イメージの百人一首80「長からむ―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第80首】
長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は ものをこそ思へ
《ながからん こころもしらず くろかみの みだれてけさは ものをこそおもえ》

 あなたは今、恋人と一夜を過ごして、朝になり、家に帰る恋人を見送ったところです。少しして、その恋人から連絡がありました。「あなたに対する気持ちはずっと変わりません」とのこと。その愛の言葉を素直に信じることができたらどれほど幸せなことでしょう。信じられないあなたは、逢瀬の中で乱された長い黒髪を直しもせずに、いつか来るかもしれない別れを考えては、ひとり物思いにふけるのです。

 待賢門院堀河《たいけんもんいんのほりかわ》

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