われる香りについても詳しく、なつかしい「メリット」の話も登場します。

写真 ローズ・ド・メ(2023年5月 生田緑地ばら苑にて撮影)

#香り #香水 #ばら #ローズ・ド・メ #調香師 #本


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