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未来は、私たちを待ってくれない。

 だから、急ぐ必要もない。勝手に向こうから来てくれるんだから。


 これから先、自分はどう生きていくのか。今の自分から変わることができるのか。そんなことを考えているると、自分の未来が真っ暗闇になって、見えなくなってしまう。それなのに未来は待ってくれない。真っ暗な未来が、ただ近づいてくるように感じる。

 わかる。とてもよくわかる。

 だって、私も未来が怖いから。私だけじゃない。多分、多くの人にとって、未来は怖いものだ。

 

 「未来」という言葉はとても曖昧なもので、明日も、十年後も、百年後も、等しく未来なのだ。言い換えれば、未来は全て明日の延長線上にある。

 幸い、私たちは「明日」くらいなら考えられそうな気がする。とても難しいことだが、頑張れば考えられる気がする。一週間先はさらに難しい気がするから、まずは明日について、考えてみよう。

 明日の自分が、今日の自分よりいい自分になるには、どうすればよいか。

 9月1日の自分が、8月31日の自分よりいい自分になるには、何をすればいいのか。

 例えば、本を読む。本を開くと、そこには自分の知らない誰かが書いた世界が広がっている。本を読むということは、その世界に、今までの自分の経験、知識を武器に、一人で立ち向かっていくことである。時にはさかのぼって読んだり、先読みしたりして、自分のペースで、ゆっくりじっくり考える。一つの世界を読み終えたとき、そこにいるのは、昔の自分よりも少し広い世界を知っていて、少し多くのことを考えた自分だ。

 例えば、ゲームをする。勿論、ただゲームをすればいいわけではない。昨日よりもBGMを聞いてみる。グラフィックの美しさに注目してみる。シナリオを書いた人が、起承転結をどうつけているのかを考えてみる。そうして気づいたゲームの凄さについて、今度は誰が作ったのか、どういう工夫がなされているのか、調べてみる。ネットの情報を1回調べた程度のことは誰でもできる。やるなら、とことん調べてみよう。誰かに自慢できるくらいやってみよう。そうやって、いろんな領域に触れてみると、前よりも世界が違って見える。

 例えば、今、自分が何に悩んでいるのか考えてみる。同じ悩むにせよ、得体のしれない何かに悩むよりも、悩みのタネが分かった上で悩む方が、気が楽になる。よくある心霊動画も、タネや仕掛けが分かれば、びっくりはするけど、怖くはない気がするのと同じだ。悩んだことは、誰かに言ってもいいし、自分ひとりで書きだしてみてもいいかもしれない。何に悩んでいるのかが分かれば、どうすれば解決できるのか考えやすくなる。昨日よりも自分について考えた自分は、何よりもほめたたえるべき存在だ。私はとても尊敬する。

 いくつかの例を挙げたが、他のことでもいい。正直、なんだっていい。9月1日の自分がすることについて考えた。明日について考えた。それはつまり、「未来について考えた」のである。すごい。ほめたたえたい。あんなに怖い未来について、あなたは考えたのである。


 未来は、私たちを待ってくれない。

 だから、急ぐ必要もない。

 9月1日の自分を考えることからはじめてみよう。

 そうすれば、今よりほんの少し明るい未来が、勝手にやってくる。

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