見出し画像

「水色の家」の窓からー『愛と誠』そして『初恋』

「水色の家」ー古い洋館を訪ねて

旧尾崎テオドラ邸は、東京の世田谷区豪徳寺にある1888年(明治21年)に麻布に建てられ、昭和初期に移築された水色の洋館。2023年2月、NHKで「そして、水色の家は残った〜”世田谷イチ”古い洋館の135年物語〜」という番組が放映されていました。「憲政の神様」と言われた尾崎行雄の妻にして、尾崎三良男爵の娘、尾崎テオドラ英子。テオドラのために父が建てたといわれる洋館取り壊しの危機に際し、保存のために動き始めた漫画家とその輪。かつてその家に住んでいた、数学者や写真家・漫画家のエピソード。幾重にも心惹かれる番組でした。通り過ぎるたびに気になっていた建物がなくなってしまうと聞いて、行動・実現する(漫画家の山下和美さん)。そんなことなかなかできないし、さらに、残すだけの価値があると信じて協力してくれる人たち(もちろんお金も)がいるのだ、と知るだけでもうれしくなりました。
今年、2024年の3月から、建物公開が始まったことを知り、いつか行きたいなと思っていた矢先、たまたま訪問先で尾崎行雄(咢堂)の揮毫した書を見せていただく機会があり、そうだ、行かねば、と招き猫電車に乗って宮の坂を訪れました。

純喫茶 窓

古い洋館の階段の踊り場、そしてその窓は、好きな部分ですが、水色の家でもやっぱり素敵。この階段は展示会場に進みます。今回は「ながやす巧『愛と誠』の世界展」が開催中(7月5日〜8月20日)ということで、館の一階の喫茶室は「純喫茶 窓」に。手作りの看板が迎えてくれます。手書きの文字もいいですが、手作りの字というものもいいな、としみじみ。喫茶室には、スタッフ所蔵の漫画『愛と誠』も置かれていて、ゆったり読ませていただきました。紅茶やプリン・ア・ラ・モードをいただきながら、昭和40年代の蓼科のスキー場から数年後の学園生活へ……『愛と誠』の世界に引き込まれていきます。主人公のひとり、早乙女愛が「純喫茶 窓」の扉の前に佇むのを見届けて、展示に向かいます。

ショップに飾られた豪徳寺名物・招き猫と展示の案内 ほかの先生方の招き猫もありました

窓から

激しい。ストレートにぶつかり合うって眩しい。
小椋佳さんの曲が流れる部屋で、原画をみるなかに、早乙女愛が、影の番長と文学談義をするシーンがあり、それはツルゲーネフの『初恋』。『初恋』の忘れられないシーンに、窓から見るともなく見えてしまった出来事があったな、と思い出しました。鞭のしなる音と、スキー板が額にぶつかる瞬間が重なり合い、痛みとなって襲いかかってきました。

#水色の家 #窓  #『初恋』 #招き猫 #洋館






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?