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父へ会いに行く|白杯

澄む空に
トンボ誘い
墓参り

お盆には行けずじまいだったお墓参り。
秋のお彼岸には行こうと思っていたのに気づくと命日も近くなっていた。

目の前に1匹のトンボがスーッと飛んでいく。

息子が幼い頃に聞いた「じいじの好きな虫」

トンボに誘われて(いざなわれて)お墓参りに行ってきました。


またせたね
ごめんとつぶやき
栗饅頭

大の甘党だった父。
甘納豆がよかったかな。
父との思い出は少なくめ。
けれど甘納豆を食べている父に「甘納豆って納豆なの?」って真剣に聞いたことは妙にはっきり覚えています。


天仰ぎ
ようやく来たかと
ひつじ雲

見上げた空に聴こえる声。
「家族」というものが苦手だった私。夫と息子と娘のおかげで、もう「家族」という言葉に苦しくなることはありません。

私が結婚する時に何度も言っていたね。

「お父さんは家庭を大事にしなかった。後悔しているんだよ。だから夫くんと力を合わせていきなさい。」

お父さん。その一言で全てが丸くちゃんちゃんってことにはならないよ。
今もお父さんのお墓参りに行くのはこっそり秘密。
それでもトンボに会ったらお父さんのところに行こうって思うんだ。

え?トンボは季節限定!?

そうだね。でも春のお彼岸も来たでしょう?

何に誘われたのかな?

甘いもの食べたいなって聴こえたのかな・・・




この記事は『みんなの俳句大会』への応募記事です。

白杯のおかげで、俳句のおかげで、父に素直な気持ちを伝えることができました。
ありがとうございました。

ほんの少しの恨みがましささえも爽やかにチクリと空へ届いたことでしょう。苦笑いしながら「次はどら焼きだぞ」とリクエストしているかな。



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