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届かない手紙

私がnote史上最も苦戦した記事でしょう。
まさかあの人のことを書く日が来るとは思いませんでした。
でも、たぬきの親子さんのこの記事を読んだら、これはきっと「書きなさい」のメッセージ(いきなりスピリチュアル!)だと感じました。


もう会えないあの人に贈るラブレターです。


大学生の頃、アルバイト先の先輩に恋をした。
私が初めて一人で仕事をする日、少し泣きそうになるくらい不安だった。
学生のバイトにしてはハードルの高い営業事務の仕事だった。

はぁぁ、あの人がいないとわからないことだらけだ・・・
そうつぶやきかけた瞬間、ドアが開いた。
「どう?大丈夫??」
「え?休みですよね??」
「あー、まぁ、ちょっとキツイかなと思って様子見にね。」

少女漫画が大好きだった私は一瞬で恋に落ちた。
元々、外見もスペシャル好みだった。

でも、彼はかなりの曲者だった。
名前は、そうカイさんにしておこう。

カイさんは誰とも付き合わないと噂の人だった。

けれど何故か私は彼女になれた。

カイさんは学費も生活費も全て自分で稼いでいたからとにかく働いていた。
忙しさの合間にデートをした。
当時、カラオケ全盛期。
カイさんはミスチルをよく歌っていた。
けれど、私がカイさんが歌っていた曲で一番好きなのはGLAYのこの曲だった。

「Sunshine 遥かなる大地 明日へと続く道」
こんな出だしで始まる曲。

一緒に生きて行く事は たやすくないとわかってる
安物の「永遠」なんて そこら中に 溢れている
ごらんよ 僕らの掌 わずかな時間しかないさ
だから体中で愛を伝えたくて 生き急いでいる
ねぇ そうだろう?

私はカイさんと一生一緒にいたかった。
カイさんは「俺は誰とも結婚しない」が口癖だった。

出会ってから7年間。恋人同士だったのは最初の1年足らず。
誰かと付き合って別れる度に、カイさんのところに戻る。
カイさんは「オマエ、俺を良いように使うなよ」と笑った。

そんなことを繰り返しているうちに、カイさんが少しずつ折れ始める。

「ほんと、オマエしつこいな」と私を受け入れる準備をする。

けれど、もしかしたらの逆転ホームランは最後の最後でフェンスを越えなかった。

カイさんの家族の事情が歯止めをかけたんだ。

「やっぱり無理だわ。」


私はずっとカイさんに恋をしていた。
全てをかけてこの人と共に生きたいと願ってきた。
けれど、初めて彼を愛そうと思った。
諦めることが彼への愛だった。

7年間の気持ちに終止符を打った。

最後にカイさんは言った。

「俺にとってオマエは特別だったんだよ。」

ただ訪れる春の花の芽の息吹に似た
I want you I want you I want you
「生きてく事は 愛する事 愛される事」と

ナルシストなカイさんの「I want you I want you I want you」が好きでした(笑)


ねえ、カイさん。
元気ですか?なんて思いません。
どんな状況でもあなたは強くしぶとく生きる人だからです。
同情されることが最も嫌いで、貧乏ったらしく生きるなんてまっぴらだとハイブランドの服を着ながら社会にいつも怒っていて、でも真っ当に生きることに一生懸命な人でした。
きっとそれは今も少しも変わっていない気がします。

カイさん、生まれ変わってもまた会いたいね。
すぐに見つけられるよ。
(えっ?こわい??)

でもね、もう結婚したいとは言わないよ。
何度生まれ変わっても私は夫と共に生きると思う。

来世ではどんな風にあなたと時を過ごすんだろう。
今も変わらず私の憧れの人。


ってカイさん!!
まさかのラブレターだよ!!
「オマエ、俺をネタにするなよ」って笑うんだろうね。



読んでくださってありがとうございました。
たぬきの親子さん、とても大切な人との思い出を書かせていただく機会をありがとうございました。


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