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楽になることも、楽になる考え方も、求めない日々

色々考えて生きるのが面倒なたちである。シンプルに生きたい。

生きる、生きて死ぬということがそれほど複雑であるわけがないのに、それが複雑になるのは、ひとえに、幸福を求めるからではないだろうか。今よりも、もっと楽になりたい、現に楽になれなくてもせめてそういう考え方だけでもできるようになりたい。思うに、この思考が、人生を複雑化させる原因である。今ここにあることをあると認めて、もしもそれが苦しいならただ苦しむ、どうしてもポジティブな考え方ができないならネガティブな考えを持ち続ける、そうした方が、シンプルに生きられるのではないか。

もちろん、わたしは、苦しみや苦しい考え方を堅持しようなどと言っているのでない。そうではなくて、やたらと今よりも良い状態を求めることによって、人生は複雑になるのではないかと言っているだけである。今よりももっと収入が欲しい、もっといいパートナーが欲しい、もっと高いステータスが欲しい、もっとコミュニケーション能力を磨きたい……うんぬんかんぬん……いや、複雑なものが好きな人はそれはそれでいいけれど、少なくとも、わたしはご免である。

繰り返しになるが、これは別に、「苦しい状態で居続けよう!」なんて、がんばることを勧めているのではない。当たり前。苦しいよりは楽な方がいいに決まっている。わたしだって楽な方がいい。楽を求めるのはいいけれど、求めすぎることはどうなのか、と言っているだけである。

世にある言説は、楽をすることを促しているものがはびこっている。こうすればあなたの人生楽になりますよ、と。哲学やら心理学やら宗教やら、その他スピリチュアル的なものやら何やら、こぞって、あなたにもっと楽をしなさい、楽をするために努力しなさい、と訴えてくる。それに乗っかると、人生は複雑になる。あれやこれやしなくてはいけないことが増える。

そうやって複雑なことをしているうちに、いずれ、あなたにもお迎えがやってきます。その時になって、これまで色々と楽をするためにしてきたことは一体何だったのだろうかと思っても遅いわけです。世の中と戯れているうちに終わる人生というのは、果たして価値あるものなのかどうか。様々なライフハックを活用するよりも先に、そういうことを考えた方が、よっぽど楽に人生を生きられると思うのですが、いかがでしょうか。

#エッセイ #哲学

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