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野山の植物散策【8】

今回も初夏から夏の頃に野山で出会った植物の紹介です。

 ※写真の時期や場所はバラバラです。 


ガガイモ: キョウチクトウ科(APG分類体系)

 日当たりのよい空き地や土手などで見かけます。
8月頃にヒトデみたいな形の花を咲かせる つる性植物で、葉や茎を切ると白い液がでます。
 表面がでこぼこしたアーモンド形の実が独特の風貌で、その中には綿毛の付いた種がびっしり入っているので、子供の頃はてっきり外来植物だと思っていたのですが、実は古事記にも出てくるほどの昔から日本人になじみのある植物だそうです。(実の写真はまだありません;)

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イケマ: キョウチクトウ科(APG分類体系)

 日当たりのよい野山で見ることのできる つる性植物で、7~8月頃に球状の白い咲かせるので遠目にも分かります。
上のガガイモの仲間なので、同じく葉や茎を切ると白い液が出ます。また全草の雰囲気も似ていますが、葉のサイズはもっと広くずっと大きいです。

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コナスビ: サクラソウ科

 街なかの道端から山地の草地まで、日当たりのよい場所で出会えます。
(皆さんの身近な場所でも見つけられるかも)
初夏に黄色くてかわいい花を咲かせるのですが、地面にはいつくばるような草丈で、花も1cmに満たないので目立ちません。
和名は ※ナスに似た小さな実をつけることから (※ナスはナス科なので同じ仲間ではないです)

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ヒメヤブラン: クサスギカズラ科(APG分類体系)

 庭にも植えられるヤブランの仲間ですが、ずっと小型で可愛らしい印象。
日当たりのよい山の斜面や草地で見られます。花期は7~9月。

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ヤブラン: クサスギカズラ科(APG分類体系)

 庭でよく見るヤブランです。
ヒメヤブランと比べると花の数がとても多く、葉もしっかりしていてかなりイメージが異なります。
↓ 写真は開花直前のつぼみの状態。

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ちなみにラン科ではないのに ○○ラン と呼ばれる植物って多いですよね。

ネット検索で調べてみると、もともと古代中国では香りのよい植物のことを蘭と呼んでいたようで、日本書紀や万葉集に出てくる「蘭」とは秋の七草のフジバカマのことだと言われています。
やがて香りの良い東洋蘭のことを指すようになり、「蘭」といえばラン科植物全般に使われる言葉になったようです。

さらに、ラン科の花のイメージから、香りがよく上品な雰囲気の花(スズラン)、華やかな花(ヤナギラン)、舶来の珍しい植物(クンシラン、リュウゼツラン)なども「~ラン」と名前がつけられたみたいです。
他には、ラン(蘭)は「欄(ラン)」に通じ、中国語では細長く連なっていることを意味するという話もありました。
ヤブランの場合は東洋蘭にそっくりな細長い葉を持ち、長い花穂に小さな花が連なっている姿からランと名付けられたとのこと。

参考:
 コトバンク『日本大百科全書(ニッポニカ)「フジバカマ」の解説』
 LOVEGREEN『植物図鑑|ヤブランの育て方』


ジャノヒゲ: クサスギカズラ科(APG分類体系)

 別名リュウノヒゲ。
こちらもヤブランの仲間で日本庭園などにもよく植えられているので見たことがあるのではないでしょうか。
林内に自生する常緑の多年草で、7~8月頃に下向きに白い花を咲かせます。
ヤブランの仲間は秋に丸い果実をいくつもつけるのですが、このジャノヒゲの果実は熟すと青色になります。(上のヒメヤブランやヤブランは黒色)

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クモキリソウ: ラン科

名前の由来は 花が蜘蛛っぽい見た目だからとか、雲や霧がかかるような湿度の高い場所に生えるからとかありますが、今となってはよくわかりません。
ランといえば華やかで大きな花を思い浮かべますが、このように緑色の目立たない花を咲かせる仲間も多いです。
こんなに地味な仲間でも、「ラン=珍しい」というイメージのせいで自生地から持ち去られるケースが後を絶たないようです。
・・・なぜ希少と言われると手に入れたくなるのでしょう😢
(この辺りの心理についていつか記事にしてみたいと思っています)

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ちなみに
植物は土の中の菌根菌と呼ばれる菌類と共生関係にあり、特に多くのランの仲間が特定の菌根菌に強く依存しながら生きていると言われています。
そういう植物は、移植をしても菌根菌がいなくなってしまうので十分な養分を得ることができずに衰弱していきます。
例えるなら、「松茸」を鉢植えにしても根付かないのと同じです。


ミヤコグサ: マメ科

 周りに背の高い草が少ない日当たりのよい場所で見られます。
花期は4~10月で、蝶形の黄色の花は、日が当たるとまぶしいくらいの鮮やかさ(でも、写真だとうまく伝わらない😥)
こどもの頃は近場でも見かけたのですが最近は見なくなりました;
よく似た仲間にヨーロッパ原産で花つきのよいセイヨウミヤコグサという種類があります。

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ミズタマソウ: アカバナ科

 山野の木陰などに生えていて、8~9月頃に白色または淡紅色のとても小さな花をつけます。
和名は、小さな丸い果実に白い毛が密生しているようすが水玉💧のように見えることから。
意識しないと存在に気づけないけれど、見つけられたらなんだか嬉しい♪
そんな花です。

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タニタデ: アカバナ科

 ミズタマソウを見かけた辺りから少し標高の上がった林の中にも小さなミズタマソウが…と思ったらなにか様子が違う。
調べてみたらタニタデというミズタマソウの仲間で、より暗い感じの林の中に群生していました。
谷に生え、草姿がタデ科のタデに似ているのでこの名前がついたそうですが、本当はマツヨイグサと同じアカバナ科の仲間。
この植物も和名のせいで混乱するパターンです・・・ほんと勘弁してほしい😥

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タニソバ: タデ科

こちらは本物のタデ科の植物で山野の湿った場所で見られます。
和名は実がソバに似て、水気の多い谷沿いに生えるから。
花期は7~10月。
少しピンク色のとっても控えめなつぼみのような花を咲かせます。

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ミヤマヨメナ(ミヤコワスレ): キク科

 標高1000mくらいの林道沿いできれいな花をみかけました。
自生種のミヤマヨメナにしては色合いが濃いような気もするので園芸種である※ミヤコワスレの可能性も否定できません。
(※全国の山地に自生しているミヤマヨメナの中から花色の濃いものを集めて選抜したのが園芸種のミヤコワスレ)
一般に花期は5~6月となっていますが、見かけたのは7月末でした🤔

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オトギリソウ: オトギリソウ科

 日当たりのよい山野でみられます。
昔から薬草として有名で、葉などに黒点が入るという特徴と合わせて、それにちなんだ和名がついています。
花期は7~9月で、黄色でよく目立つ花が咲きます。
この仲間には似た種類が多く、地域によっては分類が大変かもしれません。

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今回も、最後までお付き合いいただき ありがとうございました。

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