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新卒採用の社員の教育心得(ゆるめ)

コミュニケーションにそこまで自信がない人のための新卒社員の育て方について書きたいと思います。ちょっと長いので興味のある方はどうぞ。

前職時代、3人の新卒社員のメンターをやってたのですが、いかに頑張って育てようとしても、勝手にすごいスピードで育つ人もいれば、どれだけ教えても一定の基準まで育たない人もいました。育つか育たないかは修士か学卒か、どんな大学を出たか、男か女か(当然ですが)には全く関係ありません。私の新卒社員の大きな教育方針は「潰さない」です。これはとても大切で、これから人口はどんどん減っていくので、貴重な新入社員をみすみす潰してしまうのは非常に惜しい。もう一つ重要なポイントは潰してしまうと自分自身の査定に響きますし、社内で一気に悪評が立ちます。これはなんとしても避けたい。

もう一つの方針は「自分が潰れない」です。教育係を初めて任せられるのはだいたい3-6年目くらいの社員だと思います。ようやく自立して仕事ができるようになり、手持ちの量も増え、やりがいも増えると同時にかなり忙しくなってくる時期です。その上に、新入社員教育が乗っかって来るのですから本当にしんどいです。ではどうやって潰さずに自分も潰れずに教育すれば良いのでしょうか。

心得① 新卒社員が育つかどうかと自分の能力に相関関係はない

その人が育つかどうかと、自分の指導力は関係ないと思っていいと思います。これを同一視してしまうと、新卒が「何をやっても育たないタイプ」の場合かなりしんどい思いをします。その人が育とうが育つまいが、採用して給料を払っているのは会社です。教育係に普通は手当も出ないでしょうし、平社員であればそれが直接的に昇進に関わることもそうないでしょう。いち社員が必要以上の責任感を持つ必要はこれっぽっちもありません。新卒社員と自分の間にははっきりした境界を引きましょう。相手に同化して引きずられると自分も潰れてしまいます。

心得② 1年で中堅アルバイトさん並に。簡単な仕事からお願いする

職場にアルバイトさんはいますか?もし作業をしてくれるアルバイトさんがいる場合、まずは一年で中堅アルバイトさん並みになれば良いや、と超簡単な仕事(入力とか)からお願いしてやってもらうのが良いのかなぁと思います。その働きぶりをみながらその人のタイプを把握して、新しい技能を少しずつつけてもらう。小さな達成感を感じてもらえるように工夫する。そんな感じでしょうか。
当然最終的には社員としての働きが必要になりますが、そこまで育つかは誰にもわかりません。意欲のある人はどんどん次のステップ行きますし、まぁ、バイトさんレベル止まりでも、やっていれば多少は仕事ができるようになりますし、会社がそれを許すならそれでも良いのではないかと思います。
余計なプレッシャーやストレスをかけて伸びるタイプはそこまで多くないので、自律的にできるようになるまで、「アルバイトさん指導」くらいのふんわり指導を心がけましょう。あくまで仕事はお願いしてやってもらうことです。社員なんだからやるのは当然、振ってやってるみたいな意識は伝わりますし、特別にいい影響は及ぼしません。一人アルバイトさんが増えてラッキーくらいの気持ちでいるのが良さそうです。
一つ弊害があるのが新入社員が雑用ばかりで仕事がつまらないと思ってしまうことですが、そういう意欲のあるタイプは見ていればわかるので、素早くレベルアップさせると良いと思います。逆にできないタイプに過剰にレベルの高い仕事を与えて潰してしまうよりは安全策かなあと思います。

心得③ チームで育てる

いろんな人と一緒に仕事してもらえるように、チームで育てるのは非常に重要です。何事も相性があります。属人的な教育は相性が悪かった時にお互いに逃げ場がなく最悪です。メンターと新卒社員はある程度の距離感を保ちながら、いろんな人に仕事を教えてもらえるようにマネージメント役に徹するのが良いと思います。

心得④ 別に仲良くならなくても良いけど、関係は悪化させない

別に心を開かなくても良いし、開いてもらわなくても良いです。お互いに心を開いて仕事をするときの、独特の連帯感はなんとも言えず面白いのですが、そんな関係で仕事ができる方が稀なことだと考えた方が楽です。前述したとおり人には相性というものがあります。新入社員が部署内に(自分じゃなくても)何人か心を開いて話をできる人を作れると良いな、位の心構えで、特に頑張ってなかよくする必要はないかなあ、と思います。
しかしながら、関係を悪くしないことはものすごく大切です。その会社や業界ではできないやつだったとしても、他の会社に移ったときにそこですごく水が合って偉くなり、10年後にお客さんとして現れるみたいなことはなくはないですから。いつ新入社員がお客さんになっても大丈夫なように、「普通の同僚」くらいのレベルは保って、強烈に嫌い合ったりするような事態にはならないように心がけましょう。心得③とも共通しますが、適切な距離は大切です。

心得⑤ 力になって、徳を積む

やっぱり最初はお互いにどんな人かわからないので、おっかなびっくりになってしまうと思うんですが、とにかく力になるという姿勢は見せ続けて損はないと思います。どんな人間関係でも、自分からギブをするのは大切なことです。相手が答えなくても「最近どう?元気?」くらいの言葉かけはして、気にかけていることを軽めに伝えておくのは大した労力ではないです。なんか困ってそうだったらできるだけ助けてあげたり、なんかやらかしてしまったら一緒に謝りに行ってあげたり、そういうフォローをしてくれた人っていうのは人間恩を感じるものです。どんどん恩を売っておきましょう。新入社員からありがとうございますという言葉が出るかもしれないし出ないかもしれないし、後から恩が返ってくるかどうかも不明ですけど、少なくとも徳は積めます。新入社員教育は修行です。

心得⑥ 早めに先輩や上司に相談する

新人教育はチームの仕事ですから、報連相はこまめに行なって新入社員の現状を共有しましょう。ちなみに、新人教育はめっちゃ大変だけどあまり報われない仕事で、担当する新人によっては賽の河原状態になってしまうこともあります。新人を担当している自分自身の状態の報連相もこまめに行なって、手に負えなくなる前に何らかの改善を行いましょう。もし関係が悪化する気配が少しでもあれば、必ず上司に相談して、必要であれば担当を変わってもらってください。これは仕事を投げ出すわけではなく、部署の働きやすい雰囲気を保つために重要なことです。

最後に

なんでこの記事を書いたかというと、真逆のことをやって、新入社員を潰しかけた経験があるからです。真逆とはつまり、自分の指導力が新人の成長を左右すると気負い、新人の能力以上の仕事を振り、新入社員と一対一の仕事をし、失敗や足らない点ばかりを指摘し、新人社員教育のしんどさを誰とも共有できず抱え込み、最終的には関係は修復できないほど最悪になってしまいました。最後は新入社員のほうが上司に相談してくれて、上司からの指示で私は2年弱で担当を外れました。(その新人さんは傍目から見て全く前職に適性がなかったのですが、3年立たないうちにあっさり寿退社していきました。最終日の晴れやかな顔といったら!!)今でもあのときのことを思い出すと、新人にいらぬプレッシャーやストレスを掛けてしまったことが本当に悔やまれます。でも、若いうちの失敗で良かったのかな、とも思います。これが管理職になってからだったら、と思うとゾッとします…。

新入社員の人へ

新入社員の方々も、自分のやりたい仕事についた人も嫌々その会社に入った人も、一年目は本当に大変だと思います。スケジュールに対する決定権がほぼなく、調整が自分で効かないのでしんどいのです(何でもできてすごそうに見える先輩たちは自分で自分のスケジュールを調整できるので、多少楽をしている瞬間があるのですよ)。私は1年目は何故かいろんな体の不調が次から次に出てきて、大変でした。
いろんな先輩がいるので、下についた先輩がどうもしんどい、と思うことがあったら早めに周りの人に相談して改善してもらってくださいね。また、仕事自体が自分の能力を遥かに超えていて全く追いつかないと圧倒されてしまったり、計画通りに進まない、体力が全く追いついてないと思ったらそれもすぐに、ほんのり感じたくらいのときに相談してください。早ければ早いほど改善が楽ですし、部署にも自分にも傷が残りにくいです。会社の人達はできれば新入社員にはやめてほしくないと思っています。まずは気楽に上司と話して、調整してもらってください。

超長くなりました。最後まで読んでいただきありがとうございました。

それではまた


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